多数のサンプル中に中~高濃度で存在するさまざまな元素を測定

誘導結合プラズマ法による金属分析

多くのサンプル中のさまざまな元素を測定するには、ICP-OES や ICP-MS のような誘導結合プラズマ法による高速金属分析が有用です。2つの分析法の特徴や仕様を比較して紹介します。

分析法の比較では、ICP-OES と ICP-MS で測定可能な濃度範囲が部分的に重なっていることを認識することが重要です。すべての元素の濃度が常に 10 ppb を超えている場合は、ICP-OES が最適です。一部の元素をより低濃度で測定する必要がある場合、または、C、F、Cl、Br、または I を測定する必要がある場合は、ICP-MS による元素分析をお勧めします。ただし、ICP-MS でも、C に対しては十分な検出下限を達成できず、F の分析には専用の ICP-QQQ アプローチが必要です。 各分析法で測定できる元素は、電子書籍『適切な原子分光分析技法の選び方』(このページの末尾にリンクを掲載)で詳しく説明しています。

ICP-MS は ppt レベルまでの金属濃度を分析できますが、ICP-OES による金属分析では、そのレベルの濃度を測定できません。一般に、ICP-OES は、これまでフレーム AA で行われてきたタイプの測定に使用されています。

ICP-MS による元素分析は、放射性元素(Np、Pu、Am、Ra)や非常に希少なアクチニド系元素(Ac、Bk、Cf、Cm、Pa、Po)を測定する必要のある高度なアプリケーションにも必要になります。


ICP-OES による金属分析

ICP-OES による金属分析は、以下の場合に最適です。

  • 多数のサンプルがある(1 日 1200 サンプル以上)。このような状況では、ICP-OES のスピードが必要です。ICP-OES なら、サンプル中の最大 74 種類の元素の濃度を 1 分未満で測定できます。
  • 非常に高濃度の総溶解固形分(TDS)または浮遊固形分を含むサンプルを測定する必要がある。このようなサンプルは ICP-MS でも測定できますが、ICP-OES によるルーチン分析の方が容易です。
  • 各元素の濃度が常に 10 ppb を超えているサンプルを測定している。


ICP-MS による金属分析

ICP-MS による元素分析は、以下の場合に適しています。

  • 一部の元素を 10 ppb 未満で分析する必要があるか、(規制の改正などにより)この性能が将来的に必要になる可能性がある
  • 元素同位体比を測定する機能が必要
  • クロマトグラフィー分離のために液体またはガスクロマトグラフィーと、または固体を直接導入するためにレーザーアブレーション(LA)と接続するなど、元素分析と他の技術を組み合わせる必要がある



ICP-OES と ICP-MS の比較

以下の表に、2 つの分析法を比較します。

ICP-OES
製品ページ
ICP-MS
製品ページ
相対的な価格 ¥¥¥ ¥¥¥¥
相対的なサンプルあたりのコスト ¥¥ ¥¥¥
相対的な感度
レビュー SelectScience SelectScience
1 日あたりの最大サンプル数1 2000-2500
(元素 50 種類以上)
1200
(元素 50 種類以上)
測定のダイナミックレンジ 10 ppb~10,000 ppm 1 ppt 未満~1000 ppm
相対的な必要サンプル量
相対的なサンプル中の許容固形分
元素の測定 同時 同時
測定可能な元素数 74 86
相対的な日常メンテナンスの必要性
相対的な必要オペレータスキル 2
自動分析 可能 可能
Part 11/Annex 11 GMP コンプライアンス 適合(オプションソフトウェアを使用) 適合(オプションソフトウェアを使用)
仕様
相対的な動作時消費電力
寸法(mm – 幅 x 奥行き x 高さ) 625 x 740 x 887 730 x 600 x 595
重量 90 kg 100 kg
ガス要件 純度 99.95 % アルゴンオプション:窒素、酸素、流量 2.5 m3/min で排気 99.99 % アルゴン4
保証期間3 12 か月 12 か月
アクセサリ
オートサンプラ オプション オプション
水冷システム 必要、付属していない 必要、付属していない

  1. 記載されているサンプル数を達成するには、機器にスイッチングバルブを装着する必要があります。
  2. ルーチン分析用にシンプルなインターフェース(ICPGo)とプリセットメソッドが用意されています。これにより、オペレータに要求されるスキルレベルが大幅に軽減されます。
  3. アジレントでは、さまざまな延長保証およびサポートオプションをご用意しています。
  4. 半導体用化学薬品中の不純物を測定する場合など、汚染を管理する必要のあるアプリケーションでは、純度 99.999 % 以上のアルゴンが必要になることがあります。

関連情報

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アジレントの電子書籍『適切な原子分光分析技法の選び方』では、どの元素分析法がどのような状況に適しているのか、また現在だけでなく将来的にもラボに最適な分析法と機器を選択する方法ついて詳しくご覧いただけます。

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上記の情報は一般的な指針です。お客様の要件に最適な分析法をアジレントの原子分光分析エキスパートにご相談いただけます。アジレントまでお問い合わせください。

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