リテンションタイムロッキング

リテンションタイムロッキング(RTL)により、1 つのアジレント GC または GC/MSD システム上のリテンションタイムを、同じ種類のカラムやメソッドを使用した他の同様のシステムで、正確に一致させることができます。これにより、メンテナンスのためにカラムをトリミングした後に、単一の GC で同じリテンションタイムを維持できます。


設定

RTL では、現行のメソッド設定値を中心に(OpenLab ChemStation および MassHunter では 5 つのポイント、OpenLab CDS では 3 つのポイント)、さまざまな注入口圧力において、リテンションタイムが既知の化合物に対してデータを収集する必要があります。次に、特定の機器を特性解析するための圧力-リテンションタイムの曲線が生成されます。この曲線を使用して、希望するタイミングでロック化合物を溶出させる予測圧力を計算して保存することで、メソッドが該当の圧力で実行されます。



ロッキングを行うタイミング

GC システムに変更を加えたり、メソッドを 1 つの GC システムから他の GC や GC/MS に移行したりする場合は、必ずメソッドをロッキングまたは再ロッキングする必要があります。ロックされたメソッドを作成し維持するために、以下の場合は RTL を実施しなければなりません。


  • カラムの変更またはトリミング
  • 新しい機器へのメソッドのインストール
  • 出口圧力が異なる検出器の使用(GC に対して MS)
  • システム性能の検証
  • クロマトグラフ問題のトラブルシューティング


用途

RTL は、多くの場合にルーチンのクロマトグラフメンテナンス後の予測リテンションタイムの更新に伴う時間を節約し手間を減らす、使いやすく柔軟なツールを提供します。また、同じラボ内、またはラボネットワーク全体の複数の GC システムに対し、同じ GC メソッドを実行している場合に同じリテンションタイムを設定できます。したがって、簡単にデータを比較でき、品質管理チェックを簡素化することが可能です。




リテンションタイムロッキングアプリケーション

8890/5977 GC/MS でリテンションタイムロッキングを用いた EPA 8270E メソッド

8890 GC で RTL メソッドを実行することにより、カラムメンテナンス後のリテンションタイムの再現性が促進され、データ処理時間とダウンタイムが短縮されます。

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8860 GC での有機塩素系農薬のリテンションタイムロッキング

8860 GC と OpenLab CDS のリテンションタイムロッキングウィザードを組み合わせて使用することにより、カラムのメンテナンス後もリテンションタイムを容易に維持できることが立証されました。

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8890 GC とリテンションタイムロッキングによる FAME 分析

RTL により、FAME 異性体の一貫した正しい同定、機器メンテナンス後の早い稼働、ラボ 間でのより容易な比較が実現します。

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