規制の課題に適合 ― PFAS 分析の包括的なワークフロー

ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物(PFAS)が残留し生体内で蓄積し、健康上の懸念事項であることを示す調査により、規制ガイダンスや厳しい要件を求める声が増大しています。

40 年以上にわたる環境分析市場でのリーダーとして、アジレントには水および環境サンプル中の PFAS の分析方法に関して深い知見と多くの経験があります。抽出から、スクリーニング、定量、レポート作成までの包括的なワークフローをサポートします。機器の立ち上げから、メソッド開発と最適化、分析の実施、結果の取得に至るまで、PFAS 分析の課題に関するお客様のニーズにお応えします。

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PFAS 試験の FAQ

よくある質問(FAQ)は、PFAS とはどういうものなのか、そして水、土壌、大気、食品、化粧品などに存在する PFAS の試験に関する一般的な課題について理解するうえで役立ちます。

ペル/ポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は、焦げ付き防止加工の調理器具、汚れをはじく衣類、食品接触材、洗剤、その他のクリーニング製品、消火剤の泡などのさまざまな産業製品や一般消費財において 1940 年代以降から使用されてきた、工業的に製造された一連の化合物です。産業界での実用性は、強力な炭素-フッ素結合に由来する特性であり、それ故、PFAS 化合物は、不活性度と安定性が非常に優れていると考えられていました。しかし残念なことに、環境中で分解されず、約数十年間にわたって残留することも意味します。それ故、PFAS は生態系および日常生活全体に広く存在するようになりました。水および廃棄物の化学分析に用いられる EPA メソッドと同じように、PFAS 試験メソッドは、水や土壌など環境中の PFAS の定量およびスクリーニングで必要とされています。

PFAS(ペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物)は、このような合成化合物クラス全体を包括的に示す用語です。PFOA は、炭素数 8 の鎖長を持ち、片方の端にアルコール官能基を持つクラスの特定の化合物の 1 つであり、ペルフルオロオクタン酸の略語です。PFOS は、アルキル鎖 8の炭素を持ち、スルホン酸末端基を持つ別の特定の PFAS 化合物であり、パーフルオロオクタンスルホン酸の略語です。PFOA と PFOS は、初期の PFAS 産業アプリケーションとして広く使用されてきました。PFOA と PFOS は、PFAS 化合物クラスで広く研究されている最初の 2 種類の化合物であり、US EPA が健康ガイダンスを公開した最初の 2 種類の化合物です。PFOA および PFOS の分析メソッドの策定が必要でした。そして、これらの化合物は、残留性有機汚染物質(POPs)として国連(UN)のストックホルム条約に記載された最初の PFAS 化合物でもあります。

US EPA によると、工業分野や商業分野で使用されているPFAS 化合物は 9,000 種類を超えて います。ただし、世界的な規制リストに注目した場合、現在、規制されている PFAS 数は50 種類未満です。つまり、規制リストに記載されているのは、現在知られている PFAS 数の 1~2 % 未満であると考えられます。このため、まだ PFAS 試験のスタート地点に立っているにすぎず、これから規制リストも拡大し続け、標準化された PFAS の抽出メソッドと分析メソッドも拡張されていくことが予想されます。

PFAS は数十年間にわたって広く使用され、容易には分解されないため、これらの化合物は人間と関係を持っているほとんどすべての生態系で検出されています。PFAS は、飲料水、廃水、土壌、食品、大気中で検出されており、大規模な環境曝露となっていることがわかります。PFAS は、焦げ付き防止加工の調理器具、着色料や撥水剤、塗料、クリーニング製品、食品包装材、さらには化粧品といった、何種類もの一般消費財で使用されています。加えて、いくつかの研究により、PFAS は野生生物や人間の血液中にも広く存在することもわかっています。そのため、水中の PFASの測定、土壌中の PFAS 試験、食品中の PFAS 試験、大気中の PFAS 試験、バイオソリッド PFAS 試験など、さまざまなマトリックスに対する多数の PFAS 検出メソッドが必要になっています。

ターゲット PFAS 分析は、規制メソッドに記載されている特定の PFAS 化合物を測定する際に使用します。適切な濃度(ppt レベル)で環境中の PFAS を正確に定量するための標準分析法では、感度と特異性が高いトリプル四重極 LC/MS(LC/TQ)を用います。LC/TQ は、US EPA メソッド、ASTM メソッド、ISO メソッドなどの規制メソッドで採用されています。

それに対して、ノンターゲット分析は、事前に情報やターゲットリストが与えられていない化合物を見つける際に使用します。つまり、通常、新しい PFAS 化合物を同定する際に有用です。この場合は、四重極飛行時間型 LC/MS(LC/Q-TOF)機器のような、高分解能精密質量システムを利用されます。このシステムは、公にされている 9,000 種類を超える多数の PFAS 化合物を同定するのに不可欠なツールです。

PFAS 試験のクリティカルなポイントとして、測定する PFAS がバックグラウンドコンタミネーションから発生した成分ではないことを確認することが重要です。アジレントでは、分析を正しく実施して、優れた品質のデータを提供するためのPFAS 専用ツールを用意しています。

多くのラボでは、EPA 533、EPA 537.1、EPA 8327、EPA 1633、ASTM D7979、ASTM 7968、および ISO 21675 を設定する際に、アジレントの専門知識に注目しています。当社のアプリケーションコンサルティングは、メソッドの移管、最適化、作成も、新たな規制への適合も、アジレントのコンサルタントがお手伝いします。PFASメソッドのアプリケーションコンサルティングについてはウェブページのアプリケーションコンサルティング、もしくは、最寄りの営業担当者にお問い合わせください。

PFAS はさまざまなところに存在している可能性はありますが、一般的にラボでの PFAS バックグラウンドコンタミネーションは低レベルです。このコンタミネーションは、使用している溶媒、ろ過装置、ラボ消耗品、さらには液体クロマトグラフから発生する場合があります。アジレントは、バックグラウンドノイズが最小量であることを確認するための、EPA や ASTM のような規制メソッドを含む、堅牢な PFAS 分析を設定するのに役に立つ PFAS 専用ツールとノウハウを提供しています。

ハーモナイズした PFAS データを収集するために不可欠な側面の 1 つとして、あらゆる場所で実施する標準メソッドが、高い信頼性と堅牢性を有することが挙げられます。US EPA は、飲料水中の PFAS を分析するメソッドとしてEPA 533EPA 537.1という 2 種類のメソッドを規定しています。廃水と表流水中の PFAS を分析するメソッドとしてEPA 8327を規定しています。EPA では現在、廃水と土壌中の PFAS 試験用のメソッドEPA 1633を策定中です。他のいくつかの標準化組織も、ルーチン用の規制メソッド策定を進めています。例えば、直接注入による水中の PFAS 分析用のASTM D7979、土壌中の PFAS 分析用のASTM 7968などがあります。UK、EU を含む世界全体でも、標準化メソッドを開発中です。水質 PFAS 試験メソッドのISO 21675は、LC/MS による水中の PFAS 定量用メソッドです。EU では、EU 飲料水指令で、水中の PFAS 試験に対して基準を設けています。アジレントは、これらの標準分析法の策定において、いくつかの機関と協力しており、迅速なメソッド開発に役立つサポートを行っています。

はい、できます。最高の感度と信頼性、最低のバックグラウンドノイズを実現するために、PFAS 試験向けにAgilent InfinityLab PFC フリー HPLC 変換キットを提供しています。このキットは、溶媒、ろ過装置、LC から発生する可能性のある PFAS コンタミネーションを排除します。このキットは、LC に取り付け、PFAS 試験メソッドで得られる結果の品質を向上させると同時に、他の化合物も分析の実施にも影響しません。ベストプラクティスとして、アジレントは、バックグラウンド評価実験を実施して、他の分析アプリケーションに必要な感度を実現していることをご確認いただくよう提案しています。


世界の分析事情 - PFAS との闘い「永遠に残る化学物質」による汚染

PFAS はその特性により、工業分野での使用、および調理器具用の焦げ付き防止コーティング、衣服やカーペット用の防汚コーティング、洗剤、洗浄剤、消化用泡剤のような日用品の製造での使用が普及しています。数十年にわたって広範に使用されたことにより、PFAS は環境中のあらゆる場所に残留し、世界中のすべての地域の組織サンプル内に存在しています。PFAS は生活を簡素化するために開発されましたが、モニタリングと使用制限の強化を必要とする深刻な問題となっています。



Sanexen Environmental Services が PFAS 試験に対する顧客ニーズをどのように満たしているかを学習できます

PFAS は差し迫った環境問題です。このビデオでは、環境修復のリーディング企業、Sanexen Environmental Services が、アジレントの機器、ソフトウェア、消耗品、およびサポートを使用した正確かつ短時間での分析試験を含め、サンプル中の PFAS に対処する方法を説明します。包括的なワークフローにより、結果が得られるまでの時間を数日間から 24 時間にまで短縮し、Senexen はカスタム仕様の顧客ソリューションの提供を可能にしました。



Weck Laboratories がどのように PFAS 試験で一歩先を進み続けているのかをご覧ください

PFAS は、至る所で残留している新規汚染物質で、その分析は大きな関心を集めています。このビデオでは、Weck Laboratories の研究所テクニカルディレクタの Agustin Pierri, PhD が、Agilent トリプル四重極 LC/MS システムを使用して、代表的なサンプリングや汚染予防を含む、低濃度の PFAS の定量の課題を解説します。



規制対象 PFAS の増加に対応するために

PFAS に起因する健康危機は数十年にわたって進行中で、4,800 種類以上の PFAS が商業使用のために作成されてきました。規制当局によるガイダンスや制限は、世界中の地域によって異なります。環境中に新しい PFAS が同定され、より多くの毒性情報が明らかになればなるほど、さらなる規制が確実なものとなります。アジレントは、増え続ける PFAS リストに対処するための包括的なソリューションを提供します。これらのソリューションには、サンプル容器、サンプル前処理、抽出、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)分析が含まれています。分析メソッドや関連装置の情報を集めた資料(英語、30ページ)をご覧いただけます。




PFAS 試験のメソッド

環境マトリックス中の PFAS のターゲットスクリーニングのガイド

PFAS 分析の経験者、それとも初心者ですか?学習すべきことはたくさんあります。アジレントのエキスパートによって書かれた電子書籍、Guide to Targeted Screening of PFAS Compounds in Environmental Matrices(環境マトリックス中の PFAS 化合物のターゲットスクリーニングのガイド)では、PFAS 分析の基礎と現在および今後予想される規制の枠組みについて解説しています。PFAS 分析の経験者にも、初心者にも、この電子書籍は、環境中の PFAS、規制メソッド、適切な分析機器およびメソッド、そして絶え間なく変化するこの環境分析領域において将来的にも対応できるラボをどのように実現するかについて、価値ある情報を提供しています。

電子書籍をダウンロード(英語)

エキスパートによるディスカッション:PFAS 分析の性能を最適化するための戦略

環境マトリックス中の PFAS のターゲット分析と測定に関連する重要な課題への対応をエキスパートから学ぶことができます。Detlef Knappe 氏(米国、ノースカロライナ州立大学)、Bradley Clarke 氏(オーストラリア、メルボルン大学)、Carrie McDonough 氏(米国、ストーニーブルック大学)が、PFAS 分析での最大の課題、最良の結果を提供する分析手法、PFAS 分析で高分解能質量分析(HRMS)を採用する際の課題、そして将来の展望について洞察します。

ウェビナーを見る(英語)

水中の PFAS のための US EPA メソッド 1633

US EPA メソッド 1633 公衆衛生を守るために不可欠な、非飲用水、土壌、組織の PFAS モニタリングを対象とした、標準化された堅牢なメソッドです。

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包括的な飲料水および表流水の eMethod

ラボを PFAS 分析の配備に向けて準備することは、時間がかかるうえに複雑な場合があります。アジレントのすぐに使える eMethod で、速やかに分析が開始できます。

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ノンターゲット分析

ターゲット分析メソッドの多くは少数の PFAS に焦点を当てるため、包括的な PFAS 測定には Q-TOF を使用するノンターゲットメソッドが必要です。

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US EPA メソッド 533

高品質の飲料水は健康にとって重要です。US EPA メソッド 533 には、SPE前処理、LC/MS/MS 分析と飲料水中の 25 種類の PFAS 定量について記載されています。

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US EPA メソッド 537.1

高品質の飲料水は健康にとって重要です。US EPA メソッド 537.1 には、飲料水中の 18 種類の PFAS の SPE前処理、LC/MS/MS 分析について記載されています。


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US EPA メソッド 8327

US EPA メソッド 8327 は、表流水と廃水を含む非飲料水中の 24 種類の PFAS 分析のための高速、ダイレクト注入のLC/MS/MS メソッドです。


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ASTM メソッド D7979

ASTM メソッド D7979 は、廃水などの非飲料水に含まれる 21 種類の PFAS を分析するための検証済みのダイレクト注入の LC/MS/MS メソッドです。


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固相抽出メソッド

適切なサンプルのクリーンアップおよび濃度を得るために、US EPA メソッド 537 および 533 などの規制メソッドは SPE を使用して飲料水から PFAS 抽出を要求しています。


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ダイレクト注入メソッド

特定の水マトリックスでは、ダイレクト注入 LC/MS による高速 PFAS 分析が最適であり、時間とコストを節約できます。


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土壌、堆積物、固体マトリックスにおける PFAS 試験の課題に対処

土壌中の PFAS を分析する必要がありますか?アジレントの最初から最後までのワークフローを使用して、進化する規制環境における土壌、堆積物、固体マトリックスでのPFAS試験の課題にどのように対処できるかをご覧ください。当社の専門家チームは、方法を開発および最適化して、迅速に稼働させ、PFAS 分析を実行する際に先を行くことができます。





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