ヘリウム不足の煩わしさに対応

Gas Cylinders

オプションの検討

GC キャリアガスを節約または変更

ヘリウム不足が続くと、ガスクロマトグラフの使用者にとって不測の事態が起こりえます。GC 分析用のヘリウムキャリアガスの価格変動や供給中断の可能性に備えて、最善の対策を立てておくべきです。

まず、本当にキャリアガスとしてヘリウムを使用する必要があるかどうかを検討してみてください。規制メソッドやSOP、高感度 GC/MS メソッドでは、ヘリウムの使用が要求されていることがあります。このような場合、ヘリウムの節約を追求しなければなりません。しかし、そうではないメソッドでは、水素や窒素などの代替キャリアガスを検討するなど、柔軟性のある対策をとることができます。

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オプション 1:ヘリウムの節約

ヘリウムの節約は、GC メソッドを変更できないまたは変更したくないクロマトグラフ担当者にとって簡単なアプローチです。次のアプローチをお試しください。

  • ガスセーバを利用。
  • Agilent 88908860、または 7890B GC 用のオプションであるプログラム可能なヘリウム切替スイッチを利用。
  • ヘリウムインフラの検査とメンテナンスを行い、リークを防止。

Agilent ガスセーバはスプリット/スプリットレスおよびマルチモード注入口で動作し、GC 分析全体でセプタムパージとカラム流量を一定に保ちながら、注入後の指定された時間にスプリット流量を減らします。スプリット流量は、注入時を除いて常にこの低いレベルに抑えられます。多くの場合、ガスセーバを使用するだけで総流量を 50 % 以上低減することができます。

GC システムを継続的に稼働していない場合は、オプションのヘリウム切替スイッチをご検討ください。アイドル時間中はキャリアガスの供給を自動的に窒素に切り替え、スタンバイ中に流路の不活性度を保ち、システムを一定の温度に保ちます。このプロセスは、Agilent OpenLab CDS の「スリープ」および「ウェイク」メソッドを使用して自動化できるため、GC ワークフローを中断する必要がありません。

ヘリウム切替スイッチをガスセーバと組み合わせると、次のような場合にヘリウム消費量を大幅に削減できます。

  • スプリットメソッドを使用する場合
  • メソッドを変更または再バリデーションすることができない場合
  • 最適な GC/MS 性能が必要な場合

ヘリウム節約コスト削減カリキュレータを使用して、ラボでどれだけのヘリウムを節約できるかをご確認ください。

ラボ、特に大規模にヘリウムを分配しているラボは、定期的なヘリウム使用監査とリークチェックを実施する必要があります。これにより消費量が減り、大幅な節約につながる可能性があります。この簡単なビデオ(英語)をご覧になれば、実施方法がわかります。アジレントの施設ではこのアプローチを採用して、ヘリウムの使用量を 40 % 削減しました。

ヘリウムの節約の詳細については、こちらのウェビナーをご覧ください。

オプション 2:代替キャリアガスへの変更

ヘリウム不足による混乱を避けるために、お客様の分析に代替キャリアガスが使えるかどうかを検討してみてください。ご使用中のシステムは GC でしょうか、それとも GC/MS でしょうか?もし GC/MS なら、水素キャリアガスをご検討ください。GC を使っている場合は、他にもオプションがあります。メソッドの分離能が十分すぎる場合は、窒素を試してみてください。分離能が重要な場合は、水素をお試しください。

ヘリウムから水素への変更

一般的に、最適化の必要性が少ないメソッドで取り扱うのは次のような分析対象物です。

  • 「耐久性のある」化合物
  • 濃度が高いもの
  • スプリット注入で分析されるもの
  • 誘導体化されたもの

ASTM D5769 - ガソリン中の芳香族化合物の GC/MS 分析

ヘリウムから水素キャリアガスに変更するときは、必要となる SOP の更新やバリデーションのための時間を確保してください。

水素をキャリアガスとして使用する場合、いくつか考慮事項があります。

  1. MS ポンプ容量には流量制限があるため、ターボポンプをお勧めします。
  2. ピーク溶出順序とカラムサンプル容量はわずかに変化する場合があります。
  3. 水素は分析対象物およびサンプル流路と相互作用する可能性があるため、不活性カラムおよび流路の使用をお勧めします。注入口温度を低くすると、水素がシステムと反応する可能性を低減することができます。
  4. 塩化メチレンや二硫化炭素などの特定の溶媒は避ける必要があります。

Agilent GC/MS(EI仕様) システムでヘリウムから水素キャリアガスに変更する際の詳細手順(英語)をご確認ください。このユーザーガイドは GC/MS を対象としていますが、水素キャリアガスへの切り替えを検討している GC ユーザーにも役立つヒントが多数含まれています。

GC と GC/MS はどちらも、水素に対する安全機能を内蔵しています。水素ガスを使用する GC および GC/MS ユーザー向けの安全に関する詳細な考慮事項は、『Agilent GC/MS Hydrogen Safety』ユーザーマニュアルに概説されています。

ヘリウムから窒素への変更

窒素はヘリウムと同じ(流量・線速度)条件では、分離能が低下してしまうので、注意が必要です。しかしメソッドの分離能がヘリウムで十分すぎる場合、窒素に変更しても良好な分離を行うことができれば、ヘリウムの供給とコストの問題や、水素の安全性の懸念はありません。

バイオディーゼル中の FAME 含有量の EN 14103 による GC 分析

新しいキャリアガスのメソッド変換

既存のヘリウムキャリアメソッドを代替キャリアガスに変更する際にサポートが必要な場合は、OpenLab CDS ソフトウェアに内蔵されたメソッド変換ソフトウェアをお試しください。スタンドアロンアプリケーションとしてもダウンロードできます。このツールは、既存のヘリウムメソッドパラメータを用いて、水素または窒素に切り替える場合の新しい圧力、流量、速度、および昇温速度を自動的に提案し、実質的に同一の相対溶出順序を保証します。

アジレントのエキスパートが、こちらのウェビナーで代替キャリアガスについて詳しく説明します。

キャリアガスオプションの比較

GC または GC/MS メソッドのキャリアガスを選択するときは、すべてのオプションを慎重に検討する必要があります。

HeliumHydrogenNitrogen
長所
  • 入手可能な場合は常に第 1 の選択肢
  • 優れたクロマトグラフィーおよび MS 性能ライブラリ内の参照スペクトルはすべて、ヘリウムを使用して取得
  • ヘリウムの最良の代替
  • ヘリウムと比較して、優れたクロマトグラフィー分離能と速度
  • 経済的
  • クロマトグラフィーグレードで広く入手可能
  • 水素より安全
注意点
  • 供給の不安定
  • 価格の不安定または高コスト
  • クロマトグラフィーグレードのものを見つけるのが難しい場合ある
  • 安全に注意が必要
  • 反応性に注意が必要
  • 高分離能の達成までに、より長い分析時間が必要
  • MSD での使用に推奨されない