COVID-19 | Insights

個人用保護具（PPE）とマスクの使用は、特定の呼吸器感染症の感染拡大予防と制御において重要な役割を果たします。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）が世界的に大流行する状況で、世界保健機関（WHO）は、COVID-19 に関連し、医療用および非医療用マスクの使用について指針を発表しています。¹

医療用マスクには、国際または国内規格に従い、満たさなければならない性能基準があります。² しかし、織布または不織布をさまざまに組み合わせて作られた非医療用マスクに対し、特定のガイドラインはありません。

WHO は、素材、層数、形状、布被覆など、非医療用マスクの複数の特性について説明しています。フーリエ変換赤外分光高度計（FTIR）および Laser Direct Infrared（LDIR）ケミカルイメージングシステムを使用し、非医療用マスクの素材の種類、ポアサイズ、層構造を特定できます。

この記事では、非医療用マスクの特性を分析するために、アジレントの FTIR および LDIR 分析装置を使用する方法について説明します。

FTIR によりマスクの材料をすばやく特定

FTIR 分光分析は、マスクの材料を正確に特定し分析するための、高速で非破壊的な方法を実現します。減衰全反射（ATR）アタッチメントを取り付けたコンパクトな Cary 630 FTIR により、マスクの材料の種類をすばやく特定できます。

このメソッドでは、赤外ライブラリ（図 1）に対する単純なスペクトルマッチング法を採用しており、適合した材料の種類のリストが示されます。ATR アタッチメントは、液体、固体、粉末、半固形、ペーストなど、広範な種類のサンプルを測定可能です。

アジレントはまた、現場での測定に最適で、ベンチトップ Cary 630 FTIR と同じメソッドと技術を搭載した可搬型 FTIR（4500 モデル）もご用意しています。

LDIR により非医療用多層マスクの高解像度ケミカルイメージを生成

Agilent 8700 Laser Direct Infrared（LDIR）ケミカルイメージングシステムは、洗練されたアプローチによるケミカルイメージングとスペクトル解析を実現します。8700 LDIR は、高度に自動化された手法により、表面成分の高精細ケミカルイメージを取得します。サンプルをセットするだけで簡単に使用でき、ユーザーによる操作はほぼ必要ありません。

図 2 の例では、Agilent 8700 LDIR を使用して非医療用多層マスクの高精細ケミカルイメージを取得しました。10×10 mm サンプル領域の高精細ケミカルイメージが 2 分未満で得られました。これらの高精細イメージから、各層の構造やポアサイズなどの化学的情報を抽出できます。この例では、外層の主なポアサイズは 750 ～ 800 µm でした（図 2A）。高倍率光学系を使用し、不規則な形状の直径 20 µm 以下の小さなポアがこの層に確認されました（図 2B）。

8700 LDIR ケミカルイメージングシステムにより、材料の構造と厚さを迅速に判別し、非医療用マスクの欠陥を特定することができます。この例では、8700 LDIR により、1.5 分未満で 3 層の構造とポアサイズが特定されました。

参考文献

1. World Health Organization, Interim Guidance, Advice on the use of masks in the context of COVID-19, June 2020, https://apps.who.int/iris/rest/bitstreams/1279750/retrieve
   Accessed July 2020
2. ASTM International, Standard Specification for Performance of Materials Used in Medical Face Masks, ASTM F2100-19e1, Book of Standards, Vol 11.03

◆製品ページへのリンク

1. 高性能で使いやすい、超コンパクトサイズの柔軟なベンチトップフーリエ変換赤外分光光度計
   Cary 630 FTIR 分光光度計
2. 従来は顕微ラマンなどで行っている医薬品の錠剤の表面分析、ポリマー、繊維の組成、マイクロプラスチックも迅速かつ高精細に解析できるケミカルイメージングシステム
   Agilent 8700 LDIR (Laser Direct Infrared) ケミカルイメージングシステム