抵抗 18 Mω-cm 以上の超純水(UPW)は、製造の多数の段階においてウエハ表面に直接接触するため、最も重要な半導体プロセス薬品の 1 つです。水に含まれる不純物は、最終的な電子デバイスの性能と信頼性に影響を及ぼすため、UPW 中の複数の元素を ppt(1 x 10-9 g/kg)またはサブ ppt レベルでモニタリングする必要があります。
UPW に関する ASTM および SEMI 基準ガイドでは、ボロン(B)を除く多くの元素に対して、0.5 ppt 未満の検出限界(DL)と、1 ppt 未満のバックグラウンド相当濃度(BEC)を要求しています。UPW の B のバックグラウンドレベルを制御することの難しさを考慮し、これらの基準ではさらに高い検出下限を設定しています(それぞれ 15 ppt と 50 ppt)。
また、ICP-MS で 1 ppt 未満の B を測定するのは、B が環境中に多く存在すること、イオン化効率の抑制、メモリ効果により非常に困難です。
B のバックグラウンドは水質に大きく依存するため、オルガノ社のピューリック ω Ⅱ UPW には、B の除去のためのフィルタが搭載されています。 システムの効率をテストするために、半導体構成の Agilent 8900 ICP-QQQ を用いて UPW を分析しました。 機器に石英製ネブライザ(G1820-65138)を取り付け、サンプル導入を促進するために Agilent I-AS オートサンプラ
図 1 に、I-AS オートサンプラに接続されたオルガノ社のフローリンスポートを示します。リンスポートは Agilent ICP-MS にのみ使用できます。

UPW の多元素不純物の分析
Agilent ICP-MS MassHunter ソフトウェアが、ボトル入りピューリック ω II UPW ブランクの 10 回繰り返し分析の標準偏差の 3 シグマとして、LOD と BEC を自動で計算しました(表 1)。
B を含むほとんどの元素の LOD と BEC は 1 ppq~0.63 ppt の範囲に収まり、ICP-MS/MS メソッドの優れた感度と干渉除去機能が確認されました。

ボロンフィルタの有効性を確認
また、8900 ICP-QQQ メソッドを使用して、ボロンフィルタなしのオルガノ社のピューリック ω システムで生成された UPW に対し B のデータも取得しました。
両方のシステムにより取得された LOD と BEC を比較すると(図 2)、ボロンフィルタを使用した場合に、両方の結果で 50 % 以上の改善を示しています。ピューリック ω II のフィルタにより、B の LOD が 0.51 ppt から 0.12 ppt に、BEC が 1.2 ppt から 0.63 ppt が低減されました。

8900 ICP-QQQ の検出性能を解放
ボロンは低質量で、イオン化が難しく、環境内のいたるところに存在する汚染物質で、非常に高純度の超純水であっても非常に困難である場合があります。UltraClean サンプル導入システム、高い感度とイオン化効率の 8900 に、追加のボロンフィルタを使用した オルガノ社のピューリック ω システムを組み合わせることで、8900 ICP-QQQ の優れた検出限界およびバックグラウンド性能を解放し、バックグランドコンタミネーションが抑制されます。
詳しくはこちら:
ICP-MS/MS による低ボロンバックグラウンドの超純水の超微量不純物分析