Access Agilent 2015年9月号

mAb 抗体価測定の可能性を広げる Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラム

Phu T. Duong and Linda L. Lloyd
アジレントバイオカラム

さまざまな疾患の治療に対する要求の高まりを背景に、近年、有力な生物製剤製品の 1 つであるモノクローナル抗体 (mAb) の重要性が増しています。これらの抗体は、病原体をより的確に攻撃するよう特定の遺伝子構造をもとに設計されています。これらの抗体を開発する過程で、高収率クローンを選択するための、さまざまな細胞培地上清での抗体価および濃度の測定に、プロテイン A および G に高い親和性を持つ分析カラムが使用されています。

プロテイン A および G カラムは、抗体に対して高い親和性を持つため、細胞培地上清中の抗体にのみ結合します。ただし、選択性はそれぞれ異なります。例えば、Agilent バイオモノリスプロテイン A カラムは、ヒトサブクラス IgG1 および IgG2 に対して高い親和性を示しますが、IgG3 に対する親和性はありません。一方、Agilent バイオモノリスプロテイン G カラムは、ヒトサブクラス IgG1、IgG2、および IgG3 に対して高い親和性を示します。また、プロテイン G カラムは、IgA や IgD などのヒトサブクラスモノクローナル抗体に対する親和性がありませんが、プロテイン A カラムはどちらの抗体にも結合します (表 1)。これらのカラムは相補的に働くため、組み合わせて使用することで、現在開発中の生物製剤の多様な mAb サブクラスおよびフラグメントの抗体価測定が可能になります。

抗体

抗体

プロテイン A

プロテイン G

ヒト

ヒト lgG1

++++

++++

ヒト lgG2

++++

++++

ヒト lgG3

-

++++

ヒト lgG4

++++

++++

ヒト lgA

++

-

ヒト lgD

++

-

ヒト lgE

++

-

ヒト lgM

++

-

マウス

マウス lgG1

+

++

マウス lgG2a

++++

++++

マウス lgG2b

+++

+++

マウス lgG3

++

+++

マウス lgM

+/-

-

抗体フラグメント

プロテイン A

プロテイン G

ヒト Fab

+

+

ヒト F(ab')2

+

+

ヒト scFv

+

-

ヒト Fc

++

++

ヒト Κ

-

-

ヒト λ

-

-

表中のキーコードは、それぞれの抗体に対するプロテイン A および
G カラムの相対的な親和性を示します。
++++ = 強い親和性
+++ = 中程度の親和性
++ = 弱い親和性
+ = わずかな親和性
- = 親和性なし

表 1. さまざまなヒトおよびマウス IgG サブクラスに対するプロテイン A および G カラムの結合親和性 [1,2]
細胞培地上清中の特定 mAb を捕捉する優れた特異性と選択性を適切なカラムの選択により実現

IgG3 に対する Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラムの選択性の比較

図 1. IgG3 に対する Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラムの選択性の比較(図を拡大)

IgG3 に対する Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラムの選択性の比較

図 1. IgG3 に対する Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラムの選択性の比較

細胞培地上清中の特定 mAb を捕捉する優れた特異性と選択性を
適切なカラムの選択により実現

以下の例では、ヒトモノクローナル抗体に対する Agilent バイオモノリスプロテイン A カラムとバイオモノリスプロテイン G カラムの相補的な特性について考察します。図 1 は、mAb. に対するカラムの特異性を示しています。CHO細胞 を含む上清に IgG3 mAb を添加し、Agilent バイオモノリスプロテイン G カラム (右側のクロマトグラム) に注入すると、IgG3 のみが捕捉されました。IgG3 は 1.6 分付近で溶出しています (流量 1.0 mL/min)。一方、宿主細胞タンパク質はカラムに捕捉されず、フロースルーピークとして溶出しています。一方、Agilent バイオモノリスプロテイン A カラム (左側のクロマトグラム) では、IgG3 サンプルが捕捉されませんでした。表 1 に示したとおり、この 2 種類のカラムは抗体に対して異なる選択性を持っています。図 1 から、2 つのカラムの選択性の違いは明らかです。どちらのカラムも IgG1 および IgG2 (図なし) に結合し、これらの抗体を分離しますが、上清中の IgG3 を捕捉できるのはバイオモノリスプロテイン G カラムのみです。

A: ピーク面積の直線性。B: 洗浄前後。カラムの容量および性能が完全に回復しています。

図 2. A: ピーク面積の直線性。B: 洗浄前後。カラムの容量および性能が完全に回復しています。(図を拡大)

A: ピーク面積の直線性。B: 洗浄前後。カラムの容量および性能が完全に回復しています。

図 2. A: ピーク面積の直線性。B: 洗浄前後。カラムの容量および性能が完全に回復しています。

アジレントのカラムによる正確な定量と直線性

開発初期段階で細胞株を選択する際に、また製造段階で細胞培地上清中の mAb の量から最適な採取時期を特定する際には、モノクローナル抗体の mAb 抗体価を正確に定量することが不可欠です。Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラムが備える mAb の正確な定量能力を示すために、さまざまな量 (µg) の精製済み IgG1 をカラムに注入しました。ピーク面積と生成された IgG の量の関係を示すデータをもとに直線を作成し、分析真度を評価しました。図 2A は、プロテイン G カラムによるピーク面積の直線性を示しています。ピーク面積の直線性から、採取細胞培地にさまざまな濃度範囲で含まれる mAb の定量に Agilent バイオモノリス G カラムが有効なことがわかります。カラムへの最小注入量は 10 µg です。10 µg の注入量に対し、S/N 比が 1:1 を超えることはありませんでした (データの掲載なし)。Agilent バイオモノリスプロテイン A カラムについても同様のデータを取得しました (IgG3 のデータを除く) (データの掲載なし)。どちらのカラムも最大保持容量は IgG 400~500 µg で、細胞株の選択時および生産時に必要とされる濃度範囲をカバーしています。また、Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラムは、特殊設計のポリマー構造です。きわめて高い堅牢性を備え、洗浄により性能を容易に回復できます (図 2B)。

幅広い mAb 異性体の抗体価をすばやく測定

前述のとおり、Agilent バイオモノリスプロテイン A および G カラムは相補的に働きます。つまり、プロテイン G カラムは、プロテイン A カラムには結合しない mAb に対する親和性を持ち、またその逆も同様です。これらのカラムにより、さらに幅広い mAb 異性体の抗体価をすばやく測定する可能性が広がります。また、検量線の直線範囲が広く、抗体価の測定を広い濃度範囲にわたって行えるため、候補濃度を正確に定量できます。

アジレントのカラムが生体分子の特性解析の速度と真度を向上

Agilent AdvanceBio カラムは、モノクローナル抗体 (mAb)、その他タンパク質、ペプチド、合成オリゴヌクレオチドなどの生体分子の特性解析を高い真度ですばやく実施できるよう設計されています。AdvanceBio 製品ファミリを使用すれば、多忙なラボの効率およびスループットを高め、コストを削減できます。詳細については、アジレントのホームページをご覧ください。

References

  1. Richman, D. D., Cleveland, P. H., Oxman, M. N. and Johnson, K. M. 1982. “The binding of 1.
    Staphylococci protein A by the sera of different animal species.” J. Immunol. 128: 2300-2305.
  2. Frank, M. B. 1997. “Antibody Binding to Protein A and Protein G beads”. 5. In: Frank, M. B., ed. Molecular Biology Protocols. Oklahoma City.