2025 年 3 月にドイツのベルリンで開催された第 20 回 European Winter Conference on Plasma Spectrochemistry(EWCPS)には、約 500 名が参加しました。世界中の代表者が一堂に会し、ICP-MS、LA-ICP-MS、ICP-OES、MP-AES、DCP-AES、MC-ICP-MS、TIMS、GD-MS、LIBS、LAMIS などの技術を用いた研究の最近の発展について議論を交わしました。
カンファレンスでは、単一細胞と単一粒子の分析を主要テーマとしたプレゼンテーションの増加が目立ちました。その他の新しいテーマとしては、環境、食品、生物系/臨床系における重金属やマイクロプラスチックなどの汚染物質の研究、電子廃棄材料からの技術的重要元素(TCE)の回収などがありました。
アジレント後援の研究賞 - 2003 年から継続的に支援
アジレントは 20 年以上にわたり、EWCPS の権威ある 2 つの科学賞のスポンサーとして、プラズマ分光化学分野の研究者達の功績を称え、支援することに尽力してきました。今年のカンファレンスでは、アジレントの原子分光分析担当製品マーケティングマネージャである Yuri Tanaka が、次の受賞者へのプレゼンターを務めました。
- Martín Resano 教授、サラゴサ大学、スペイン、European Award for Plasma Spectrochemistry を受賞
- Kharmen Billimoria 博士、LGC Ltd.、英国、European Rising Star award を受賞
アジレントの技術ポスターとランチセミナー
16 のカテゴリにわたる 155 以上のポスタープレゼンテーションが行われました。アジレントはルーチンおよび新規のさまざまな ICP-MS アプリケーションに関する 7 つのポスターのプレゼンテーションを実施しました。具体的な内容は、高度な自動メソッドによる環境サンプル中の複数の元素の測定、ICP-QQQ による土壌の総フッ素含有量の分析などです。
- ICP-MS 単一メソッドによる低~高マトリックス環境サンプルの自動分析
- ADS 2 装置のバリデーションによる高度な ICP-MS 分析
- Agilent ICP-MS と Metrohm IC によるスペシエーション分析の簡素化
- LA-ICP-MS および有機マトリックスベースの標準液を用いた組織サンプル中の金属の測定
- ICP-MS/MS による土壌中の PFAS/EOF のトルエン総量の定量検出
- 半導体アプリケーション用の spICP-MS/MS によるウエハ上のナノ粒子汚染物質の検出
- ICP-MS/MS による有機金属プリカーサ中の微量元素の分析
アジレントはランチタイムセミナーも主催し、大変盛況でした。集まった代表者達は、Agilent ICP-MS の今後の方向性や、ヨーロッパの主要な 2 つの研究グループの代表者によるプレゼンテーションに耳を傾けました。これら 3 つのトピックについては、こちらのリンクからご覧ください。
- Advancements in Elemental Analysis and the Future of Agilent ICP-MS Development(元素分析の進歩とアジレントの ICP-MS 開発の未来) - プレゼンター:Yuri Tanaka、アジレント・テクノロジー株式会社
- Development of a Platform for the Analysis of Microplastics: Towards Their Reliable Identification and Number-Based Quantification Determination(マイクロプラスチックの分析用プラットフォームの開発:信頼性の高い同定と数ベースの定量測定に向けて) - プレゼンター:David Ojeda、Researcher、LGC(National Measurement Laboratory)、英国
- Analysis of Marine Samples Using ICP-MS to Study Environmental Effects of Renewable Energy Production(ICP-MS を用いた海洋サンプル分析による、再生可能エネルギー生産の環境的影響の研究) - プレゼンター:Daniel Proefrock 博士、Head of Department、Inorganic Environmental Chemistry、Hereon、ドイツ
ポスタープレゼンテーションの分析
これまでのカンファレンスと同じように、すべての化学分析機器ベンダーが供給している ICP-MS システムを対象に、ベンダーごとにユーザーが発表したポスターの数をカウントしました。この結果(図 2)、Agilent ICP-MS および ICP-QQQ が研究で最も広く使用されているシステムであることがわかりました。四重極 ICP-MS および ICP-MS/MS システムでのアプリケーションに関するポスターの半数で、アジレントのシステムが使用されていました。
また分析の結果、研究で ICP-MS を使用している研究者の大多数(59 %)がシングル四重極システムを使用しており、これに対して ICP-MS/MS を使用している割合は 41 % でした(図 3)。
さらに、アジレントの装置(ICP-MS または ICP-QQQ)を使用していることがわかっているポスターのうち、ほとんどが何らかの形のハイフネーテッドテクノロジーを使用していました。図 4 に、ハイフネーテッドおよび非ハイフネーテッドアプリケーションの組み合わせと使用されているテクノロジーを示します。70 % 以上のポスターが、単一粒子(SP)アプリケーションおよびレーザーアブレーション(LA)アプリケーションと組み合わせた何らかの形のテクノロジーを取り上げています。これは、HPLC との組み合わせに続いて同率 2 位です。これは、これらの装置の非常に高い柔軟性を示しています。
アジレントのチームは、次回の Winter Conference on Plasma Spectrochemistry で皆様にお会いできることを楽しみにしています。こちらは米国アリゾナ州のツーソンで 2026 年 1 月 12~17 日に開催される予定です。
DE- 007670






