Access Agilent 2015年11月号

新しい超高感度イオン源を搭載した Agilent 法医学/毒性用 GC/MSアナライザによる、 より多くの薬物のより効率的なスクリーニング

法医学/毒物学

Melissa Churley および Luis Cuadra-Rodriguez
アジレント シニア アプリケーションサイエンティスト

生体サンプル中の薬物の幅広いスクリーニングでは、無制限の数のターゲットに対するフルスペクトル MS 同定およびノンターゲットのスペクトル同定が必要となります。選択イオンモニタリング (SIM) は、低レベルの薬物分析に必要な感度を備えていますが、特にリテンションタイムが未知の場合は、信頼性の高い薬物同定で必要となるフルスペクトルが得られません。新しい Agilent 5977B シリーズ GC/MSD システムは、薬物分析に対応したフルスペクトルと向上した検出限界の両方を実現できます。

Agilent 法医学/毒性用 GC/MSアナライザは、新しい Agilent 5977B GC/MSD で構成でされており、アジレントのデコンボリューションソフトウェア (DRS) と法医/毒物学データベースライブラリを備えています。超高感度イオン源 (HES) を搭載した新しい Agilent 5977B GC/MSD は、高感度エクストラクタ EI イオン源を搭載した前のモデルよりもさらに検出限界が向上しています。そのため、より多くの種類の低いレベルのターゲット化合物をより短い分析時間でスクリーニングすることができます。

緑色の強調表示は Agilent 5977B GC/MSD の新しい高効率イオン源 (HES) を用いてより低濃度で検出された薬物を示しています。検出はライブラリスペクトルとの一致を基にしています。

表 1. 緑色の強調表示は Agilent 5977B GC/MSD の新しい高効率イオン源 (HES) を用いてより低濃度で検出された薬物を示しています。検出はライブラリスペクトルとの一致を基にしています。(図を拡大)

緑色の強調表示は Agilent 5977B GC/MSD の新しい高効率イオン源 (HES) を用いてより低濃度で検出された薬物を示しています。検出はライブラリスペクトルとの一致を基にしています。

* 2 mL 血漿サンプルからの回収率を 100 % と仮定し、0.1 mL および 1 µL の抽出物を再溶解しました。
** 75 のスコアを実現するために必要なトラゾドンの注入量は 1000 pg 以上です。
ベンゾジアゼピンオキサゼパム、ロラゼパム、テマゼパム、ニトラゼパム、クロナゼパムは 1000 pg では検出されませんでした。

表 1. 緑色の強調表示は Agilent 5977B GC/MSD の新しい高効率イオン源 (HES) を用いてより低濃度で検出された薬物を示しています。
検出はライブラリスペクトルとの一致を基にしています。

超高感度イオン源を用いたより低濃度でのスクリーニング

Agilent HES によるスクリーニング性能の向上を示すために代表的なサンプルであるヒトの血漿での薬物について分析しました。Agilent Bond Elut Certify の一般的な薬物スクリーニングのメソッド M2721 を使用して 2 mL のブランク血漿を抽出しました [1]。 Agilent GC/MS 毒性チェックアウト混合液(p/n 5190-0471)をスパイク添加した 0.1 mL のメタノール中でサンプルを再溶解し、10 ~ 1000 ng/mL (バイアル中) の非誘導化標準サンプルを作成しました。合成オピオイドフェンタニルをチェックアウト混合液に加えました。

表 1 は、最小一致係数を 75 として、Agilent DRS とNISTのAMDIS によって検出した、スパイク添加された血漿抽出物中の薬物の最小注入量を示しています。Agilent HES を使用して Agilent エクストラクタ EI イオン源よりも低い濃度で検出された薬物を強調表示しました。チューニング条件は表のヘッダ部分の項目欄に括弧付で記載されています。アジレントのアプリケーションノート 5989-8582JAJP と 5990-7596ENによるメソッドで測定を行いました。

フルスキャンモードをより低い濃度 (例えば、ヒドロコドンでは 5 ng/mL) のサンプルを測定し、メサドン、コカイン、ヒドロコドン、テトラヒドロカンナビノール (THC) などの血漿中の薬物ターゲット化合物を確実に検出することができています。Agilent HES はイオン化効率を向上させることで、四重極マスアナライザに送られるイオンの数を大幅に増加させて、それによりイオンシグナルが増加することで良好な感度を実現しています。このようにレスポンスが向上することで、スクリーニングプロセスでの優れたライブラリ一致によって、より多くのターゲット薬物を検出することができます。

わずか 100 pg のコカインのフルスキャンスペクトルが良好なライブラリ一致を実現しています。

図 1. わずか 100 pg のコカインのフルスキャンスペクトルが良好なライブラリ一致を実現しています。(図を拡大)

わずか 100 pg のコカインのフルスキャンスペクトルが良好なライブラリ一致を実現しています。

図 1. わずか 100 pg のコカインのフルスキャンスペクトルが良好なライブラリ一致を実現しています。

異性体識別と NIST 検索可能なスペクトル

高い科学的確実性が必要な乱用薬物の同定には、法医学科学者が必要とされています。コカイン異性体決定の問題により、ある程度まで特異性の高いメソッドの必要性を拡大してきました [2]。Agilent GC/MS 毒物アナライザは高効率イオン源 (HES) を搭載した新しい 5977B GC/MSD と共に構成することにより、検出された薬物に対してコカイン異性体同士を判別し NIST 検索可能なスペクトルを得るために必要となる正確なスペクトルを得ることができます。

図 1 は、血漿内でスパイク添加された 100 pg コカインのマススペクトル (上) を NIST スペクトル (下) と比較して示します。コカインは NIST で最初にヒットし、一致係数は 810 (「」) で一致係数が 788 (「可」) のプソイドコカインとは区別されます。完全な回収率により計算された当量濃度は 5 ng/mL です。NIST ライブラリ検索は、コカインについて 5 ng/mL 以上の濃度での最初のヒットとして優れた一致を実現していることを示します。

Agilent 5977B と DRS レポート作成機能を使用したデコンボリューションレポート

Agilent 5977B GC/MSD の超高感度イオン源は、ターゲットの薬物のシグナルを大幅に増加させて、NIST ライブラリで検索可能なスペクトルを得ることができます。アジレントのデコンボリューションソフトウェアとの組み合わせにより、フルスキャンスクリーニング分析中の検出レベルは誘導化されたサンプルの SIM 分析の検出レベルに近づきます。

ライブラリ検索可能なフルスキャン MS スペクトルを確実に得るには、薬物サンプルのスクリーニングのための迅速かつ信頼できる高感度なメソッドが必要です。そのようなメソッドを提供する超高感度イオン源を搭載した新しい 5977B GC/MSD をベースの Agilent GC/MS 毒物アナライザをご検討ください。

謝辞

本実験にご意見をくださった Bruce Quimby 氏および Fred Feyerherm 氏、ご尽力いただきました Nathan Contino 氏に感謝の意を表します。

References

  1. “Agilent Bond Elut Certify and Certify II Methods Manual,” Agilent Technologies, Inc. Publication number 5991-4939EN, 2014.
  2. Schlesinger, H.L. “Topics in the chemistry of cocaine,” United Nations Office on Drugs and Crime Web site bulletin.