ゲノミクス - 注目論文リスト アーカイブ (バイオアナライザ)

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注目論文リスト 
バイオアナライザ
"The RIN: an RNA integrity number for assigning integrity values to RNA measurements." BMC Mol Biol. 2006
[16448564] 
バイオアナライザ : RNA は熱力学的には安定な分子ですが、酵素 RNase の存在下ではすぐに分解されます。RNA 分解度を評価するため、かねてより、分子量でサンプルを分離する電気泳動法が使われていますが、RNA サンプルの品質を評価する際に 28S:18S のリボソーム RNA の比では品質にばらつきがあることが示されてきました。一方、マイクロキャピラリー電気泳動の出現により、自動化およびスループットの向上が進み、新たな RNA サンプルの品質評価ツールとして注目されています。この論文では、Agilent バイオアナライザを用いて RNA サンプルの品質を評価する新たな尺度、RNA Integrity Number (RIN) が提案されました。RIN を計算するアルゴリズムは、複雑なインプット情報に対し、ランキングされた特徴づけに基づく情報理論、および人工のニューラル・ネットワーク予測モデルによる統計学のベイズ的アプローチに基づいています。まず、様々な生物、主にヒト・マウス・ラットの様々な組織から総計 1208 の total RNA のバイオアナライザデータが取得されました。このデータセットには分解度の低い RNA から、ほぼ完全に分解している RNA サンプルまで多様な品質の RNA が含まれています。次に、経験豊富な専門のユーザによって RNA 品質の分類分け (1~10;完全に分解した RNA ~ 全く分解していない RNA までの 10 のカテゴリを定義) が実施され、1208 サンプル全てに対して、1 から 10 のいずれかのカテゴリが割り当てられました。その後、以下で述べる特徴づけによるトレーニング回帰モデルが作成されました:第1の特徴として total RNA 比、第2 第3 の特徴として 28S ピーク高さと面積に関するもの、第4の特徴として 18S と 28S の面積を別の領域の面積と比較、最後の特徴として中央値に対する全体平均値との相違 (平均値は大きいピークの影響を受けやすく、スパイクのような異常についての情報が付与されます)。この結果、実験者、装置、サンプル濃度などによらずに客観的に自動化された手順を通して信頼しうる RIN の計算値が得られました。リボソーム RNA 比と同様、RIN 値はリアルタイム PCR データと相関があり、RIN を適用する事で分解しているサンプルとしていないサンプルを簡単に分離できましたが、リボソーム RNA 比では必要以上に多くのデータを棄却しないと上手く分離できないことが分かりました。アジレントのウェブページから RIN の計算が可能な Agilent 2100 Bioanalyzer Expert ソフトをダウンロードできます。バージョン B.01.03 以降で (ライセンス無料で) RNA 品質値の計算が可能です。
"Transcriptomic analysis of autistic brain reveals convergent molecular pathology." Nature 2011
[21614001]
バイオアナライザ : 自閉症スペクトラム障害 (ASD) は、広く見られる遺伝性の高い神経発達障害ですが、原因遺伝子が不均一です (genetic heterogeniety)。今回著者らは、遺伝子共発現ネットワーク解析により、自閉症と正常な脳のトランスクリプトーム構成の間に一貫した相違があることを明らかにしました。著者らは自閉症の患者 19人と対照の 17人からの死後の脳組織サンプルをマイクロアレイで解析しました。RNA の品質は Agilent バイオアナライザで測定され、遺伝子発現の分析には、RNA integrity number (RIN) が 5 より高いサンプルが用いられました。その結果、自閉症患者群と対象群で比較において、皮質のサンプルでは 444 遺伝子が発現量に有意な変化を示しましたが、小脳では 2 遺伝子しか発現量に違いがありませんでした。皮質で発現量に変化のあった遺伝子のうち、上位 200 について監視 (supervised) 階層的クラスタリングを行ったところ、クラスタリング結果は、年齢、性別、RIN、死亡後組織凍結までの時間、発作との合併症率、または投薬とは無関係でした。さらに、ASD の前頭皮質と側頭皮質の間で遺伝子発現の違いの減弱が観察されたことから、発達段階のパターン化形成不全が示唆されており、今後、ASD脳での転写のパターン化形成異常の広がりを評価する研究に対して優れた理論的根拠をもたらすと考察されています。

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