GFAAS の特長
GFAAS は、以下のようなラボに最適です。
- 微量濃度の定量を必要とし、サンプル数および元素数が 1 日約 240 回の測定回数(24 時間で元素 4 種類 x 60 サンプルなど)を超えない(3 回の繰り返し測定を 1 回の測定としてカウントした場合)
- 測定成分のおおよその濃度範囲がわかっており、その濃度がサンプルごとに大きく変動しない
- 測定する必要のある元素が数種類のみ
- 設備投資を抑え、ラボの設備費を最小限にし、運用コストを削減したい
グラファイトファーネス AAS と ICP-MS
1 日に少数のサンプル中に微量または超微量(ppt)濃度で含まれる数種類の元素を測定するラボは、その分析法をグラファイトファーネス原子吸光分光分析法(GFAAS またはグラファイトファーネス AAS)と誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)から選択できます。
GFAAS で測定できる元素が 48 種類であるのに対し、ICP-MS ではさらに多い 86 種類の元素を測定できます。また、GFAAS では測定できず、ICP-MS で測定可能な一般的な元素として、Br、C、Ce、Cl、F、Gd、Hf、Ho、I、La、Lu、Nb、Nd、Os、Pr、Re、S、Sc、Sm、Ta、Tb、Th、Tm、U、W、Y、および Zr があります。ただし、ICP-MS でも、C に対しては十分な検出下限を達成できず、F の分析には専用の ICP-QQQ アプローチが必要です。各分析法で測定できる元素については、電子書籍『適切な原子分光分析技法の選び方』(このページの末尾にリンクを掲載)で詳しく説明しています。
金属の微量元素分析に関しては、GFAAS には、ICP-MS より購入価格やランニングコストが低いという利点があります。一方、ICP-MS は、コストは高くなりますが、分析時間がはるかに短く、直線ダイナミックレンジが大幅に広く、干渉を受けにくくなります。元素の種類やサンプル数が多い場合、ICP-MS は、サンプルあたり 2~3 分の取り込み時間ですべての元素を測定できるため、より高速でコスト効率に優れています。これに対し、GFAAS では、サンプル中の元素が 1 つずつ測定され、各元素の測定に約 2~3 分かかります。つまり、GFAAS で各サンプルに含まれる 5 種類の元素を 3 回繰り返し測定する場合は、サンプルあたり 30~40 分かかります(元素 5 種類 x 3 回の繰り返し測定 x 測定あたり 2 分)。また、1 台の GFAAS 機器により 24 時間で行える 3 回の繰り返し測定は約 240 回です。これは、240 サンプルであれば 1 種類の元素、60 サンプルであれば 4 種類の元素、24 サンプルであれば 10 種類の元素に相当します。
金属の微量元素分析に GFAAS と ICP-MS のどちらを使用する場合も、それ相応の知識と操作スキルが必要です。両方とも自動測定が可能なため、サンプルをオートサンプラにセットしたら、分析完了まで機器に任せることができます。一般的な QA/QC ラボの多くで GFAAS が選択されていますが、ラボを拡張し、将来的なサンプル数の増加に確実に対応できるようにする必要がある場合は、より多くの元素を測定でき、サンプルスループットに優れた ICP-MS なら、成長を支えることができるでしょう。

GFAAS は、以下のようなラボに最適です。
ICP-MS は、以下の場合に最適です。

以下の表に、2 つの分析法を相互に比較します。GFAAS の主な利点は、機器の価格とランニングコストが低く、それほどメンテナンスが必要ないことです。一方、ICP-MS の利点は、高速分析が可能で、はるかに多くの元素をより低濃度で測定できることです。
| GFAAS 製品ページ |
ICP-MS 製品ページ |
|
| 相対的な価格 | ¥¥ | ¥¥¥¥ |
| 相対的なサンプルあたりのコスト | ¥¥ | ¥¥¥ |
| 相対的な感度 | ||
| レビュー | SelectScience | SelectScience |
| 1 日あたりの最大サンプル数1 | 60 (元素 4 種類) |
1200 (元素 50 種類以上) |
| 測定のダイナミックレンジ | 10 ppt ~ 1000 ppb | 1 ppt 未満 ~ 1000ppm |
| 相対的な必要サンプル量 | ||
| 相対的なサンプル中の許容固形分 | ||
| 元素の測定 | 連続 | 同時 |
| 測定可能な元素数 | 48 | 86 |
| 相対的な日常メンテナンスの必要性 | ||
| 相対的な必要オペレータスキル | ||
| 自動分析 | 可能 | 可能 |
| Part 11/Annex 11 GMP コンプライアンス | 適合 (オプションソフトウェアを使用) |
適合 (オプションソフトウェアを使用) |
| 仕様 | ||
| 相対的な動作時消費電力 | ||
| 寸法(mm – 幅 x 奥行き x 高さ) | 1030 x 600 x 5903 | 730 x 600 x 595 |
| 重量 | 119 kg | 100 kg |
| ガス要件 | 99.99 % アルゴンまたは 99.99 % 窒素 | 99.99 % アルゴン5 |
| 保証期間4 | 12 か月 | 12 か月 |
| アクセサリ | ||
| オートサンプラ | 付属 | オプション |
| 水冷システム | 冷却水の供給が必要 | 必要、付属していない |