ナノ粒子とは一般的に、大きさが 1 nm から100 nm の範囲内で、人工または天然の微細粒子のことを言います。
ナノ粒子の測定法としては、動的光散乱法や走査型電子顕微鏡法(SEM)や透過電子顕微鏡法(TEM)など様々な方法がいままで用いられてきましたが、ICP-MS による方法が最近注目されています。
ICP-MS の主なメリットは、通常の導入系で簡単に測定可能、元素の選択性があり、その高い感度により非常に小さな粒径サイズの測定可能、など動的光散乱法などのその他の分析方法と比べてより多くの情報を簡単に提供できることです。
通常と同じ導入系を用いられ、導入された溶液中のナノ粒子はプラズマでイオン化し、時間分析(TRA)モードにて検出されます。非常に短い積分時間(0.1 msec)を実現できる検出器を搭載したICP-MS により、ナノ粒子のような幅の狭いピークでも多点で測定できます。
TRA データファイルは各データポイントにおけるイオンの強度を測定したものです。この TRA のデータをもとに、シグナル(CPS)と Frequency(頻度)のデータに変換して粒子の頻度を示し、最終的に、Particle size(粒子径)と Normalized Frequency(正規化した頻度)のデータに変換され、粒子濃度、粒子サイズ、粒子分布が求められます。
分析の流れとしては、検量線用にブランク測定、および Au 100ppt の標準液を導入、その後に、ネブライザ効率を計算するため NIST8013 標準液を導入します。この状態でサンプルを測定します。
MassHunter の解析画面では、粒子サイズや粒子数、溶液中の濃度などの各サンプルデータ、TRA シグナル、粒径分布、および SP-ICP-MS における設定・パラメーターなどが一つの画面で確認できます。
SP-ICP-MS において非常に重要なポイントは、より小さな粒径サイズのナノ粒子の測定が可能となるかです。それを実現するためには、高感度、低いバックグラウンド、多原子イン干渉除去が ICP-MS の性能に求められます。このような条件を満たす Agilent 8900 トリプル四重極 ICP-MS あるいは Agilent 7900 ICP-MS が最適な装置となっております。
< 重要な ICP-MS 装置性能 >