胆汁酸のターゲット分析の新しい LC/MS/MS メソッド

Pub.No. 5994-8263JAJP

微生物叢の解明:LC/MS/MS による生体サンプル中の胆汁酸のターゲット分析

胆汁酸(BA)は食物中の脂質や脂質溶解性ビタミンの消化と吸収に関与する重要な分子です。これらの両親媒性化合物は小腸における脂肪の乳化を促進し、栄養素の効率的な吸収を助けます。一次胆汁酸は肝臓でコレステロールから複雑なプロセスを経て合成され、脂質恒常性を保つために厳密に制御されています。一次胆汁酸は生成後は胆嚢に蓄えられて食物摂取時に十二指腸に放出され、そこで消化機能を担います。胆汁酸の約 95 % は回腸末端で再吸収されて腸肝循環によって肝臓に戻されることから、このシステムの効率の良さがわかります。残りの 5 % は再吸収されず、腸内微生物叢による大幅な構造修飾が行われます。このプロセスで二次胆汁酸と呼ばれる関連代謝物が生成されます。二次胆汁酸は独自の生物学的活性を持ち、多くが未解明のままになっています。

最近の研究で二次胆汁酸が健康と疾患に幅広く関わっていることが示されています。また、免疫調節に関係し、免疫細胞の活性や炎症反応に影響する可能性が新たな研究において指摘されています。発がんと腫瘍の進行を二次胆汁酸に結び付けるエビデンスも増えており、特定のがんの発生と進行における潜在的な役割が注目されています。これらの発見は、胆汁酸、特に二次胆汁酸が単なる消化剤ではなく、複雑な生理学的プロセスに深く関わっていることを示しています。その多様な役割を理解することで、さまざまな疾患の原因に関する新しい知見が得られたり、新たな治療戦略が見つかる可能性があります。このアプリケーションノートでは、Agilent 6495D トリプル四重極 LC/MS(LC/TQ)プラットフォームを用いて血漿、血清、糞便サンプル中の 68 種類の BA のターゲット分析を行うための新しい標準LC/MS/MS メソッドを紹介します。

分野 オミクスバイオ医薬品および医薬品
キーワード Bile Acids; Metabolomics; Lipidomics; Life Sciences; Microbiome; Life Science Research; Mass Spectrometery; LC/TQ; Liquid Chromatography 
掲載年月 2025/09
ページ数 13ページ (PDFファイルサイズ 948kB)

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(PDF 949KB)