Agilent ICP-MS MassHunter バージョン 4.6 で初めて導入された ICP-MS 用 IntelliQuant は、あらゆるサンプルで半定量分析を自動化します。

IntelliQuant では、すべてのサンプルで取得されるオプションの 2 秒 QuickScan を使用します。QuickScan は測定可能な全質量範囲の完全な質量スペクトルを取得し、すべてのサンプルの半定量と総マトリックス固形分(TMS)の計算を容易化します。

総溶解固形分(TDS)と同様に、TMS はそれぞれのサンプルに含まれる主要なマトリックス元素の合計であり、予想外に高マトリックスであったサンプルのトラブルシューティングに役立ちます(例えば、サンプルが内部標準の抑制の原因となる場合など)。

イオン化抑制や、インタフェースコーンとレンズのマトリックス堆積物など、通常マトリックス効果の一因となると思われる元素は、TMS の計算に含まれています。酸(例、HCl や HNO3)に含まれる元素など、ガス元素は、ICP-MS で検知可能なマトリックス効果の原因とならないため、計算から除外されます。

IntelliQuant は直感的な周期表「ヒートマップ」としてデータを示し、元素をクリックすると詳細な分析結果が表示されます(図 1)。データは数値表でも示され、レポートに使用したり、スプレッドシートにエクスポートしたりできます。

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図 1.サンプルに含まれるすべての測定可能な元素の半定量データを示した IntelliQuant ヒートマップの例

データ評価を容易化する IntelliQuant の星ランキング

図 2 にまとめるように、ICP-MS MassHunter 5.3 では星ランキング機能が導入され、IntelliQuant がさらに強化されました。ボタンを 1 回押すだけで、星ランキングのサマリービューが表示されます。

星ランキングでは、以下のような複数の要素に基づき、各元素の定量結果のデータ品質を評価します:

  • スペクトル干渉
  • 測定精度
  • 検出限界およびバックグラウンド
  • 検量線品質

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図 2.IntelliQuant 星ランキングでは複数の条件を用いてサンプルデータを評価し、すべてのサンプルの各分析対象物に対して最終的な信頼度を提示します。

ICP-MS 干渉データベース

特に IntelliQuant と星ランキングのために、起こり得る干渉のデータベースを作成しました(図 3)。 このデータベースでは、ヘリウムコリジョンモードとノーガスセルモードの両方で、さまざまなプリセットプラズマモード(低マトリックス、汎用、UHMI)に対して実験的に抽出された形成率を使用します。干渉の強度は、サンプルマトリックス元素、プラズマ動作モード、および使用したセルモードによって異なります。データベースは複数のオプションに対してすでに「キャリブレーション」されているため、使用したプラズマやセルモードをソフトウェアに知らせるなど、ユーザーによる入力は不要です。

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図 3.Agilent ICP-MS MassHunter は強度の高いマトリックス信号に対して質量スペクトルを調べて、包括的なデータベースに基づき、起こりうる干渉(ある場合)を確認します。

ICP-MS データのレビューを容易化

サンプルバッチデータは、星ランキングのサマリービューを使用して提示されます。低い星ランキングに指定されたサンプルは、データ表と周期表ヒートマップでフラグが付けられ、すぐに確認できます。詳細な情報が必要な場合、ICP-MS MassHunter では、データ表またはヒートマップの元素をクリックすると低い星ランキングに関する詳しい説明を参照できます。

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図 4.「iQ」フラグが付けられたデータ表、および周期表ヒートマップを示した、ICP-MS MassHunter の IntelliQuant 星ランキングのビュー

IntelliQuant の詳細な活用例については、技術概要をダウンロードしてください:

Agilent ICP-MS IntelliQuant 分析