Access Agilent 2013年11月号

Agilent バイオイナートキャピラリの PEEK

Katja Kornetzky
アジレント製品マネージャ、LC 補用品

バイオクロマトグラフィでは、キャピラリとコネクタを不活性化し、タンパク質サンプルの吸着を最小限に抑える必要があります。タンパク質の中には、金属に反応するものがあります。たとえば、キレートタンパク質の多くはそうした性質があります。また、一部の酵素プロセスでは、金属が触媒に用いられています。その他の反応性の高い化合物も、鉄の存在により、分解される傾向があります。キャピラリにはそのほか、厳しい溶媒条件にも耐えられる優れた堅牢性が求められます。たとえば、定置洗浄 (CIP) 手順では、強酸や強塩基が用いられます。また、イオン交換クロマトグラフィで用いられる濃度の高い塩は、接触する表面に沈殿し、スチール部品の錆び(さび)につながることがあります。

各種移動相を用いたフラッシング後の各 LC システムの金属遊離。

図 1.各種移動相を用いたフラッシング後の各 LC システムの金属遊離。(図を拡大)

各種移動相を用いたフラッシング後の各 LC システムの金属遊離。

図 1.各種移動相を用いたフラッシング後の各 LC システムの金属遊離。

トコフェロール分析では、Agilent バイオイナート PEEK/ステンレスキャピラリにより、従来のステンレスのみのキャピラリに比べて、リテンションタイム (左) と面積 (右) の精度が 10 倍に向上します。

図 2.トコフェロール分析では、Agilent バイオイナート PEEK/ステンレスキャピラリにより、従来のステンレスのみのキャピラリに比べて、リテンションタイム (左) と面積 (右) の精度が 10 倍に向上します。
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トコフェロール分析では、Agilent バイオイナート PEEK/ステンレスキャピラリにより、従来のステンレスのみのキャピラリに比べて、リテンションタイム (左) と面積 (右) の精度が 10 倍に向上します。
 

図 2. トコフェロール分析では、Agilent バイオイナート PEEK/ステンレスキャピラリにより、従来のステンレスのみのキャピラリに比べて、
リテンションタイム (左) と面積 (右) の精度が 10 倍に向上します。

堅牢なバイオイナート UHP-FF フィッティング (左) では、フィッティングを締める際にキャピラリにねじりの力が加わりません。「フィンガータイト」レンチ (右) により、フィッティングを簡単に締めることができます。

図 3.堅牢なバイオイナート UHP-FF フィッティング (左) では、フィッティングを締める際にキャピラリにねじりの力が加わりません。「フィンガータイト」レンチ (右) により、フィッティングを簡単に締めることができます。(図を拡大)

堅牢なバイオイナート UHP-FF フィッティング (左) では、フィッティングを締める際にキャピラリにねじりの力が加わりません。「フィンガータイト」レンチ (右) により、フィッティングを簡単に締めることができます。
 

図 3. 堅牢なバイオイナート UHP-FF フィッティング (左) では、フィッティングを
締める際にキャピラリにねじりの力が加わりません。「フィンガータイト」レンチ (右)
により、フィッティングを簡単に締めることができます。

高圧に耐えられる性能

残念ながら、金属フリーの PEEK キャピラリは、耐圧が30 MPa までです。動作圧力範囲内でも、柔軟性が低くなります。バイオ不活性、堅牢性、より高い動作圧力に対するニーズに対応するために、アジレントはバイオイナートキャピラリを設計しました。このキャピラリは、60 MPa までの圧力に耐えられる高強度ステンレスで被覆した PEEK ライナで構成されています。同じ技術を Agilent キャピラリフィッティングにも使用することで、バイオイナートアプリケーションに対応する、金属を使用しない強力なキャピラリ/コネクタフローパスが実現しています。

腐食を防ぐ金属フリーソリューション

内側が PEEK 製の Agilent バイオイナートキャピラリは、1 ~ 14 までの pH 範囲全体に対応できます。ステンレスの被覆により、60 MPa までの圧力での使用が可能になっています。この圧力は、PEEK のみで製造した場合の圧力上限 30 MPa を大きく上回っています。

アジレントはメーカーとして唯一、金属フリーのサンプルフローパスを備えた UHPLC システムを提供しています。それが、1260 Infinity バイオイナートクォータナリ LCです。その他のシステムでは、金属合金が用いられていますが、そうした金属はタンパク質複合体の生成や腐食の原因となることがあります [1]。図 1 では、Agilent バイオイナートキャピラリの優れた性能により、LC システムからの金属の遊離が防止されることが示されています。

もう 1 つのアプリケーション上の難問が、鉄の存在下で分解されるビタミン E やトコフェロールです。ステンレス製 LC システムを用いた従来の分析では、ピークテーリングが生じ、場合によってはサンプルが失われることもあります。Agilent 1260 Infinity バイオイナートクォータナリ LC とバイオイナートキャピラリなら、トコフェロールが分解されることはありません。そのため、リテンションタイムと面積の精度が 10 倍に向上します [2]。図 2 に詳細を示しています。

ストレスのない簡単な設置

機械的に接合されたキャピラリの PEEK チップは、水平および回転方向の圧力に対する優れた耐性を備えているため、フィッティングを締める際のキャピラリのトルクへの配慮が軽減されます。フィッティングのトップをグリッピングするためのスリップオン式のレンチを使えば、手作業で簡単に締めることができます (図 3)。

あらゆるアプリケーションに対応する接続

Agilent PEEK/ステンレスキャピラリは、1260 Infinity バイオイナートクォータナリ LC の重要な流路です。アジレントでは、あらゆるアプリケーションに対応する幅広いキャピラリを提供し、未処理サンプルから分析結果に至るまでの高性能接続を実現しています。Agilent キャピラリ選択ガイドでは、キャピラリの全製品を紹介し、特定の用途に適したキャピラリの選択に関する包括的なアドバイスを提供しています。

Agilent BioHPLC カラムと 1260 Infinity バイオイナートクォータナリ LC を組み合わせれば、性能と感度、信頼性、生産性を高める優れたソリューションが実現します。このシステムは、凝集体分析、電荷変異体分析、脱アミドおよびペプチドマッピングに最適です。堅牢で信頼性の高い機器と優れたカラム性能を提供するソリューションにより、これまで以上に信頼性の高い結果を、これまで以上に迅速に得ることが可能になります。

Agilent バイオイナートシステムが実現する利点の概要については、バイオイナート LC カタログをご覧ください。

References

  1. S. Schneider. “Determination of low-metal release from the Agilent 1260 Infinity Bio-inert Quaternary LC system using ICP-MS.” Application note, Agilent Technologies, Inc. Publication number 5990-9352EN (2011).
  2. S. Schneider. “Quality Analysis of Virgin Olive Oils – Part 4”. Application note, Agilent Technologies, Inc. Publication number 5991-2180EN (2013).