Access Agilent 2015年2月号

Agilent Bravo Platform による大学での医学研究の迅速化

Kasia Proctor
アジレント製品マネージャ、自動化システム

優れた研究には事前調査の時間が必須です。よって、優れた研究と時間の節約は両立できない目標であると考えられています。しかし、調査段階でのサンプル前処理において少量の液体を処理する手順が複数必要になる場合、Agilent Bravo Automated Liquid Handling Platform を使用することでプロセスを迅速化することができます。ここでは、バイオマーカーの検出とテロメアおよび microRNA に関する診断研究を加速するためにこのシステムを使用した 2 つのケーススタディをご紹介します。

キングスカレッジの例、Agilent Bravo Platform によりバイオマーカーの発見を迅速化

何百名もの人々からサンプルは採取されます。健康な人もいれば、高血圧の人や心臓発作を起こした経験のある人もいます。

イギリス有数の研究を行う大学の 1 つであるキングスカレッジロンドンの科学者は、心血管疾患や代謝性疾患が深刻な問題になる前に医師が発見できるようにするための手がかりを、被験者の血液から見つけたいと考えています。

その方法はきわめて単純です。「心血管に関する事象の発生前に一連の RNA が上方または下方に制御されたことが判明すると、これが診断用のバイオマーカーになる可能性があります」、とキングスカレッジ所属 British Heart Foundation Centre of Research Excellence の研究員である Philipp Skroblin 博士は述べます。

信頼性の高いバイオマーカーがあれば、医師は潜在的な問題を患者に警告して、予防的措置を講じることができます。

黒とグレーで示された繰り返し分析が、バイオマーカー検出での Bravo Platform の卓越した再現性を表しています。

図 1.黒とグレーで示された繰り返し分析が、バイオマーカー検出での Bravo Platform の卓越した再現性を表しています。(図を拡大)

黒とグレーで示された繰り返し分析が、バイオマーカー検出での Bravo Platform の卓越した再現性を表しています。

図 1. 黒とグレーで示された繰り返し分析が、バイオマーカー検出での Bravo Platform の卓越した
再現性を表しています。

「Bravo Platform の精度は本当に素晴らしいものです。必要なチップの数が少ないため、その他の自動化したシステムと比べて時間と多くのコストを節約できました」

より高速かつ容易で、精度の高いプラットフォーム

キングスカレッジでは、Agilent Bravo Automated Liquid Handling Platform を使用することで、バイオマーカー検出における診断研究を加速しています。Bravo Platform は手動メソッドより高速で使いやすいだけでなく、ラボで以前使用していた自動化したシステムよりもはるかに効率的で、コストパフォーマンスに優れています。

「異なるのは、Bravo Platform には複数のピペットチップが搭載されているため、並列して反応を進めることができる点です。その他のシステムには 1 つのピペットしかないため、プレートのロードに 2 時間近くかかり、結果の信頼性も満足できるものではありませんでした。いくつか奇妙な異常値が発生しており、あるサンプルを繰り返し実験したところ、再現性の高い結果は得られませんでした。Bravo を選んだのはこのためです」、と Skroblin 博士は言います。

図 1 は Bravo の再現性を示したものです。Bravo を使用して、1 種類のサンプルと 5 種類の対象化合物のマスタミックスが、20 種類の 384 ウェルプレートにピペットで 2 回繰り返して注入されました。この図は、後続の qPCR (定量ポリメラーゼ連鎖反応) 分析 で 2 回 (黒とグレー) 取得された CT (スレッシュホールドサイクル) 値を示しています。その結果、すべてのプレートと幅広い CT 範囲の全体を通じて、高い再現性が確認されました。

「Bravo Platform の精度は本当に素晴らしいものです。必要なチップの数が少ないため、その他の自動化したシステムと比べて時間と多くのコストを節約できました。その他のシステムでは各チップを 1 回しか使用できません。反対に、Bravo では、チップがマスタミックスに接触しないため、クロスコンタミネーションを発生させることなく再利用でき、異なるマスタミックスを含む複数のウェルにサンプルを分注することができます。これは私たちにとって大きなメリットです。プレートのレイアウトによって異なるものの、Bravo で使用するピペットチップはプレートあたり 30 から 40 ですが、以前のシステムでは 400 以上でした」

<sup>204</sup>Hg の干渉を除去するための MS/MS リアクションモード概略図。Q1 は m/z <sup>204</sup> に設定されており、<sup>204</sup> amu 以外の質量で全イオンを排除することで、複雑なマトリックスでも化学的分離を実現します。

図 2.田原博士と助手は Bravo Platform を使用することで、テロメアの短縮と老化および癌との関係についての研究を迅速化しています。

Bravo 最大のメリットは、「再現性があることと、細胞の損傷を軽減できることです」

広島大学、Agilent Bravo Platform を使用して
テロメアおよび microRNA の研究を加速

日本にある広島大学の細胞分子生物学教授である田原栄俊博士は、老化および癌の先行要素を探しています。

田原教授とその他の科学者がおこなうテロメア研究には次のような未知の部分があります。テロメアは、ヒトの遺伝子データの解明を妨げている染色体の末端部分です。テロメアは細胞分裂のたびに短くなります。短くなりすぎると、細胞がそれ以上分裂できなくなり、不活性状態になるか、または死亡します。2006 年に開設された田原博士のラボでは、この短縮プロセスがどのように老化や癌、死亡リスクの増加に関係しているかを調査しています。

田原博士とそのチームは、健康を促進して寿命を延ばすために、テロメアと microRNA が治療に果たす役割におもな焦点を合わせた基礎研究を行っています。

アッセイの自動化による細胞損傷の軽減

田原博士のチームはこれまでに、細胞ベースのアッセイを手動で何千回も実施してきました。「手作業で処理できない数ではないと思っていましたが、時間の経過とともに細胞が損傷を受けたのです」と田原博士は言います。

詳細については、Agilent Bravo Automated Liquid Handling Platform をご覧ください。田原博士によると、Bravo Platform はコンパクトで使いやすく、清潔な状態を維持するのも簡単です。

最大の特長 ?「再現性があることと細胞の損傷を軽減できることです」と田原博士は言います。

「将来的には、この柔軟性に優れた機器を化合物管理に使用することを検討する予定です」

手作業による単調なサンプル前処理を解消したいとお考えなら、Agilent Bravo Automated Liquid Handling Platform の詳細をご確認ください。qPCR に関するアプリケーションノート 5990-4522EN およびデータシート 5990-3480ENをご覧ください。お客様の液体取り扱い要件に合ったアクセサリに関しては、Selection Guide 5991-3294EN をご覧ください。また、こちらのビデオでは、Agilent Bravo Automated Liquid Handling Platform によるサンプル処理速度の飛躍的な向上についてご紹介しています。