Agilent 2100 バイオアナライザに最適なタンパク質分析キットの選択

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Agilent 2100 バイオアナライザに最適な
タンパク質分析キットの選択

Andreas Rüfer
アジレント プロダクトマネージャ、2100 バイオアナライザ & 3100 OFFGEL 電気泳動システム担当

 

タンパク質の発現のモニター、タンパク質の精製、安定性の検討、抗体の品質検査などを行う場合には、タンパク質のサイズ、純度、濃度を調べる信頼性の高い方法が求められます。Agilent 2100 バイオアナライザとそのタンパク質分析キットの組み合わせは、使い勝手がよく、高い再現性を有し、スラブゲル電気泳動のような技術よりも優れた直線ダイナミックレンジが得られるため、この様な分析に最適です。アジレントではマイクロフルイディクス技術をベースとした 3種類のバイオアナライザ用タンパク質分析キットを提供しています。ここでは、使用するサンプルによってこの 3種類をどの様に使い分けて頂くのが最適かについて説明します。

図 1. キットは様々な分子量範囲に対応しています。電気泳動図は、3 つのキットすべてが IgG2 のLight Chain (LC) をHeavy Chain (HC) から分離していることを示しています(画像を拡大するにはここをクリックします)。

分子量の範囲と必要な感度を基準に選択

Agilent 2100 バイオアナライザは生体分子を電気泳動ベースで分析するためのマイクロフルイディクス技術を利用したシステムです。タンパク質の分析には、以下の3 種類のタンパク質分析キットのいずれかを選択してご利用ください。

  • Agilent Protein 80 キット (P80) : 低分子量領域(5 ~ 80 kDa) におけるタンパク質の分析
  • Agilent Protein 230 キット (P230) : 14 ~ 230 kDa の分子量範囲にある一般的なタンパク質の分析
  • Agilent High Sensitivity Protein 250 キット (HSP-250) : 10 ~ 250 kDa の分子量範囲にある一般的なタンパク質の純度を最高の感度で測定

これら 3 つのバイオアナライザ用タンパク質分析キットでは、サンプル調製の際のワークフローが異なっています。
P80 と P230 のキットでは蛍光色素がドデシル硫酸ナトリウム (SDS) ミセルの中でタンパク質と結合することにより発蛍光することを利用したオンチップステイニングを用います。[1] この技術では、サンプルの調製を直接かつ簡単に行えるというメリットがありますが、システム中に蛍光色素が存在することが原因でバックグラウンド蛍光が生じる為、CBB 染色と同程度の検出感度になります。

新製品 HSP-250 キットでは、サンプルたんぱく質を専用の色素により共有結合的にラベル化を行った後、水で希釈してチップにロードし分析を行います。この直接的なラベル化のアプローチによってバックグラウンド蛍光を極めて低く抑える事ができるため、HSP-250 では pg/µL レベルのタンパク質の検出が可能になります。ただし、1チップ分 10 サンプルのサンプル調製時間が長くなります (P80やP230 の 10 分間に対して 45 分間)。

図 1はこれら 3 種類の分析キットを使って、モデルタンパク質 (1 µg/µL のヒト骨髄腫 IgG2) の分析性能を比較した結果です。同一のサンプルセットに対して 3 種類のタンパク質分析キットを使用した結果を示しました。いずれのキットを用いてもIgG2 の Light Chain (LC) と Heavy Chain (HC) きれいに分離することが出来ました。P230 および HSP-250 を使った分析では高分子量領域に凝集体のピークを観察することができます。一方、 P80 を使った分析では低分子量の不純物の観察が可能になります。

すべてのキットで優れた再現性を実現

サイジング、純度、相対濃度に関する再現性を評価するために、複数のチップ (n = 5) を使って同じサンプルを繰り返し分析しました。3 つのキットを使った分析すべてで正確なサイジングと再現性の高い純度データが得られました。それぞれの分析で検出された全タンパク質に対する、IgG2 の Light ChainとHeavy Chain それぞれの比率の平均を表 1 に表示しています (“平均 % 総タンパク質” を参照)。この表には各分析に対する変動係数 (%CV) も表示しています。

分析対象ピーク Light Chain Heavy Chain
使用キット Protein 80 Protein 230 HSP-250 Protein 80 Protein 230 HSP-250
平均 %
総タンパク質
28.9 27.1 31.5 60.3 63.3 59.1
CV値(%) 3.8 5.9 4.4 1.8 1.6 1.5
表 1. これら 3 つの分析キットを使った結果では全てのキットで CV値 (%) 6 % 以内 という、高い再現性が得られました。
図 2. 3 つの分析キットすべてで、サンプルにスパイクしたミオグロビン(不純物)を検出しています。また、HSP-250 キットが最も低い検出下限を示しています(画像を拡大するにはここをクリックします)。

HSP-250: 不純物に対する検出下限が最も低い

2つ目の実験では、微量不純物の検出性能を評価しました。不純物をシミュレーションするために、IgG2 の調製に当たって様々な濃度のミオグロビン (17kDa) をスパイクし、3 つのタンパク質分析キットを使ってサンプルを分析しました (図2)。図には、ミオグロビンのピークの拡大図と対応するスパイクのレベルを示しています。

HSP-250 の分析では、ミオグロビンスパイクの検出下限 (SN 比が 3 を超える値として定義) は 0.03 でした。これにより、HSP-250 が食品医薬局 (FDA) が提唱する 0.05% の不純物検出下限を満たしていることがわかりました。[2] 予想された通り、P80 および P230 によるミオグロビンの検出下限は、これよりも非常に高くなり、それぞれ 0.8% と 1.6% でした。

用途に合わせて分析キットを選択

Agilent 2100 バイオアナライザとAgilent タンパク質分析キットの組み合わせで、タンパク質の調製における種々の検討を行うための様々なツールが作成できます。日常的に行う不純物の混入検査をより迅速で再現性の高く実施するためには、対象蛋白質が 80kDa 以下の比較的小さな分子の場合は P80 キットが優れた選択肢であり、より大きなタンパク質を分析するときには P230 キットが適しています。不純物の検出に、より高い感度が必要な場合には、HSP-250 キットが最良の選択肢です。これら 3 つの分析キットを比較した便利な表をはじめとする詳細な情報については、アジレントのアプリケーションノート 5990-5283EN をご覧ください。

参考文献

  1. L. Bousse, et al., “Protein Sizing on a Microchip,” Anal. Chem. 73(6), 1207-12, 2001.
  2. “Reviewer Guidance, Validation of Chromatographic Methods,” Center for Drug Evaluation and Research, Food and Drug Administration, 1994.

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