Advanced Dilution System(ADS 2)と Agilent ICP-MS を使用することで、ラボの効率性が大幅に向上し、分析者の作業負荷が低減されます。
機器、自動希釈システム、AVS MS スイッチングバルブ、オートサンプラの組み合わせは、多数のサンプルのルーチン分析を手がけるラボにとって特に有益です。この統合型の自動希釈システムは、分析対象物の濃度が大きく異なる多様なサンプルを分析するためにも使用できます。
1 つの評価では1、Agilent 7850 ICP-MS に ADS 2 と Agilent SPS 4 オートサンプラを組み合わせて使用し、単一のメソッドでさまざまな環境サンプル中の 26 種類の主要元素、微量元素、極微量元素を測定しました。
飲料水、廃水、河川堆積物、土壌、人工海水の分析を通じ、ADS 2 を組み合わせた 7850 ICP-MS の性能を評価しました。 多様なサンプルタイプと未知の総マトリックス固形分(TMS)含有量を考慮し、7850 の UHMI を使用してプラズマの負荷を低減し、プラズマのロバスト性(低い CeO+/Ce+ 比)を向上させました。
もう 1 つの研究では2、144 種類の分解土壌サンプルの分析に注目するとともに、ADS 2 と UHMI がどのように連携するかを実証しました。分析者たちは、図 1 に示されているように、2 秒の IntelliQuant Quick Scan を実行してサンプルの TMS をすばやく評価することができます。TMS は使用する UHMI 設定を選択するのに役立ちます。IntelliQuant はまた、希土類元素など、予想外の元素を同定し、メソッドに関する貴重な情報を提供します。

ADS 2 が自動で標準溶液を調製
さらにもう 1 つの研究では3、Agilent 7900 ICP-MS を使用した、廃水に含まれる 31 種類の元素の定量分析を対象に、検量線の自動調製に関する ADS 2 の性能を評価しました。すべての元素は、200 倍、100 倍、40 倍、20 倍、10 倍、4 倍、2 倍の希釈係数を使用して、20 分未満で標準原液から自動で検量線を作成しました。
図 2 に示した代表的な検量線は Be、As、Cd、Pb など、質量数の低い元素から高元素までをカバーしています。直線性 R ≥ 0.9995 が示すように、検量線範囲にわたってすべての成分で優れた直線性が得られました。

高マトリックスサンプルの希釈リストに基づく希釈
ADS 2 の指定した希釈リストに基づく希釈機能を実証するために、自動希釈システムを使用して、分析前に河川堆積物 B CRM を 25 倍に希釈しました。認証元素の結果を表 1 に示します。CRM に Be、Mo、Ag、Hg の認証値は提示されていないため、元素は該当の濃度で手動で添加しました。
すべての元素の測定値は濃度期待値の ±15 % 以内に収まり、高マトリックス河川堆積物サンプルの自動希釈に対する ADS 2 の有効性が実証されました。

再希釈による CRM の正確な分析
サンプルの再希釈により、分析後の再分析や繰り返しのサンプルバッチ測定の必要性が低減され、時間の節約と生産性の向上につながります。
ADS 2 の再希釈性能を示すため、7850 ICP-MS と ADS 2 を組み合わせ、飲料水、廃水、河川堆積物、土壌 CRM をそれぞれ 3 回分析しました。一部の元素(飲料水中の Na、Ca、Mo、Ba、河川堆積物中の Al、Ca、Cr、Fe、Ba、土壌中の Al、K、Mn、Fe、Cu、Zn、As、Ba、Pb)濃度は、初回に検量線範囲を超えて測定されました。
ADS 2 の再希釈(表 2)の後、これらのマトリックス中の元素に対して 100 ± 5 % の回収率が達成され、自動希釈の精度が実証されました。
