Access Agilent 2011年6月号

光ファイバマイクロプローブを使用したAgilent Cary 60 UV-Vis 分光光度計の機能強化

Travis Burt
UV-Vis-NIR、蛍光製品マーケティングマネージャー

UV-Vis 分光分析は、研究および参照用に広く適用されている手法です。この分析は、定量分析およびスペクトルの取り込みによりサンプルプロファイリングを可能にする直接的かつ、非破壊的な測定を提供します。

ただし、UV-Vis にも課題がないわけではありません。例えば従来の UV-Vis メソッドでは、液体サンプルをマイクロキュベットに移動し、装置内に置いて測定する必要があります。このアプローチでは 2つの課題があります。第 1 には、サンプルが安定化し、周囲温度になるまで待機する必要があります。これがサンプルに悪影響を与えることがあります。第 2 には、測定と測定の間にマイクロキュベットを洗浄する必要があります。

さらに、特に冷蔵保存されていたサンプルでは、マイクロキュベット外部の結露によってデータが劣化することがあります。

光ファイバマイクロプローブによるキュベットの問題の解決

Agilent Cary 60 UV-Vis 分光光度計は、高い強度、短いパルス、および高集束キセノンランプを特長としているため、光ファイバマイクロプローブアクセサリとの優れた結合が可能になります。この結果、UV-Vis 測定に次の 2 つの大きな利点がもたらされます。

  • キュベットが不要になります。サンプル処理エラーが軽減されるため、時間とコストが削減されます。

  • 冷却されたサンプルを冷蔵庫から出した直後に測定できるため、便利で結露のリスクがなく、一貫性のあるデータが得られます。

図 1. 高強度 UV ランプ (Oriell 500 W Hg(Xe)) を使用し、20 分間 400 ~ 800 nm で測定したメチレンブルーの光ファイバによる動力学のスキャン (in situ)。ラベルは最大吸光波長を表します。著者が知る限りでは、これがこのアプローチに成功した初めての実験です (図を拡大)。

さらに、マイクロプローブを使用していることにより、サンプルを装置まで持ち運ぶ必要はなく、装置をサンプルに近付けることができます。 そのため、分析時間が劇的に短縮されます。

誘発されたサンプルの光退色を in situ で分析

メチレンブルーは、他の化合物と組み合わせて、化粧品、日焼け止め、汚染空気や汚染水の環境修復など、さまざまなアプリケーションに使用されています。メチレンブルーは UV-Vis 光の下で退色するため、制御された曝露条件下でこの化合物の退色過程を研究するには、従来の UV-Vis 分光光度計は不適切です。

Cary 60 キセノンランプの短いパルス幅によって UV-Vis光の総曝露量が下がるため、光に対する感度が高いサンプルでさえも光分解を避けることができます。この研究では、Agilent Cary 60 UV-Vis 分光光度計を光ファイバマイクロプローブとともに使用して、メチレンブルーサンプルの誘発された光退色を in situ で測定しました。

Cary WinUV ソフトウェアパッケージのスキャンカイネティクスモジュールを使用することにより、2 分間隔で 20 分間、400 ~ 800 nm の範囲でスキャンを取ることができました。外部高強度 UV ランプを使用し、ピークの高さと青のスペクトルのシフトに基づいて、溶液中のメチレンブルーの光動力学特性を調べました (図 1)。

このデータにより、20 分間の 655 nm における最大吸光度ピークの青のシフトが示すように、メチレンブルー溶液の光退色の制御が可能であることを確認することができました。これらの結果は、光ファイバマイクロプローブアクセサリを接続した Agilent Cary 60 が、シンプルでコスト効率の高い、迅速かつ多機能なシステムを、in situ での光触媒反応の自動測定に提供できることを示しています。

図 2. 2 つの濃度を使用した 150 µL DNA サンプルの 4 °C におけるスキャン。260 nm に特徴的な吸光度ピークが見られます。50 µg/mL DNA の 1.0 吸光度単位と、25 µg/mL DNA の 0.5 吸光度単位のピーク吸光度がランベルトベールの法則 (A = εcl) に従っていることに注意してください (図を拡大)。

4℃ における DNA の純度測定

Agilent Cary 50 UV-Vis 分光光度計にマイクロボリュームキュベットを接続することで、周囲温度における微量 DNA の純度を高い確度と再現性で測定できることがこれまでにわかっています [1]。この実験では、光ファイバマイクロプローブを接続した Cary 60 UV-Vis 分光光度計が、ラボの通常の蛍光灯の下、4℃ で DNA を定量する機能をテストしました。

最初に WinUV RNA-DNA Estimation ソフトウェアモジュールを使用して、340 ~ 240 nm でスキャンを取り、DNA サンプルの最大吸光度ピークを確認しました (図 2)。

DNA の純度を確認するために、320 nm におけるバックグラウンド吸光度を自動的に差し引く専用の WinUV ソフトウェアモジュール 「RNA-DNA Estimation」 を使用して、260/280 の比の測定を行いました。濃度曲線もプロットし、同じ条件下でのさまざまな DNA 濃度の読み取り値の直線性と再現性を評価しました (図 3)。

図 3. DNA サンプル (0-50 µg/mL) の濃度曲線。マイクロ遠心チューブに入った 4 °C の 150 µL サンプルを、通常の蛍光灯の下で光ファイバマイクロプローブを使用して測定しました。キャリブレーション方程式: Abs = 0.02393* 濃度、補正係数 = 0.9976 (図を拡大)。

Cary 60 UV-Vis 分光光度計と光ファイバマイクロプローブをあわせて使用することにより、マイクロボリュームキュベットを使用した類似の分析と比較して、分析時間が約 80% 短縮されました。再現性のない間違った結果を生じさせるマイクロボリュームキュベット外部の結露の問題も、DNA サンプル保管用のマイクロ遠心機チューブを使用して測定を行うことで解決することができました。このアプローチは、280 nm におけるタンパク質測定などの他のサンプルタイプに容易に拡張することができます。

直接的、非破壊的な測定の限界の改善

ここにまとめた 2 つの実験の結果により、光ファイバマイクロプローブを接続した Agilent Cary 60 UV-Vis 分光光度計が、迅速で信頼性の高い光触媒反応の測定を in situ で提供できることを確認することができます。冷却された生体サンプルの分析も可能です。キュベットの取り扱いによってコンタミネーションや結露のリスクが発生することはありません。

定量分析とサンプルプロファイリングのニーズを拡張するには、すべての Agilent Cary 分子分光光度製品ラインをご覧ください。

参考文献

  1. Keighley, B. and Fyfe, D. (1995) Simple and rapid quantitation of microlitre DNA samples using the Cary 50 UV-Vis spectrophotometer Publication number: SI-A-1219.