4 検出

クロマトグラフィーは分離手法なので、分離した分析種を検出する検出器と適切に組み合わせることで、定量分析が可能になります。HPLCで利用される主な検出器と特徴を表2に示します。検出器は、適用可能な化合物、感度、選択性などを考慮して選択する必要があります。

表2 HPLCで用いられる主な検出器と特徴

検出器 対象化合物 感度 選択性 汎用性
紫外可視吸光光度検出器 吸光物質
蛍光検出器 蛍光物質
示差屈折率検出器 すべての物質
蒸発光散乱検出器 不揮発性物質
質量分析計 イオン化する不揮発性物質

◎:非常に良い ○:良い ●:良くない

4. 1以降に質量分析計を除く検出器について説明します。

4. 1 紫外可視吸光光度検出器(UV-Vis detector)

HPLCで分析する有機化合物の多くは、紫外・可視領域に吸収を有します。そのため、紫外可視吸光光度検出器はHPLCでもっとも広く利用されています。光源には、重水素放電管(D2ランプ)が用いられますが、可視領域の吸収を感度良く測定するためにタングステンランプを併用することもあります。単一波長の吸収を検出するVWDと多波長の吸収を同時に検出するDADがあります。検出波長は、分析種の極大吸収波長を設定することが一般的です。

4. 1. 1 VWD(variable wavelength detector)

VWDは、光源の光をグレーティングで分光し単色光にした後、フローセルに当て吸光度を測定します。VWDの光学系を図12に示します。VWDは、単一波長による検出を行うので、多成分同時分析で各分析種の極大吸収が異なる場合は、タイムプログラムで波長を切り替えて検出することができます。

4. 1. 2 DAD(diode array detector)

DADはVWDとは異なり、光源からの光を分光せずにセルに照射します。セルを透過した光を分光し、フォトダイオードを並べた素子(フォトダイオードアレイ)で検出します。DADの光学系を図13に示します。

DADはカラムからの溶出液のUV-Visスペクトルを記録することができます。そのため、多波長同時検出やピーク純度検定、標準物質のUV-Visスペクトルとの照合が可能で、ピーク同定能力がVWDより優れています。図14に、DADによるクロマトグラムとUV-Visスペクトルスペクトルの同時採取のイメージを示します。