Agilent ICP-MS MassHunter ソフトウェアのユーザーであれば、Agilent OpenLab ICP-MS を違和感なくお使いいただけます。ただし、新機能として、装置のステータス、構成、メンテナンス作業、重要なメッセージなど、主な情報がまとめられた直感的なダッシュボード(図 1)が追加されています。ダッシュボードには分析結果も表示され、総マトリックス固形分(TMS)、プラズマ点火時間、およびサンプル注入回数の履歴ビューを切り替えることができます。また、ワークフローに直接リンクされているため、メソッド編集やサンプル測定も可能です。
メソッドの容易な作成およびインポート
Agilent 9500 ICP-QQQ を初めてご使用になる際に、既存のシングル四重極メソッドを OpenLab ICP-MS に直接インポートできます。 バッチ変換ツール(図 2)では、現行メソッドをインポートし、9500 に対応したメソッドに変換することが可能です。以下の 3 つの変換オプションから選択できます。
- AHM Plus(アドバンスドヘリウムモードとエアセル):最大限の堅牢性が得られます。複雑なサンプルマトリックスにおける困難な干渉成分やばらつきへの対処に役立ちます。
- AHM:スループットを最大化します。一般に、取り込み時間が 33 % 以上短縮されます。
- Direct:AHM やエアセルを利用せず、現行のセルモードを使用します。
この他、Method Adviser (図 3)というオプションもあります。このオプションでは、元素リストを .csv ファイルとして(例えば ICP-OES メソッドから)インポートするか、周期表の元素をクリックして作成できます。その後、各元素に最適な動作モードが Method Adviser により選択され、AHM Plus または AHM のみを使用するためのオプションが表示されます。
AHM Plus を選択すると、適宜 AHM モードまたはエアセルモードを使用して元素が取り込まれます。AHM を選択した場合は、すべての元素の取り込みに AHM モードのみが使用されます。どのオプションを選択しても、Method Adviser では、各要素に対して推奨される最適化された積分時間が使用されるため、メソッド設定がさらに簡略化されます。また、前世代のソフトウェアと同様に、多様なワークフローや規制に応じたプリセットメソッドが多数用意されています。
OpenLab ICP-MS には、新しい「スクリーニング」プリセットメソッドもあります。これは、半定量データを取り込むための専用の高速スクリーニングメソッドです。このスクリーニングメソッドでは、装置のチューニング溶液を使用して質量レスポンスの検量線が作成されるため、半定量データを生成するために標準溶液を調製する必要がありません。
IntelliQuant 機能の更新
IntelliQuant の星ランキングは高く評価されている便利な機能です。ICP-MS MassHunter 5.3 で導入された機能であり、IntelliQuant のフルスペクトルデータと定量測定値を組み合わせて、分析結果の総合的な品質をわかりやすい星ランキング形式で表示します。その際に、以下の情報が評価されます。
- IntelliQuant のフルスペクトルにもとづく潜在的な干渉
- 検量線品質
- バックグラウンド、BEC、DL データ
- 測定精度
各サンプルについて上記の 4 つのパラメータが評価され、必要に応じて星ランキングが調整されます。5 つ星の結果はデータの信頼性が高いことを示し、1 つ星または 2 つ星は問題の可能性を示します(高い % RSD が測定中の溶液不足を示している可能性があるなど)。低い星ランキングには、その同位体が 5 つ星でなかった理由を示す簡潔な説明も表示されます。
OpenLab ICP-MS の新機能である IntelliQuant の QuickScan 時間は、目的とするデータ品質に合わせて以下の 3 つのオプションから選択し、合計取り込み時間のバランスを取ることができます(図 4)。
- Snapshot:2 秒の高速フルスペクトルスキャン。基本的な半定量データの採取に適したオプションで、潜在的なスペクトル干渉の星ランキング評価には十分です。
- Standard:10 秒のフルスペクトルスキャン。十分な長さではないものの、低濃度の元素をより正確に検出できます。
- Extended:30 秒のフルスペクトルスキャン。時間と、専用の IntelliQuant メソッドを別途用意することとの最善のバランスを取ることができます。
IntelliQuant の星ランキングでは、内部標準の元素について精度だけでなく潜在的な干渉も評価されるようになりました。内部標準への干渉はデータの過小報告につながるため、この機能は重要です。例えば、内部標準として 72Ge を使用し、サンプルに予想外に高濃度の 144Nd が含まれていた場合、144Nd2+ による潜在的な干渉が 72 u に現れます。これによって見かけの Ge レスポンスが高くなり、Ge を内部標準として使用した場合に元素が過小報告される可能性があります。この問題が星ランキングで報告されるようになり、ユーザーはその情報をもとに代わりの内部標準を選択することができます。
その他の機能
これ以外にも、新機能と従来のソフトウェアバージョンから継承した機能を含め、多数の機能があります。参考のため、ICP-MS ジャーナルに掲載された過去の記事をご覧ください。
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