Access Agilent 2011年5月号

GPC/SEC による歯科用ポリマー不良品の特定

Greg Saunders、Ben MacCreath
アジレントGPC 製品マネージャ

ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体は、義歯用生体接着材料、歯磨き中に歯磨き粉の活性を保つための添加物などの幅広い歯科アプリケーションで使用されています。共重合体システムのバッチ間変動は歯科アプリケーションの性能に悪影響を与えるため、一貫性を確認するための信頼性の高いテクニックが重要となります。

この研究では、サイズ排除クロマトグラフィ (SEC) により、市販共重合体の 2 つのバッチを分析しました。一方のバッチは適切に製剤されたもので、他方のバッチは不良品です。

適切なテクニック: 水系 SEC

水系 SEC は、イオン効果や疎水性効果を除去する必要があるため、困難の伴うテクニックです。しかし、水溶性の合成および天然ポリマーの分子量分布の測定や、オリゴマーおよび小分子分離においては、有効な手法として広く利用されています。

この分析では、PL-GPC 50 機器と 2 つの PL aquagel-OH カラムで構成される Agilent SEC システムを使用しました。ここで使用したカラムは、化学的および物理的に安定性の高いマトリックスにより、信頼性の高い水系 SEC 分離を実現します。

適切なカラムおよびキャリブレーション標準

この研究では、2 つの Agilent PL aquagel-OH MIXED-H 8 µm カラムを選択しました。これらのカラムが広い分子量において、優れた汎用性と分離能 (PEG/PEOに対して最高 10,000,000) を備えているためです。カラムキャリブレーションには、Agilent EasiVial PEG/PEO 標準を使用しました。この標準を使えば、広い分子量範囲 (このケースでは 106~1,200,000 g/mol) において、水系 SEC カラムの検量線を迅速かつ簡単に得られます。

分析には、統合型の Agilent PL-GPC 50 システムを選択しました。これは、高い分離能と優れたコスト効率を備え、室温から 50 °C までの動作に適した設計になっているためです。スタンダードモデルは、高精度溶媒送液システム、マニュアル注入バルブ、高性能示差屈折率検出器、カラムオーブンで構成されています。

サンプル: 中性 pH 硝酸ナトリウムバッファ中の 2 つの歯科用ポリマーサンプル
キャリブラント: EasiVial PEG/PEO (部品番号 PL2080-0200)
カラム: 2 x PL aquagel-OH MIXED-H 8 µm、300 x 7.5 mm (部品番号 PL1149-6800)
溶媒: 0.2 M NaNO3 + 0.01 M NaH2PO4、pH 7
流速: 1.0 mL/min
検出: Agilent PL-¬GPC 50 (DRI)

キャリブレーションとキャラクタライゼーション

図 1. Agilent EasiVial 標準による Agilent PL aquagel-OH MIXED-H 8 µm カラムの PEG/PEO キャリブレーション

図からもわかるように、EasiVial PEG/PEO 検量線は、カラムの動作範囲全体で優れた直線性を示しています。

図 2. Agilent GPC/SEC システムで分析した 2 つの歯科用ポリマーの未加工データのクロマトグラム

この未加工データの重ね表示図により、2 つのバッチ間で分子量と分子量分布に大きな違いがあることが確認できます。

図 3. 2 つの歯科用ポリマーの分子量分布の重ね表示は、2 つの違いを示しています。
ポリマー Mp Mn Mw 多分散性 結果
A 169,330 100,070 258,200 2.6 合格
B 124,100 69,550 152,060 2.2 失格

表 1. 2 つの歯科用ポリマーの Mp、Mw、Mn、多分散性の数値

図 3 に分子量分布プロット、表 1 に分子量平均と多分散性の数値を示しています。これらはいずれも、2 つのバッチの違いを明確に示しています。したがって、バッチ B が予想通りに機能しないのは当然のことです。

まとめ:
ポリマー品質管理におけるシステムの有効性の確認

PL-GPC 50 システムと PL aquagel¬-OH MIXED 8 µm カラムを組み合わせたサイズ排除クロマトグラフィを使えば、歯科用ポリマーの良品バッチと不良品バッチを高い信頼性で識別できます。

この研究では、ポリマー分子量および分子量分布のキャラクタライゼーションにおいて、ゲル浸透クロマトグラフィ (GPC)/サイズ排除クロマトグラフィ (SEC) が信頼性の高い高速テクニックとなることも示されています。

GPC/SEC に対応する研究、品質管理、
プロセスモニタリングの優れたツール

アジレントは、自動化されたハイスループット機能、直観的なコントロール、内蔵セイフティ機能を備え、優れた精度、再現性、信頼性を実現する幅広い GPC/SEC 機器およびシステムを製造しています。

たとえば、モジュール構成の統合型 GPC/SEC 機器は、簡単な室温分析 (Agilent PL-GPC 50) からポリマーを合成する高温分析 (Agilent PL-GPC 220) まで、幅広いアプリケーションに対応しています。また、汎用性の高い Agilent 390-MDS マルチ検出器スイートは、最大 3 つの検出器モジュールを任意の組み合わせで連結できるので、あらゆるタイプの GPC に対応できます。

GPC/SEC による簡単なポリマーキャラクタライゼーションの詳細については、アジレントの製品ページをご覧ください。「ゲル浸透クロマトグラフィおよびサイズ排除クロマトグラフィの紹介 (An Introduction to Gel Permeation Chromatography and Size Exclusion Chromatography)」をダウンロードすれば、GPC/SEC の簡単な紹介をご覧いただけます。