Access Agilent 2009年9月号

創薬の加速化:堅牢で柔軟性のある高速な自動化システムを実現するための新しいロボット

Marc Beban
Director, Integrated Systems and Software Marketing, Agilent Automation Solutions

今日の製薬会社は、開発パイプラインに高い品質 (活性、選択性、使用可能性、安全性) をもたらすという課題に取り組んでいます。薬物開発サイクルの中心には、研究者が化学的または生物学的材料のエフェクタのパネルに対して対象物をテストするハイスループットスクリーニング (HTS) があります。HTS を行うことにより、数十万から数百万の潜在的な候補を含むライブラリから優位な候補を迅速に識別できます。HTS では自動化が非常に重要であるため、アジレントはライフサイエンスラボ用のロボットを設計しました。これは、精度、信頼性、および安全性に優れた高速なロボットです。

図 1. Agilent Direct Drive Robot は、より高速で信頼性が高く、ボタンに触れるだけでティーチングが可能です。

HTS における自動化ニーズの増加

HTS ワークフローの中心は、マイクロタイタープレートの前処理とアッセイスクリーニングの実行を管理する自動化システムです。増加するスクリーン数をサポートするために、自動化システムでは次の点が重要視されます。

  • 最適化されたスループット : スピード、精度、および正確なタイミングのバランス
  • 堅牢性と信頼性 : 一般に「無人運転時間」と呼ばれます
  • スクリーニングアッセイのニーズの変化に合わせて調整するための柔軟性

自動化システム (HTS に上記の利点をもたらすテクノロジー) では、ロボットの性能が最も重要になります。

ラボのパフォーマンスを向上させるために設計されたロボット

ラボで見られるほとんどのロボットアームは、ベルトおよびギア駆動テクノロジを使用します。これは、荷重の大きいものを危険な環境下で操作することが意図されている工業環境から生まれたものです。荷重が 100 ポンド単位ではなく 100 グラム単位で測定される HTS では、この能力は過剰です。ベルトおよびギア駆動のロボットアームには、磨耗が発生し、高い慣性がかかり、バックラッシュを受けやすく、位置再現性が制限されている可動部品が数多くあります。これらすべての要因によって、メンテナンスの作業量が増え、自動化システムが持つスループット、堅牢性、および柔軟性という利点が低減します。

スクリーニングラボのニーズに応えるために、Agilent 自動化ソリューション は、HTS 環境で動作するように設計された新しいロボットを開発しました。図1 にある Agilent Direct Drive Robot (DDR) は、最新のダイレクトドライブテクノロジを使用して、パフォーマンスと信頼性を向上させます。ダイレクトドライブアームでは、ベルトとギアの代わりに接合部内部の電子モーターを使用して動力が供給されます (図 2)。

図 2. ダイレクトドライブシステムは、モーターを接合部の内部に配置して、精度、スピード、および信頼性を向上させます。
図 3. 高度なソフトウェアにより、ロボットアームの動作を編集および調整して、新しい機器を自動化システムに迅速に統合できるようにします。(画像を拡大するにはここをクリックします)

ダイレクトドライブテクノロジーには、ベルトおよびギアのシステムよりも多くの利点があります。第 1 に、可動部品が少ないため、効率と信頼性が向上します。可動部品が少ないことは、摩滅が減ることを意味するため、ダイレクトドライブデバイスの寿命が延び、故障の頻度が低くなります。したがって、ダイレクトドライブロボットが組み込まれたシステムは、総コストが低くなります。さらに、ダイレクトドライブアームではノイズと振動が減少します。

第 2 に、ダイレクトドライブテクノロジーでは、より高速で再現性が高く、精度の高いポジショニングが可能です。堅牢な DDR は、高解像度光学式エンコーダ (各接合部で 500,000 カウント/回転、および Z 軸で 1,000,000 カウント/メートル) を使用することで、再現性をさらに高めます。ダイレクトドライブロボットが組み込まれたシステムは、再ティーチングに要するダウンタイムが少なくなります。

第 3 に、ダイレクトドライブテクノロジーによって DDR はより安全なロボットになります。ギア駆動のデバイスと比較して、慣性は最大 2500 倍低くなります。ダイレクトドライブテクノロジーは、科学者と技術者が毎日のように HTS システムを操作するラボ環境で使用するのに理想的です。スクリーニングプラットフォームのティーチング、構成、変更がはるかに安全になります。

アッセイをセットアップする時間と人員の最小化

テクノロジー自体からもたらされる利点に加えて、その他の機能によっても DDR は HTS システムに対して理想的になります。最も重要な機能は、システム上の位置をティーチングするための「ワンパーソンワンタッチティーチング」機能です。ロボットがティーチングモードに入ったら、ティーチポイントに手動で位置設定し、1 人のオペレータがエンドエフェクタのボタンを押すことでティーチングできます。グラフィカルロボットソフトウェアインターフェース (図 3) と組み合わせることで、システムを起動して稼働させること、またスクリーン変更時に再構成することが簡単になります。その他にも、このロボットには、滑らかな動作、クラス最高のパスプランニング、すべての接合部での無限回転といった特長があり、スループットを最大化することができます。

信頼性のあるテクノロジーと考え抜かれた設計により、DDR は、製薬会社における薬物探索をより迅速に高めるために役立つロボットになっています。DDR の詳細とエキサイティングなビデオを参照するには、DDR 製品ページにアクセスしてください。