キャピラリ・フロー・テクノロジーの詳細

  1. バックフラッシュ : パージライン付のデバイスでバックフラッシュが可能
  2. パージ付スプリッタ (G3180B) : 不活性でリークフリーのカラムフロースプリッタ。高温対応
  3. Deansスイッチ (G2855B) : 2本目のカラムへのハートカットを実現。複雑なサンプルの分析に
  4. GC x GC フローモジュレータ : 包括的二次元ガスクロマトグラフィー
  5. パージなしスプリッタ (G3181B) : 不活性でリークフリーのカラムフロースプリッタ。高温対応(MSD 以外の検出器使用時などパージ不要の場合用。バックフラッシュ不可)
  6. パージ式 3ウェイスプリッタ (G3183B) : カラムフローを 3つの検出器に分岐する、不活性でリークフリーの高温対応スプリッタ
  7. CPM コネクタ (G3182-61580) : 不活性でリークフリーのカラム接続用。高温対応
  8. CPM-1/16 インチコネクタ (G1580-61060) : バルブ等への配管への不活性かつリークフリーの接続

1.バックフラッシュ用 キャピラリ・フロー・デバイス アクセサリ

GC および GC/MS 分析では、溶出の遅い化合物や複雑なマトリクスを含むサンプルを扱うことが多くあります。このような分析では、早い時間に溶出するピークの検出と定量を目的とすることが多く、次の分析を開始する前に、高沸点化合物を排出するためにさらに高い温度と長い分析時間が必要になります。アジレントは、キャピラリ・フロー・テクノロジーによって、効率的なバックフラッシュを実現します。最後の測定対象化合物が溶出した直後にカラム内のガス流を逆流させるバックフラッシュを使用すると、分析品質の向上、時間の短縮、コストの削減を実現することができます。この手法により、長く保持されるサンプル成分を溶出するための長い空焼き時間と高い温度が不要になります。このような成分をカラムの逆方向に流し、スプリットベントから排出することで、キャリーオーバー、カラムの汚れ、リテンションタイムの変化、MSD (質量検出器) イオンソースの汚染を防止できます。

バックフラッシュの利点

  • 分析対象物のピーク溶出後に高沸点化合物をカラムから除去することで、分析時間が短縮されます - 以下の図1 および 2参照
  • 以下の理由によりカラム寿命が向上します:
    • 昇温時の最高温度を低減&高温下での時間を削減
    • 高沸点化合物の除去
    • 高温下での空気や水の悪影響からカラムを保護
  • 化学的なバックグラウンドを低く抑えることで、以下を回避できます:
    • 「ゴースト」ピーク
    • 前回分析から遅れて溶出する化合物による「再分析」
    • 固定相の高温劣化によるピーク
  • MSDイオンソースの汚染を抑えることで、以下のような利点が得られます:
    • ソースのクリーニング頻度が少なくなります。
    • 較正の安定性が高まります。

カラムバックフラッシュの例


図1:バックフラッシュなしの分析。網かけ部分に、不要な高沸点化合物のピークが現れています。


図2:バックフラッシュ後- 高分子量のマトリックスを除去することにより、
全体の GC 分析時間とサイクル時間を大幅に削減できます。
この例では、4.52分にバックフラッシュを開始しています。

上のクロマトグラムは、分子量 C44 までの分析結果を表しています。バックフラッシュされた物質は、カラムを逆流してスプリットベントへ運ばれ、スプリットベントトラップで捕捉されます。汚染物もこの方法で除去されるので、分析カラム全体やイオン源の汚染を防ぐことができます。

 

2.キャピラリ・フロー・テクノロジー パージ付カラムスプリッタ

カラムスプリッタは、G3180B のアクセサリ、および 6890N 、7890A GC のオプション #889 としてご利用いただけます。

キャピラリ・フロー・スプリッタでは、Deans スイッチと同じ拡散結合プレート技術が使用されています。この技術により、不活性で、使いやすく、かつリークフリーの高温カラムスプリッタを実現しています。このスプリッタでは、圧力を一定に保つために、パージ用EPC が補助的に使われています(6890N、7890A オプション 301)。この EPC の圧力制御により、バックフラッシュも利用可能です。EPCで分析終了間際のスプリッタ圧力を高く設定すると同時に、注入口圧力を大気圧近くにまで下げることができます。その結果、カラムフローが逆流し、高沸点物質が注入口のスプリットベントから排出されます。また、この EPC が、カラムの交換やメンテナンス時に、MSD などの検出器のベントをする必要性を削減します。 (詳しくはご注文の詳細をご覧ください)

 

3.キャピラリ・フロー・テクノロジー Deans スイッチ

Deans スイッチは、G2855B のアクセサリ、および 6890N、7890A GC のオプション #888 としてご利用いただけます。

複雑なサンプルマトリックスでは、多数の化合物がオーバーラップして、目的の化合物が分離できないことが多々あります。このような場合には選択性を高める必要がありますが、選択型検出器の使用やサンプルの調整は、現実的ではなかったり、費用がかかりすぎたりすることがあります。

Deans スイッチ(G2855B)を使用したハートカッティング機能では、簡単で迅速、かつ正確な2次元(2-D)GC分析が可能です。この機能では、カラム中の目的成分のピーク付近の画分のみが、固定相の異なる別のカラムに「ハートカット」されます。そのため、第1のカラムで目的成分と共溶出する可能性のある化合物でも、第2のカラムで目的成分から分離可能です(下図参照)。

キャピラリ・フロー・デバイスの圧力は EPC で一定に制御されているので、ハートカット時に流路切り替えをおこなっても、カラム 1 の出口圧およびカラム 2 の入口圧は同じ圧力に制御されます。したがって、ハートカットの有/無によるリテンションタイムのシフトは本質的になく、メソッド開発やハートカットメソッドへの移行は非常に簡単です。さらに独自のリテンションタイムロッキングも適用可能なため、一段上のレベルの驚異的なリテンションタイム再現性を得ることが可能です。

この操作およびバックフラッシュに必要なものは、アジレントの Deans スイッチキット(部品番号 G2855B:ハードウェアとフロー計算ソフトウェアを含む)、EPC を搭載した Agilent 6890 または 7890A GC、ニューマティックコントロールモジュール(PCM) または Aux EPC(6890N、7890A オプション 309 を推奨)、カラム2本、検出器2台です。(詳しくはご注文の詳細をご覧ください)

 

4.キャピラリ・フロー・テクノロジー GC x GC フローモジュレータ

キャピラリ・フロー・テクノロジーの GC x GC フローモジュレータ

包括的二次元ガスクロマトグラフィーは “GC x GC” ともよばれ、石油化学や香料、環境のような複雑な混合物分析の分野で近年注目されているパワフルな分離テクニックです。 GC x GC では、従来の GC に比べピーク数が飛躍的に増加します。通常のシングルカラムでの分離と比較して、GC x GC ではピークの分離能とピークキャパシティは桁違いに高く、詳細なサンプル分析が可能です。GC x GC 分析の利点は:

  • サンプルの構成をビジュアル化
  • グループタイプ別分析に対して非常にパワフルなテクニック
  • サンプルのパターン分析
  • スクリーニング

アジレントの GC x GC フローモジュレータは冷媒を必要とせず、最新のテクニックを身近で実用的なものとしました。

GC x GC フローモジュレータはアクセサリ (G3486A)、もしくは製品オプション (G3440A #887) として 7890A GC に搭載可能です (詳しくはご注文の詳細をご覧ください)。

 

5. パージなしカラムスプリッタ

このスプリッタは、6890N および 7890A GC のアクセサリ(部品番号 G3181B)としてご利用いただけます。

MSD を含まない従来型の GC 検出器 2台にスプリットするケースなど、メイクアップガスが必要ない場合のカラムフローの分岐に適しています(バックフラッシュは利用できません)。

 

6. パージ付 3ウェイスプリッタ

パージ付 3ウェイスプリッタは、6890N、7890A GC のアクセサリ(部品番号G3183B)およびオプション(#890)としてご利用いただけます。

究極の高沸物分離技術といえるパージ付 3ウェイスプリッタでは、他のキャピラリ・フロー・テクノロジーのデバイスと同じ拡散結合プレートが使われています。このスプリッタでは、パージ用 EPC を用いてメイクアップガス圧力を調節します(6890N、7890A オプション309または301)。EPC でのパージよりバックフラッシュも可能で、2方向のパージ付スプリッタと同様の利点がありますが、それに加えて、3つの異なる検出器にカラムフローを分岐することができます。 (詳しくはご注文詳細をご覧ください)

 

7.CPM ユニットキット

CPM ユニットは、Agilent 6890、および 7890A ガスクロマトグラフのアクセサリ(部品番号G3182-61580)としてご利用いただけます。

CPM は、不活性でリークフリーの高温カラム接続を可能にします。リテンションギャップを利用したり、2つのカラムを組み合わせて長いカラムを作ったりする場合に最適です。

 

8.CPM-1/16 インチ SS結合キット

CPM-1/16 インチ SS結合キットは、Agilent 6890N および 7890A ガスクロマトグラフのアクセサリ(部品番号G1580-61060)としてご利用いただけます。

CPM-1-16 インチ SS結合キットは、他のキャピラリ・フロー・デバイスと同様の高性能に加えて、片方の結合末端に 1/16 インチの不活性ステンレススチール(SS)チューブを備えています。ガスまたは液体バルブなど、SS配管を必要とする処理装置の接続に最適です。

 

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