ICP-MSの原理

ICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析計)の原理

ICP-MS は、高感度な多元素分析を高いサンプルスループットで実現する元素分析装置です。プラズマ (ICP) をイオン源として使用し、発生したイオンを質量分析部 (MS) で検出します。周期表上のほとんどすべての元素を同時に測定可能であり、測定元素についてサブ ng/L (ppt) の濃度レベルで測定できます。また、定性分析、半定量分析、定量分析を実行でき、質量分析であるため同位体比測定も可能です。


図1. Agilent ICP-MSの構成

イオン源としてのプラズマ
一般に、液体サンプルはペリスタルティックポンプでネブライザに導入され、そこでエアロゾル化します。ダブルパス型のスプレーチャンバの採用により、安定したエアロゾルがプラズマに導入されます。アルゴン (Ar) ガスは石英製トーチに導入され、ICP (誘導結合プラズマ) を形成します。トーチは、RF エネルギーが印加された RF コイルの中心に位置します。強力な高周波が Ar 原子同士の衝突を発生させ、高エネルギーのアルゴンプラズマを生成します。エアロゾル化されたサンプルは、プラズマ (温度は 6,000 〜 10,000K) 内で瞬時に分解し、測定対象元素は原子化、そしてイオン化されます。発生したイオンはプラズマから、高真空状態 (通常は 10-4Pa) に維持された質量分析部に送られます。この真空状態は、差動排気により維持され、測定対象のイオンはサンプリングコーンとスキマーコーンと呼ばれる一対のオリフィスを通って導かれます。

ORS コリジョンセル
プラズマとサンプルマトリックスに起因する干渉を除去しています。
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四重極質量アナライザ
次に、測定元素イオンは、イオンレンズシステムにより四重極質量アナライザに収束され、質量電荷比に基づいて分離されます。「四重極」という用語は、質量アナライザが基本的に4本の平行なロッドから構成され、そのロッドに RF 電圧と DC 電圧を組み合わせて印加することに由来しています。この電圧の組み合わせにより、四重極質量アナライザは、特定の質量電荷比を持つイオンのみを透過させることができます。

検出器
最後に、イオンは二次電子増倍管で測定され、質量数ごとの信号となります。

質量スペクトル
得られる質量スペクトルは、きわめてシンプルなものです。各元素の同位体の信号がそれぞれの質量数 (たとえば Al は 27amu) に現れ、その信号強度は、サンプル溶液内の当該同位体の濃度に比例します。低質量数のリチウム (Li) から高質量数のウラン (U) までの多数の元素を同時に分析でき、所要時間は通常 1 ~ 3分程度です。ICP-MS を使用すると、ppt オーダーから ppm オーダーまでの濃度のさまざまな元素を一度に測定できます。

アプリケーション
ICP-MS は、微量元素の測定を行う主要分析ツールとして、半導体、環境分析、地質学、化学、原子力、クリニカルおよび各種研究所をはじめとする幅広い業界で使用されています。


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