Agilent ICP-MS MassHunter ソフトウェアは、Agilent ICP-MS および ICP-QQQ システムの機器制御とデータ解析(DA)を実行します。ICP-MS MassHunter の最新リビジョン(バージョン 5.4)が、2025 年 6 月にリリースされました。これは現行の Agilent 7850 および 7900 シングル四重極 ICP-MS システムと Agilent 8900 ICP-QQQ システムをすべてサポートしており、Agilent 7800 ICP-MS および 8800 ICP-QQQ プラットフォームとも互換性があります。

ICP-MS MassHunter 5.4 は Windows 11 に対応しているため、ラボは Windows 10 のサポート終了に備えてスムーズに移行できます。また、Agilent OpenLab Server/ECM XT 2.7/2.8 および ECM 3.6 などのコンプライアンスソリューションも統合されています。

このソフトウェアバージョンでは、高純度半導体試薬用の新しいワークフロー、単一ナノ粒子(sNP)分析の大幅な機能強化、ドライポンプのサポート、Agilent SPS 4 オートサンプラ用カスタムラック、SEMI E30 ソフトウェア開発キットとの統合が導入されています。このような新機能は、半導体ラボと先端材料ラボの進化するニーズに対応できるように設計されています。

ICP-MS MassHunter 5.4 の新機能

ICP-MS MassHunter バージョン 5.4 は、バージョン 5.1 で導入された簡素化された新しいユーザーインタフェースに基づいて構築されており、数多くの機能が強化され、次のような新機能も追加されています。

シンプルな調製仕様:高純度試薬用の新しいワークフロー

この新しいソフトウェアバージョンでは、「シンプルな調製仕様」と呼ばれる新しいワークフローが導入されています。このワークフローには、高純度試薬の微量元素分析を簡素化するための一連のプリセットメソッドが含まれています(図 1)。このような調製仕様は、特に経験の浅いオペレータにとって便利です。UPW、H₂O₂、HNO₃、HCl、H₂SO₄、IPA の調製仕様が含まれています。各調製仕様により、起動時とオートチューン時にプラズマ条件を自動的に最適化できます(ウォーム/クールプラズマ設定を含む)。専用の高速オートチューンルーチンは 8 分未満で完了し、ほとんどの元素で、1 ppt 未満の BEC を達成できます。ワークフローにはサンプル調製からデータ取り込みまでガイドする包括的な SOP が用意されているため、ばらつきや必要なトレーニングを減らすことができます。シンプルな調製仕様で作成したバッチをカスタムチューニングに変換し、必要に応じて完全な手動での最適化に利用することもできます。

A software interface displaying a detailed configuration screen with task navigation on the left and a settings window in the center. Various data fields and options for gas flow and sampling types are visible, indicating equipment configuration for scientific analysis. The layout is structured and technical, conveying a professional, analytical tone.

図 1.プリセットメソッドが選択されているシンプルな調製仕様のユーザーインタフェースの例

単一ナノ粒子(sNP)分析の機能強化

ICP-MS MassHunter 5.4 では、単一ナノ粒子(sNP)分析モジュールの大幅な機能強化が導入されています。インタフェースの再設計により、FullQuant ワークフローと同様に、多元素 sNP のデータを 1 つの画面で設定、確認できるようになりました(図 2)。新しいアルゴリズムは、粒子信号の検出用にガウシアンフィッティングをサポートしています。これにより、参照物質中の粒子凝集を説明できます。また新しいアルゴリズムにより、相対標準偏差(RSD)基準に基づいて外れ値を検出できます。また粒子、質量、イオン濃度の単位を幅広く選択できるようになりました。さらに高度な視覚化ツールにより、最大 6 種類の元素を同時に、カスタマイズ可能な粒子サイズチャート付きで表示できます。

Modern laboratory setup featuring advanced analytical equipment, including an ion chromatograph, autosampler, ICP-MS, and computer monitor on a counter.

図 2.サンプルデータが表とグラフで表示されているデータ解析ソフトウェアのインタフェース。科学的分析に役立つ粒子と信号のサイズ分布チャートが含まれています。

ICP-MS MassHunter バージョン 5.4 で強化されたその他の機能:

 
  • Agilent ADS 2 システムの改善:サンプル消費量抑制オプション、検量線範囲外サンプルの分析後の自動ブランク挿入、PDF 形式のシステムテストレポートなど
  • ドライポンプのアーリーメンテナンスフィードバック(EMF)追跡
  • SPS 4 オートサンプラの非標準ラック構成を定義および複製するオプション(図 3)
  • SEMI E30 ソフトウェア開発キットの統合をサポート。これにより、GEM/SECS-II プロトコルによる半導体製造装置との通信が可能
Custom rack editor interface showing a rack layout with various grey geometric shapes representing custom bottles in an 8x3 grid. Settings for vial shape and size are on the right.

図 3.Agilent SPS 4 オートサンプラのカスタムラック構成ツール

詳細情報:Agilent ICP-MS ソフトウェア | アジレント

この記事で前述した ICP-MS メインフレームに加えて、ICP-MS MassHunter 5.4 は以下と互換性があります。

  • Windows 11 Pro または Enterprise(64 ビット) v.23H2 および 24H2
  • Microsoft Excel。ICP-MS MassHunter は Excel を必要としませんが、Microsoft 365 Excel(オンプレミス)および 64 ビット Excel 2024 と完全に互換性があります。32 ビットの Excel 2021 にも対応しています。
  • アジレント製および他社製*のオートサンプラとアクセサリ(*アクセサリサプライヤのプラグインが必要)。
  • Agilent 7890 GC、8890 GC、および 7693 オートサンプラ。オプションのクロマトグラフィーソフトウェアモジュールが必要です。
  • ほぼすべての Agilent 1100 および 1200 シリーズ HPLC モジュールと周辺機器。オプションのクロマトグラフィーソフトウェアモジュールが必要です。
  • アジレントのコンプライアンスソフトウェア、Workstation Plus、OpenLab Basic Server/OpenLab Server、ECM XT 2.7/2.8、ECM 3.6.

研究の概要はこちらをご覧ください。

DE-008356