ケーススタディ : 癌の低侵襲的検査 - Stephen Pennington博士

Stephen R. Pennington, Ph.D.

Professor of Proteomics
School of Medicine and Medical Science
Conway Institute, University College Dublin
Dublin, Ireland

癌の低侵襲的検査を研究する人々を支援する
アジレントのソリューション

Stephen Pennington 氏の研究姿勢は、結果から遡るというものです。

Pennington 氏と共同研究者は、ダブリンの Conway Institute で、多くの疾患、特に前立腺癌について研究してきました。

Pennington 氏は次のように述べています。「我々にとって重要なのは、プロセスの最後から遡って、患者にとって望ましい検査方法を明らかにすることです。」

このため Pennington 氏のチームは、泌尿器科や分子腫瘍専門医が前立腺癌患者を治療する際に必要となりうる決定事項をマッピングしました。その結果、重要な情報が不足しているために、それらの決定を下すのが困難であることが判明したのです。

「不足情報を提供できる検査は臨床にも適した検査であり、それが我々の研究の目標です。」

前立腺癌についてチームが学んだのは、臨床上重要な 2 つの疑問があるということです。

「1 つは、この疾患が重篤であるかどうかを明確にするということです。つまり、患者がこの疾患で亡くなる可能性があるかどうかということです。前立腺癌の多くの患者の死因は、その癌自体ではありません。何か別の原因で亡くなっているのです。」と Pennington 氏は述べています。

その意味で、疾患が重篤であるならば、次の問題はその進行程度です。

「癌が前立腺以外に転移しているかどうかを把握する必要があります。」と Pennington 氏は述べています。転移している場合、前立腺を切除しても治療効果はあまりありません。ただし癌が前立腺内に留まっている場合、前立腺の切除は効果的です。」

つまり、癌が前立腺内に留まっているかどうかを明確にすることが、情報として非常に重要です。

医師の意見によって、情報の不適切な取得方法についても明確になりました。

「組織生検が適切でないことは、すぐに明確にわかりました。」と Pennington 氏は述べています。

前立腺癌は組織内で非常に不均一なものであり、前立腺の生検を行っても、実際にサンプリングすることはできません。手術によって生検の結果が正しくないことが判明する確率は約 25~30 % です。

「前立腺組織を用いる実験で、臨床上有用なマーカーを同定できないということはすぐにわかりました。組織に基づくどのテストでも、同じ問題が発生する可能性が高いためです。」と Pennington 氏は述べています。

つまり、控えめに言っても生検は望ましいものではありません。また、必ず感染や出血のリスクがあります。

「マーカー研究に対する我々のアプローチによって、代わりのテスト方法の開発戦略を立てることができました。それは血液ベースのテストです。このテストは非侵襲的であるため最適な方法です。また、このテストは血液検査と同様に簡単に繰り返し行うことができます。」

「我々の方法を使うと、潜在的に重要でありながら微量の SPL の複数のグループを簡単かつ明確に特定することができます。通常これらの SPL は同位体や異性体によって隠されているため、大部分は見落とされています。」

「血液検査の開発における主要な課題は、血清内に存在するタンパク質の幅広いダイナミックレンジを把握し、そのダイナミックレンジを処理できる分析方法を持つことです。非常に堅牢で再現可能なデータを得ることができるアジレントのパートナーラボの設立は、重要な段階でした。」と Pennington 氏は述べています。

「我々はタンパク質のパネルを同定し、MRM (マルチプルリアクションモニタリング) 分析法を開発しました。次に、臓器限定的な疾患かもしくは臓器外であるかを、このパネルで識別できるかどうかを評価しました (バリデーションという用語はこの場合は強すぎるので使用しません)。この評価を、ランダムかつ盲検的に 2 つの患者群を対象に行いました。」

Pennington 氏はいつもの控えめな調子で、パネルはある程度の有用性があると述べています(つまり、このパネルが必要な血液検査の基礎となりうるということです)。

Pennington 氏のチームは現在、約 900 名の患者群のサンプルを使って、パネルをバリデーションするための資金を確保しようとしています。

「すべて順調です。臨床医も患者も、さらに重要な情報を利用できるようになるでしょう。」

関連情報

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