Access Agilent 2013年1月号

PLOT カラムの粒子流出から GC 機器を守ります

Yun Zou、Gary Lee、Laura Provoost
アジレント GC カラム

固定相の粒子流出は、多孔質層オープンチューブラ (PLOT) カラムの使用を困難にする要因になります。粒子がカラムから遊離してダウンストリームへ流れると、GC フローパスの流れを妨げたりつまらせたりして、カラム切り替えバルブの損傷や検出器の汚染につながることがあります。粒子が検出器を汚染すると、シグナルスパイクが生じ、ソフトウェアの化合物同定および定量機能に悪影響が出ます。

こうした問題により、Agilent キャピラリフローテクノロジー (CFT) および GC/MS 分析での PLOT カラムの使用に制約が生じていました。一部のラボでは、粒子トラップの設置や、関連フィッティングの使用などがありますが、そうしたフィッティングはつまりが生じる可能性があります。また、バルブや検出器でカラムにインラインフリットを使用することもありますが、これには定期的なメンテナンスが必要となります。

そうした不便な対策は、もう必要なくなりました。アジレントは、PLOT カラムの両端に一体型のパーティクルトラップを接続する技術を導入し、PLOT カラムの粒子流出という問題を解決しました。

成功に導く PLOTカラム

Agilent J&W PLOT PT GC カラムは、一体型のパーティクルトラップ技術により、手軽でリークのない分析を実現します。このパーティクルトラップ技術により、個別のトラップの設置という困難な作業が不要になります。一体型パーティクルトラップ技術は、1 本の連続したフューズドシリカチューブとしてカラムに組み込まれています。この一体型トラップにより、カラム切り替えバルブやキャピラリフローテクノロジー装置が保護され、インライン粒子フィルタが不要になるため、GC システムの稼働時間が向上します。PLOT カラムは、システムメンテナンスの手間を低減するだけでなく、MS 検出器でも問題なく使用することができます。

カラムの選択性や性能は、パーティクルトラップの有無にかかわらず変わらないので、メソッド変換が簡単で、メソッドの調整はほとんど、またはまったく必要ありません。また、PLOT PT カラムは、従来の PLOT カラムよりも優れた安定性を備えているため、再現性の高いフローの抑制や維持が可能で、GC アプリケーションに適した信頼性の高い選択肢となっています。

Agilent J&W PoraPLOT Q および PoraPLOT Q PT GC カラムを用いたスパイク試験

図 1. Agilent J&W PoraPLOT Q および PoraPLOT Q PT GC カラムを用いたスパイク試験 (図を拡大)

Agilent J&W PoraPLOT Q および PoraPLOT Q PT GC カラムを用いたスパイク試験
 

図 1. Agilent J&W PoraPLOT Q および PoraPLOT Q PT GC カラムを用いたスパイク試験

Agilent J&W PoraBOND Q PT カラムを用いた GC/MSD による溶媒分析

図 2.Agilent J&W PoraBOND Q PT カラムを用いた GC/MSD による溶媒分析
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Agilent J&W PoraBOND Q PT カラムを用いた GC/MSD による溶媒分析
 

1. メタノール

5. アセトン

9. ギ酸エチル

2. アセトアルデヒド

6. 塩化メチレン

10. 1-プロパノール

3. エタノール

7. イソプロピルアルコール

11. エチルエーテル

4. アセトニトリル

8. 2-プロパナミン

 

図 2. Agilent J&W PoraBOND Q PT カラムを用いた GC/MSD による溶媒分析

Agilent J&W HP-PLOT Q PT GC カラムを用いた石炭‐化学プロセスガス分析

図 3. Agilent J&W HP-PLOT Q PT GC カラムを用いた石炭‐化学プロセスガス分析
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Agilent J&W HP-PLOT Q PT GC カラムを用いた石炭‐化学プロセスガス分析
 

図 3. Agilent J&W HP-PLOT Q PT GC カラムを用いた石炭‐化学プロセスガス分析

PLOT PT カラムの精度向上を実証する安定性試験

粒子流出を実証するために、通常の最適圧力の 3 倍高い圧力と、20 °C/min で 50~250 °C へ移行する温度プログラムを用いて、標準的な Agilent J&W PoraPLOT Q カラムを使用しました。その後、このプロセスを 15 回繰り返しました。バルブの切り替えによりカラムで生じるものと同様の圧力変動を再現するために、キャリアガスのオンとオフを 10 回にわたって切り替えました。このプロセスの間に、ガス流速、圧力、表面応力、振動になんらかの変化が生じると、通常は粒子や固定相のセグメント全体が遊離することになります。そうした粒子はカラム内をはがれて移動しはじめ、検出器へ到達し、 1 のクロマトグラム A に示すような「スパイク」を引き起こします。

その後、 1 のクロマトグラム B で示すように、Agilent J&W PoraPLOT Q PT カラムで同じ試験を実施しました。PoraPLOT Q PT カラムでは、こうした極端な条件下においても、粒子の流出は見られませんでした。この結果は、データの精度と使いやすさが大幅に向上していることを示しています。

安定した固定相により優れた再現性と保持力が実現

PLOT カラムを用いて信頼性のある分析をおこなうためには、優れた保持力およびフローの再現性が求められます。 1 の PLOT PT カラムの性能試験データは、リテンションファクターとフローにほとんど偏向がなく、きわめて安定性の高い固定相であることを示しています。

カラム

 

リテンション
ファクター

リテンション
インデックス
ジエチルエーテル

リテンション
インデックス
酢酸エチル

PoraBOND Q PT、
30 m x 0.25 mm
(n=12)

平均

3.68

482.2

553.6

標準偏差 0.07 0.20 0.60
RSD% 5.08 491.3 570.4

PoraPLOT Q PT、
30 m x 0.32 mm
(n=22)

平均

0.29

0.70

1.40

標準偏差 5.71 0.14 0.25
RSD% 5.56 525.2  

PoraPLOT U PT、
30 m x 0.32 mm
(n=9)

平均

5.56

525.2

622.7

標準偏差 0.16 0.50 0.40
RSD% 2.88 0.10 0.06

表 1. Agilent J&W PLOT PT カラムの再現性

既存の Agilent PLOT カラムと比べると、一体型パーティクルトラップを備えた PLOT PT 構成では、リテンションファクター、リテンションインデックス、理論段数などのクロマトグラフィ性能に影響が出ていません ( 2)。この新タイプのカラムへの切り替えは簡単で、メソッドの再開発はほとんど、またはまったく必要ありません。さらに、パーティクルトラップと分析カラムは一続きのキャピラリチューブであるため、リークのおそれもありません。

PoraBOND Q、
25 m x 0.32 mm

リテンション
ファクター
酢酸エチル

理論段数
酢酸エチル

非対称性
エタノール

リテンション
インデックス
ジエチルエーテル

リテンション
インデックス
酢酸エチル

2 つの一体型パーティクル
トラップを備えたカラム

平均

4.00

52,000

1.25

482.7

554.5

標準偏差

0.43 7,100 0.16 0.2 0.6

標準的なカラム

平均

4.14

51,411

1.40

482.9

554.7

標準偏差 0.41 3,734 0.23 0.1 0.2

表 2. Agilent J&W PLOT GC カラムでは、パーティクルトラップの有無にかかわらず、同じクロマトグラフィ性能が得られます。

心配のない GC/MS を実現する PLOT PT

PLOT PT カラムの一体型パーティクルトラップにより、GC/MS 検出も心配なくおこなうことが可能になります。 2 は、Agilent J&W PoraBOND Q PT カラムを用いた GC/MS による溶媒混合液の分離を示しています。PLOT PT カラムの優れた不活性により、アルコールや 2-プロパナミンといった極性化合物が優れたピーク形状で溶出しています。

極性化合物でも非極性化合物でも性能が向上

HP-PLOT Q カラムは、石油化学などの業界で広く使用されていますが、パーティクルトラップバージョンのカラムにより、従来カラムよりも安定性が向上し、心配のない MS 検出や CFT が可能になりました。 3 は、極性および非極性揮発性化合物の GC/MS 分析における  Agilent J&W HP-PLOT Q PT カラムの効果を示しています。

あらゆる面で PLOT の効率を向上

新しい Agilent J&W PLOT PT カラムは、一体型のパーティクルトラップにより、MS 検出および CFT 装置を用いた PLOT 分析におけるラボの効率を向上させ、ユニオンやダウンストリームフィルタに伴う問題を回避します。再現性の高いフロー抑制と安定性の向上により、スループットが高まり、安定した分析結果が得られます。PLOT PT カラムの導入により、フィルタやカラム切り替えバルブの交換の必要性が排除されるため、ダウンタイムや使用コストを削減できます。また、PLOT カラムと PLOT PT カラムで選択性は変化しないため、メソッドの調整や再開発が最小限で済み、PLOT PT カラムへ容易にアップグレードできます。Agilent PLOT PT カラムの利点に関する詳細情報をいますぐご確認ください。