半導体サンプル中の複数の元素に対するスペクトル干渉のリスクを解消するため、多くの場合、8900 はガスモードを切り替える単一のマルチチューンメソッドでの動作が可能です。通常、これらの動作モードには、ノーガスモード、コリジョン(ヘリウム)モード、および反応性のセルガスを用いたモード(1 つ以上のリアクションガスを使用)が含まれます。
多くの 8900 ICP-QQQ メソッドでは、サンプルマトリックスと分析目的に応じて混合ガスを使用します。例えば、メソッドで、干渉を抑制するためにセルガスとしてアンモニア(NH3)を使用したり、有機溶媒を分析するために酸素(O2)を使用する必要がある場合、ガスはそれぞれ 10 % NH₃/He または 20 % O₂/Ar の混合物として供給されます。ただし、混合ガスを使用する必要がある場合、施設には以下のような課題が課されます。
- 追加投資:ラボに混合ガス供給インフラストラクチャを設置するコスト
- サプライチェーンのリスク:高純度の特殊混合ガスを調達する難しさ
- 規制上のハードル:特定の混合ガスには安全性データシート(SDS)がない
これらの問題を解決するため、Agilent 8900 ICP-QQQ では純ガスを使用できるようになりました。これにより、半導体業界のユーザーの選択肢が広がり、柔軟性が高まり、ガス管理が容易になります。
適合装置:ガスオプション
半導体ラボでは、8900 ICP-QQQ で使用するガスとして、施設のニーズに応じた最適なオプションを選べます。
新規のお客様は、以下の 8900 ICP-QQQ モデルから選択できます。
- Agilent 8900 ICP-QQQ(G3665AA)#210:セルガスとして純 NH₃ を使用できます。有機溶媒分析用のオプションのアップグレード* では純 O₂ にも対応できます。
- Agilent 8900 ICP-QQQ(G3665AA)#200:引き続き混合ガスモードで使用できます。
アップグレードオプション
- Agilent 8900 #100 および 8900 #200 には、以下の純ガスキットを装着できます。
- 純アンモニアセルガスキット(G5726A)、セルガスアプリケーション用
- *純酸素オプションガスキット(G5725A)、有機溶媒分析用
純アンモニアと混合アンモニアの性能比較
純アンモニアガスと He に 10 % の NH₃ が含まれるガスでは同等のセルガス性能が得られ、8900 ICP-QQQ の仕様に関係なく一貫したデータ品質が確保されます(図 1)。
超微量分析における汚染リスクを最小化
超微量分析では、ワークフローのあらゆる段階で汚染を徹底的に抑制することが要求されます。汚染によるリスクを最小化するには、分析を元の容器から直接行えるよう、大容量のサンプルボトルをオートサンプラの適切なポジションに直接かつ柔軟にセットできなければならないと、ユーザーは訴えてきました。大容量のボトルを使用すれば移送ステップが減り、測定中に汚染される可能性が大幅に低下するからです。ところが、このような大容量ボトルを収容するには、Agilent SPS 4 など従来のオートサンプラより広いスペースが必要です。
この制限を解決するため、アジレントは、ボトル用のスペースを拡張した新しい Agilent SPS 6 オートサンプラを開発し、はるかに大容量のボトルを直接セットできるようにしました。Agilent ICP-MS MassHunter バージョン 5.4 以降と組み合わせれば、ラック位置を設定できるため、配置とボトルサイズ選択の柔軟性が高まります。これにより、半導体メーカーは汚染リスクを低減しながら、運用効率を向上できます。
SPS 4 および SPS 6 オートサンプラの類似点と相違点
- ICP-MS MassHunter バージョン 5.4 以降* で管理する場合、どちらのオートサンプラでも柔軟な配置が可能で、さまざまなボトルサイズを収容できます。
- どちらのオートサンプラも 500 mL および 1000 mL ボトルを収容できるため、汚染のリスクを抑えながらワークフロー効率を高めることができます。
- 新しい SPS 6(G8417A)オートサンプラに収容可能なラック数は SPS 4(G8415A)オートサンプラより 2 個増えています。より大きなボトル容量とより広い作業スペースを実現し、大量のサンプルを分析するアプリケーションに適しています。
*SPS 6 オートサンプラには MassHunter バージョン 5.4.1 以降が必要です。
ICP-MS MassHunter ソフトウェアでさらに使いやすく
ICP-MS MassHunter ソフトウェアバージョン 5.4 には、純ガスと混合ガスの両方の装置仕様に対応できるシンプルな調製仕様機能が追加されています。この機能により、経験の浅いユーザーでもプロセス薬品の超微量元素分析の測定条件をすばやく正確に設定できます。
また、ソフトウェアのアップデートのたびに、ナノ粒子(NP)分析に対する 8900 ICP-QQQ の使いやすさが着実に向上しています。例えば、ICP-MS MassHunter バージョン 5.4.1 では、単一粒子(spICP-MS)分析用のメソッドテンプレートが強化され、従来のメソッドテンプレートより低い BEC 条件でより高い感度が得られるようになりました。粒子分析と従来の元素濃度の測定の両方に ICP-QQQ を使用する機会が増えているラボにとって、これは有益な改善です。
半導体業界にもたらされる利点
8900 ICP-QQQ は、純ガス仕様(モデル #210)でも混合ガス仕様(モデル #200)でも同等の分析性能を発揮します。どちらの仕様の装置を使用する場合も、シンプルな調製仕様ワークフローに従うことで 1 ppt 未満の検出下限を達成し、半導体業界に課される厳しい汚染管理基準をすべて満たすことができます。
大容量に対応できる SPS 4 および SPS 6 オートサンプラを組み合わせれば、ハンドリングステップを最小化して汚染リスクを減らし、これらの結果をさらに確実なものにできます。
また、混合ガス仕様および純ガス仕様の両方に適用可能な Agilent SEMI S2 コンプライアンスキット(G3685A)があれば、どのような設定でも安全性と規制コンプライアンスを確保できます。
ユーザーの声にもとづいたアップデート
アジレントは、ICP-MS および ICP-QQQ プラットフォームと ICP-MS MassHunter ソフトウェアに対してニーズに沿ったアップデートを行うために、お客様との密接な協力体制を築いています。8900 ICP-QQQ のガスオプションを増やして純ガスを追加し、オートサンプラの容量を拡張するという決断も、お客様からフィードバックにもとづいています。
また、施設のニーズに応じて選択できるよう、8900 #200(混合ガス)および #210(純ガス)ICP-QQQ モデルのほか、純酸素などの純ガスを追加する有機物分析用のアップグレードオプションや SPS 6 オートサンプラを提供しています。さらに、最新のソフトウェアがあれば、これらの革新技術によって汚染管理、運用の柔軟性、規制コンプライアンスに対処し、半導体メーカーに最適な超微量元素分析と効率的なワークフローを実現できます。アジレントは引き続き、業界の要件とともに進化するソリューションを通して、半導体分析における技術革新の推進に取り組んでいきます。





