Access Agilent 2011年6月号

Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C18 によるインスリン API 解析時における分析時間の短縮

Phu Duong
アジレント LC アプリケーションスペシャリスト

インスリンなどの医薬品原料 (API) タンパク質の完全な特性解析の一環として、1 次アミノ酸シーケンスに加えて、精製または製剤時に発生する可能性があるシーケンスへの翻訳後修飾も確認しなければなりません。このタイプの分析を実行するには変性条件が必要になり、通常は逆相 HPLC を分析手法として選択します。この例では、新しい Agilent ZORBAX ラピッドレゾリューション High Definition (RRHD) カラムを使用します。このカラムは充てんプロセスの向上を活用し、Agilent 1290 Infinity LC で使用できる最大 1200 bar の安定性を達成しています。超高速液体クロマトグラフィ (UHPLC) システム向けに設計された 1.8 μm カラムを使用することで分析時間を大幅に短縮しました。これは、タンパク質の 1 次構造を分析する際の品質管理 (QC) の効率を上げるためには非常に重要です。

図 1. Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C18 1.8 µm カラムにおける 5 分以内でのインスリンと不純物の分離 (図を拡大)。

図 2. 複数のグラジエントシステムを選択することにより、Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C18 1.8 µm カラムを使用して水分の多い溶離液を含むインスリンを5 分以内で分離することができます (図を拡大)。

インスリン、不純物、およびアイソフォーム

Agilent 1290 Infinity LC システムは、インスリン試験用混合液を非常に迅速に分離し、5 分以内で低分子であるインスリンを不純物と区別します (図 1)。複数のグラジエントを使用しても、同じ高速の分析時間が達成されます (図 2)。含水量が多い溶離液から始まるスクリーニンググラジエントを使用した場合でも、迅速な平衡化が明確に見られ、このカラムが幅広い有機系成分の分離に適していることを示します。

迅速な分離を実現するために流量の操作も可能です。ピークの非対称性と効率には変化がなく (表 1)、2-µm 未満の粒子により迅速な分離が容易になります。

流量 (mL) 圧力 (bar) リテンションタイム (分) 非対称性 プレート数
0.3 230-150 2.39 0.80 8815
0.5 350-250 2.04 0.82 8390
1.0 680-520 1.78 0.88 8034
1.5 890-670 1.72 0.88 8060

表 1. インスリン分析のリテンションタイム、非対称性、効率に与える流量の影響。

優れた再現性

200 回連続して注入を行い、カラムの再現性を確認しました。その結果は、カラムのクリーニングを行わずにインスリンを 200 回注入した後も、ピーク形状、非対称性、リテンションタイム、および効率に変化がないことを示しています (表 2)。

分析数 圧力 (bar) リテンションタイム (分) 非対称性 プレート数
1 680-520 1.789 0.86 9758
50 680-520 1.790 0.91 9752
100 680-520 1.788 0.88 9758
200 680-520 1.789 0.87 9741

表 2. インスリンの 200回分析により、Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C18 1.8 µm の高い再現性を証明しています。

 

熱変性したインスリンの分離

API を加熱することで強制劣化試験を実行し、HPLC を使用して変性生成物を監視することができます。インスリンの熱処理によって生じた変性生成物は、カラムを使用してインスリン単量体から迅速に分離することができます (図 3)。

図 3. 熱処理されたインスリンの Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C18 1.8 µm カラムでの迅速な分離 (図を拡大)。

図 4. 異なるグラジエントを使用した酸化インスリン鎖 A の分析 (図を拡大)。

インスリンアイソフォームの分離

図 4 に、このカラムでインスリンのアイソフォーム (ここでは酸化インスリン鎖 A) も分離できることを示します。ここでも、異なるグラジエントシステムを選択した場合も非常に類似した結果が得られます。
インスリンの高速分析を行うために、通常は高グラジエントシステムを使用します。ただし、これらの条件では、酸化インスリン鎖 A が強制的に非常に早く溶離されます。したがって、酸化インスリン鎖 A をその副成分から分析するには、分子がカラムに長い間確実に保持されるように、浅いグラジエントシステムが必要です。

迅速でシンプルな分析の実現

低分子のタンパク質生体製剤インスリンをそのアイソフォームや分解生成物と同時に分析するには、Agilent ZORBAX RRHD 300SB-C18 1.8 µm カラムを使用すると、迅速かつ容易に分析を実行できます。分析に酸性条件が必要な場合は、StableBond の 300 Å ポアサイズ粒子が適していますが、このカラムのラピッドレゾリューション High Definition 技術により高圧 UHPLC が可能になります。再現性が高く、分離能、非対称性、効率に優れています。このカラムは、タンパク質の 1 次構造を評価する場合の QC のニーズに適しています。

アジレントの新しい ZORBAX RRHD 300SB-C18 カラムは、次の場合に最適な選択肢となります。

  • 薬物探索の早期特性解析を行っており、高い分離能が必要な場合

  • メソッドを QC に移す前に再現性、分離能、高い生産性を必要とするメソッド開発が必要な場合

  • QC において、きわめて高いコストパフォーマンスを必要としている場合

詳細については、Agilent ZORBAX StableBond カラムAgilent 1290 Infinity LC システムの Web ページをご覧ください。治療用タンパク質の特性解析にご興味をお持ちの場合は、Agilent アプリケーションノート 5990-6192EN をダウンロードしてください。