Access Agilent 2015年10月号

早期警告サインを活用した溶出試験ラボのスムーズな運営

Bryan Crist
アジレント溶出試験システム – 科学研究マネージャ

ルーチン試験に使用している溶出試験器の適格性評価結果が許容範囲外になり、その原因が試験器のアラインメントに影響する機械的な問題だった - こんなことが多忙なラボで起こったことはありませんか。21 CFR Part 211.160(b)(4) で規定されている GMP (適正製造規範) には「…規定された仕様を満たしていない機器、試験器、計器、および記録装置を使用しないこと」と明記されています。これは装置のダウンタイムを意味するものであり様々な問題を引き起こします。試験器の点検や調整は拡張型機械的校正に沿って測定し、再度仕様に適合していることを文書化する必要があります。この適格性評価では、試験器の仕様への適合性を最後に確認してから実施した溶出試験およびすべての試験対象医薬品の結果を包括的に検証しなければなりません。多くの場合、このような過去にさかのぼる検証とそれに伴う再試験には多大な時間とコストがかかり、これがラボの評判や生産性に悪影響を与える可能性もあります。

アジレントの 280-DS MQS により、すばやく簡単に物理パラメータをモニタリングできます。

図 1. アジレントの 280-DS MQS により、すばやく簡単に物理パラメータをモニタリングできます。

280-DS MQS ソフトウェアの傾向分析フィルタにより、問題を発生前に検出できます。

図 2. 280-DS MQS ソフトウェアの傾向分析フィルタにより、問題を発生前に検出できます。(図を拡大)

280-DS MQS ソフトウェアの傾向分析フィルタにより、問題を発生前に検出できます。

図 2. 280-DS MQS ソフトウェアの傾向分析フィルタにより、問題を発生前に検出できます。

Agilent 280-DS ソリューションですばやく簡単かつ正確に傾向分析

Agilent 280-DS メカニカルクオリフィケーションシステム (MQS) は、USP (米国薬局方) Apparatus 1 および 2 の eMQ に特化したシステムであり、FDA (米国食品医薬品局) および ASTM (米国材料試験協会) 規格で求められるすべての物理パラメータを測定および報告するよう設計されています。280-DS は、ベッセルモジュールとインスツルメントモジュールの 2 つのコンポーネントで構成され、アクティブベッセルポジションで、1ポジションにつき物理的パラメータを15分で測定します (図 1)。高精度構造を備えているため、機械的校正(MQ) 規格で要求される正確な位置で精度の高い測定を実施することが可能です。また、データの解釈作業を排除し、ハンズフリー構造のモジュールを採用することで、再現性を高めます。結果のレポートには、試験器が eMQ 規格で定められた厳格な許容範囲を満たしていることが文書化されます。

Agilent 280-DS MQS の利点はこれだけではありません。ラボ内の溶出試験器のデータを保存、傾向分析が出来る280-DS MQSワークステーションソフトウェアの能力を実感できます。もし試験器を故障発生前に試験ルーチンから除外することができたらどうでしょうか。例えば、ベッセル下部のセンタリング測定値は、時間の経過とともに 0.1 mm から 0.3 mm、0.6 mm、さらに 0.9 mm へと徐々に増加していきます。280-DS ソフトウェアで収集したデータを利用すれば、キャリブレーション結果が許容範囲外になる前に、試験器を試験ルーチンから除外することができます。この機能は、規制の期待を上回る効果をもたらします。次のキャリブレーションまで試験器を維持できるだけでなく、その価値は、ラボの運用コストと時間にも現れます (図 2)。

適格性評価を頻繁に実施することで故障調査を最小化

キャリブレーション結果が許容範囲外になる状況を最小限に抑えるためには、許容範囲外になる可能性の高いコンポーネントやパラメータのリスク評価にもとづいて、再適格性評価の実施頻度を決めることも重要です。FDA の eMQ 手順では、その実施頻度を、機器の納入時、機器の移動または修理後、および前回のキャリブレーションから 6 か月後としています [1]。この頻度は、完全な MQ 試験の最低限の頻度であり、業界向けの FDA ガイダンスでは、さらに GMP ラボが「キャリブレーション手順で各キャリブレーションステップの実行頻度を定め、キャリブレーションスケジュールでは、重要性の高い各パラメータの変動性を考慮すべきである」としています [2]。すなわち、コンポーネントが機械的校正の許容範囲内にあることを確認するために、許容範囲外になりやすい一部のパラメータについては、より頻繁に (3 か月ごと、毎月、または必要に応じて) 測定しなければならないということです。

インタクト先発薬およびインタクトバイオシミラーのミラープロット

図 3. 定期的な適格性評価の頻度が高くなるほど、試験器の状況をより的確に把握することができ、故障調査の時間が低減します。

例えばパドルやバスケットシャフト交換後の高さおよびセンタリングで実施するチェックの頻度は、機器の設計にもとづいて判断する必要があります。また、それを溶出試験器の適格性評価に関する標準操作手順書 (SOP) に明記しなければなりません (図 3)。FDA は、溶出試験器の適格性評価で生じる問題の多くが、MQ の手順および頻度をまとめた SOP が作成されていないこと、手順が不十分であること、または単に SOP に従っていないことが原因であると指摘しています。すなわち、ラボでは、試験器の適格性評価に関する SOP を確立し、分析者はその手順を適切に実施するためのトレーニングを十分に受けることが不可欠です。

Agilent 280-DS MQS でラボの稼働時間と精度を向上

アジレントの包括的なソリューションがあれば、GMP で求められる最高の状態とアラインメントで溶出試験器を維持し、高品質の医薬品を確保することができます。Agilent 280-DS MQS の詳細については、アジレントのオンラインソースブックをご覧ください。また、リンクから、eMQ の実施ガイダンスおよび規制情報、Agilent 280-DS メカニカルクオリフィケーションシステムのカタログ(英語)をご覧いただけます。

  1. Mechanical Qualification of Dissolution Apparatus 1 and 2, FDA Division of Pharmaceutical Analysis, Document DPA-LOP.002, June 2, 2006.
  2. The Use of Mechanical Calibration of Dissolution Apparatus 1 and 2 – CGMP, US FDA Center for Drug Evaluation and Research (CDER), January, 2010.