Access Agilent 2011年5月号

デュアル検出により、薬剤精製におけるサンプルロスを防止

Andrew Coffey
アジレント 製品マネージャ、BioSolutions および フラッシュ消耗品担当

シンプルな高速分取 LC 技法であるフラッシュクロマトグラフィは、クロマトグラフィ分野で急速に成長しているテクニックです。創薬分野で一般に用いられているこのテクニックでは、合成中間体の高速クリーンアップが可能で、しばしば順相条件が用いられます。さらに、逆相やイオン交換などのその他の固定相を用いて、より複雑な分離がおこなわれることも多くなっています。しかし、従来の HPLC と同様、UV 発色団を持たない化合物の分析では、検出下限がきわめて低いために困難が生じます。その解決策の 1 つが、UV 活性フラグメントや蛍光剤をポストカラムに追加することです。さらに簡単な解決策は、フラッシュ機器に蒸発光散乱検出器 (ELSD) を組み合わせることです。

図 1. UV および非 UV 活性化合物の分析 (UV が赤、ELSD が黒) (図を拡大)。

非 UV 化合物の検出

図 1 は、UV および非 UV 活性化合物が混ざるサンプルの分析において、Agilent 971-FP フラッシュ精製システム Agilent 385-LC ELS 検出器を使用した場合の利点を示しています。デュアル検出のおもな利点は、UV で検出できないためにフラクションコレクタで分離されないサンプル成分のロスを防止できることです。

ヘキサン中に 10 mg/mL の β-カロテン、α-トコフェロール、δ-トコフェロール、2-アミノフェノール、3-アミノフェノールを含む溶液を調製し、順相 Agilent SuperFlash SF15-12 g Si 35 カラムに注入しました (これらのカラムは、フラッシュ精製用に設計されています)。効率を高め、化合物の分離能を向上させるために、35 µm という小さいサイズの粒子を選択しました。

図 1 のクロマトグラムでは、異なる検出器の反応を重ねて表示しています。Agilent 971-FP に内蔵された直観的なソフトウェアから直接エクスポートしたこのクロマトグラムは、異なる検出器テクニックを追加する重要性を浮き彫りにしています。UV レスポンスでは、2-アミノフェノールと 3-アミノフェノールのきわめて小さい 2 つのピークしか示されていません。このトレースだけを記録したら、サンプルに含まれる成分のいくつかは無駄に失われてしまいます。また、ピーク高の違いは、実際は等量で存在する 2 つのアミノフェノール異性体の UV レスポンスが大きく異なることを示しています。

1 分、3 分、5 分において ELSD で検出されたその他の 3 つのピークは、それぞれ β-カロテン、α-トコフェロール、δ-トコフェロールに対応しています。UV トレースと同様、ELSD レスポンスがフラクションコレクションのトリガーとなっています。そのため、これによりすべての成分が分離されたことになります。その結果、感度が大幅に向上し、ベースラインノイズが減少しています。

貴重なサンプルを見失わない

ELSD と UV 検出器の組み合わせは、UV 発色団を持たない化合物のフラッシュ精製においてパワフルなテクニックとなります。Agilent 971-FP フラッシュ精製システムは、UV レスポンスと ELSD レスポンスの両方を同時にモニタリングし、化合物の UV 可視度の低さに起因する貴重なサンプルのロスを防ぎます。971-FP の詳細については、Access Agilent 4 月号の「クリック 6 回で生成物を精製――新しい Agilent フラッシュ精製クロマトグラフィシステム」をご覧ください。

創薬分野の研究をしていて、薬剤を精製する簡単な方法を求めている方は、フラッシュ精製蒸発光散乱検出の詳細をご覧ください。