3. 2. 2 逆相液体クロマトグラフィー(Reversed phase liquid chromatography, RPC)

逆相液体クロマトグラフィーは、固定相として極性の低い化学結合相を導入した充塡剤を、移動相として高極性の溶媒を用います。極性の高い化合物は固定相に保持されにくいため、極性の低い化合物が遅く溶出します。化学結合相としてオクタデシル基(C18)をシリカゲルに導入したオクタデシルシリル化シリカゲル(ODS)は、HPLCで最も広く利用されている充塡剤です。RPCではODS以外に、オクチル基(C8)やフェニル基(Phenyl)を導入した充塡剤も用いられます。

医薬品の分析例を図3に示します。移動相を変更することで水溶性化合物、脂溶性化合物どちらの分析にも使える適用範囲の広さと、様々な種類のカラムが市販されており、カラムの選択肢が広いことが特徴です。

図3 医薬品の分析例

図3 医薬品の分析例

カラム ZORBAX Eclipse plus C18、4.6 × 75 mm、3.5 μm(P/N 959963-902)
移動相 メタノール / 20 mMリン酸塩緩衝液(pH 7.0)= 20/80
検出器 UV

3. 2. 3 イオン対クロマトグラフィー(Ion-pair chromatography)

イオン対クロマトグラフィーは、移動相にイオン対試薬と呼ばれるイオン性化合物(アルキルスルホン酸塩、アルキル4級アンモニウム塩など)を添加して、RPCでは保持しないようなイオン性化合物をRPCの固定相で分離します。イオン対試薬は、分析対象とは反対の電荷をもつもの、陰イオン性化合物の場合はアルキル4級アンモニウム塩、陽イオン性化合物の場合はアルキルスルホン酸塩を用います。イオン対試薬と反対の電荷をもつ分析種はイオン会合体を形成し(図4)、ODSなどに保持されるようになります。イオン対クロマトグラフィーを用いたメラミンの分析例を図5に示します。

図 5 イオン対クロマトグラフィーによるメラミンの分析例

図 5 イオン対クロマトグラフィーによるメラミンの分析例

カラム ZORBAX SB-C8 , 4.6 × 250 mm, 5 μm(P/N 880975-906)
移動相 A; 10 mMクエン酸+10 mM オクタンスルホン酸ナトリウム
B; アセトニトリル
A/B = 92/8
検出 UV

参考:その他のメラミン分析例(LC/QT)

3. 3 親水性相互作用クロマトグラフィー(Hydrophilic interaction chromatography, HILIC)

親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)は、固定相としてアミノ基など高極性の結合相を導入した充塡剤やシリカゲルを、移動相として水(緩衝液)とアセトニトリルの混合溶液を用います。RPCでは保持の弱い(極性の高い)化合物の分離に適しています。図6にHILICによる糖類の分離例をしまします。

図 6 HILICによる糖類の分析例

図 6 HILICによる糖類の分析例
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カラム
移動相 水/アセトニトリル = 15/85
検出器 ELSD

参考:その他の糖分析例