Access Agilent 2016年7月号

あらゆるアプリケーションにおける Q-TOF LC/MS 分析のスピード、操作性、生産性を向上

Aaron Boice、アジレント LC/Q-TOF プロダクトマネージャ

日々の分析で要求されることは、多くのラボに共通です。ラボでは、より高い検出性能、より高いサンプルスループットを必要とし、信頼性の高いスクリーニングメソッドを迅速に開発しなければなりません。分析の難しい不安定な化合物を確実に測定する方法を必要としているラボもあります。Agilent 6545 Accurate-Mass Q-TOF LC/MS システムは、これらのニーズに応えるために設計された LC/Q-TOF です。このシステムに搭載されている新たな Agilent Swarm オートチューンは、再現性の高いフェムトグラムレベルの感度性能、800 ppb 以下の質量精度、および最大 5 桁のスペクトルダイナミックレンジを備えています。Swarm オートチューンでは最大 21 個のパラメータを同時に最適化することで、低分子化合物に対する感度が格段に高まります。

この記事では、Agilent 6545 Q-TOF LC/MS システムにより複数のアプリケーション分野に渡って最高レベルの結果が得られることを示す 3 つのアプリケーションノートを紹介します。

図 1. アジレントのパワフルなソフトウェアツールを用いた遺伝毒性化合物の効率的な分析ワークフロー

図 1. アジレントのパワフルなソフトウェアツールを用いた
遺伝毒性化合物の効率的な分析ワークフロー

医薬品中の潜在的遺伝毒性化合物の迅速なスクリーニング、
同定、定量

医薬品に毒物が入っていてもかまわないと考える人などいません。ところが、医薬品を長期間保管すると、潜在的な遺伝毒性化合物が生成される可能性があります。これらの化合物の検出、同定、定量のプロセスは時間がかかります。ハードウェアプラットフォームとソフトウェアツールが統合されたアジレントのシステムなら、このプロセスを簡単にします。アジレントのアプリケーションノート 5991-6378EN では、これらのツールを用いて医薬品中の潜在的な遺伝毒性化合物を同定および定量するルーチンスクリーニングについて取り上げています。図 1 は、そのアプリケーションで用いられたワークフローです。

このワークフローでは、Agilent 6545 Q-TOF LC/MS システムにより、医薬品成分としてクロルヘキシジンを含むサンプルの精密質量データを採取しました。次に、Agilent Mass Profiler Professional ソフトウェアによってデータマイニングとサンプルの比較を行い、化合物の差分リストを作成しました。この差分リストに対する精密質量データベース検索により、潜在的な遺伝毒性化合物として 4-クロロアニリンを検出・同定することができました。その後、All Ions MS/MS 取り込みモードを使用して、MS/MS ライブラリサーチによって 4-クロロアニリンを確認し、外部標準を用いてこの化合物を定量しました。このワークフローは、既知の潜在的な遺伝毒性化合物を検出および定量するバッチ間のサンプル分析に最適です。

本資料掲載の製品は、すべて研究用です。診断目的では使用できません。

水中の微量濃度 PPCPs の検出 – 手間のかかるターゲット化合物の濃縮が不要

河川の表流水に医薬品およびパーソナルケア製品 (PPCPs) が流れ込むと、最終的に飲料水に危険な影響をおよぼす可能性があります。アプリケーションノート 5991-5954EN では、Agilent 6545 Q-TOF LC/MS システムを用いて水中の PPCPs を ppt レベルでスクリーニングおよび定量する 2 つのメソッドを取り上げています。これらのメソッドでは、Swarm オートチューンパラメータを不安定な有機低分子化合物に最適化することで、ポジティブイオンモードで 118 種類の化合物を、またネガティブイオンモードで 22 種類の化合物を高い精度と真度でスクリーニングし、定量することができました。

図 2. 高い信頼性での同定。25 ppt の 6-アセチルモルフィンを、共溶出する他の化合物のアバンダンスがその 1000 倍であるにも関わらず検出することができました。

図 2. 高い信頼性での同定。25 ppt の 6-アセチルモルフィンを、
共溶出する他の化合物のアバンダンスがその 1000 倍であるにも関わらず検出することができました。

このアプリケーションノートの例では、機器の感度を最大限に高めるために、高感度スライサモードを選択しました。このモードで測定することで、多くの PPCPs の検出のために、従来では必要とされていた時間のかかるターゲット化合物の濃縮は必要ありませんでした。サンプルの前処理は、約 3 mL のサンプルをろ過し、ろ過済みサンプル 1.0 mL に内部標準を加えるという単純なもので、その後サンプル 40 μL を注入して 6545 Q-TOF LC/MS で分析しました。多くのターゲット化合物の報告が必要な検出閾値は 10 ppt ですが、このメソッドでは、上記の簡便な操作であっても 10 ppt より大幅に低い検出下限 (LOD) および定量下限 (LLOQ) が得られました。

図 2 は、このアプリケーション例で同定した 6-アセチルモルフィンのスペクトルの例です。この化合物の全体的な検索のマッチスコアは 100 中 93.43 でした。6-アセチルモルフィンの含有量はわずか 25 ppt で、アバンダンスがその約 1000 倍の干渉イオンとともに共溶出しました。こういった検出が困難な状況にも関わらず、TOF の質量精度に加えてターゲット化合物の同位体のピーク強度およびイオンの間隔の情報から、高い信頼性で化合物を同定することができました (図 2B)。

食品中の農薬 240 化合物の検査—低分子化合物を確実に検出

食品中の農薬残留物のスクリーニングは、食品安全検査の分野において最も要件事項が厳しいアプリケーションの 1 つです。このアプリケーションでは、迅速で信頼性の高い分析メソッドにより、幅広い食品マトリックス存在下において低濃度で存在する農薬を定量しなければなりません。この課題は、精密質量 LC/MS により解決できます。なぜならフラグメンテーション条件に関する予備知識がなくても、多数の分析対象物を検出するためのメソッドを簡単に設定できるからです。

アジレントのアプリケーションノート 5991-5552EN では、Agilent All Ions MS/MS 手法を用いて分析困難な食品マトリックス中の農薬および農薬代謝物 240 種を検出する UHPLC/Q-TOF/MS メソッドについて紹介しています。このメソッドでは、Agilent 1290 Infinity LC システムの UHPLC 機能によりもたらされる、優れたクロマトグラフィー分離能と、Agilent Jet Stream サーマルグラジエントフォーカシング技術による高度なイオン化が活用されています。

図 3. 紅茶マトリックス中のベナラキシル (左) およびアボカドマトリックス中のアミドスルフロン (右) の検量線の例

図 3. 紅茶マトリックス中のベナラキシル (左) およびアボカドマトリックス中のアミドスルフロン (右) の検量線の例

さらに、Agilent 6545 Q-TOF LC/MS システムの優れた感度と、不安定な有機低分子化合物を最適な状態で検出器まで移送する Swarm チューニングにより、信頼性の高いスクリーニングと定量が実現されます。図 3 は、このメソッドで得られた直線性の高い検量線です。10 ng/g の低濃度レベルの添加測定では、複雑な紅茶マトリックスで農薬の 72 % が検出され、脂質含有量の高いアボカドマトリックスで農薬の 80 % が検出されました。

このアプリケーションノートのの結果から、有機低分子化合物に対する Agilent 6545 Q-TOF LC/MS システムの優れた検出能力が実証されました。このシステムなら、規制値の最大残留基準値 (MRL) より低い濃度で存在するターゲット農薬のほとんどを、スクリーニングおよび定量することができます。

答えをより迅速に、測定をより正確に、結果をより簡単に

Q-TOF LC/MS アプリケーションに関わらず、ラボの機器は、優れた堅牢性と妥協のない生産性、高い感度を備えたものでなければなりません。Agilent 6545 Q-TOF LC/MS システムなら、必要な結果をより簡単に得ることができます。アジレント 6545 Q-TOF により、ラボのワークフローをいかに効率化できるかをご確認ください