アジレント HRM ソリューション - 詳細と特長

 

アジレントの HRM マスターミックス試薬と AriaMx リアルタイム PCR システムを用いることで、検出が困難と言われている Class IV SNP (T>A)、Rs9939609 FTO を検出することに成功しました。また、他社のリアルタイム PCR システムにおいてもアジレント HRM 試薬を用いて HRM 解析が可能です。

この SNP があるアンプリコンは 142 bp で、ホモザイゴートの Tm 差はわずか 0.13℃ です。この SNP はヒトの肥満に関係しており、リスクアリル(A)はおよそ 50% の人に少なくとも 1コピー存在することが知られています。

 Brilliant HRM Ultra-Fast Loci Master Mix の性能比較

図1 は、この SNP Rs9939609 (FTO) について同一条件下、3種の異なるリアルタイムPCRシステムで得られた結果を示します。解析は各システム付属のソフトウェアで行っています。解像度に多少の差は認められるものの、全てのシステムでこの検出困難な SNP を明確に検出することができました。

 
図1.3種の異なるリアルタイム PCR システムで Brilliant HRM Master Mix を用いた SNP Rs9939609 (FTO) の HRM 解析を実施。
パネルA : Agilent社 AriaMx リアルタイム PCR システムでの SNP 検出。
パネルB : B社システムでの SNP 検出。
パネルC : C社システムでの SNP 検出。
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アッセイ時間のシステム間比較

図2 は Brilliant HRM Ultra-Fast Loci Master Mix を用いて同一条件で HRM 解析を行った際の各システムで要する時間の比較を示します。アクティベーションタイムは同一のマスターミックスを用いているので 3つのシステムで同じ時間が必要です。この時間差は、システム間における蛍光検出速度と温度制御速度の違いによります。

 
図2. アジレント社 AriaMxリアルタイム PCR システムでは他社システムに比べて 20% の時間を削減。このグラフでは、3つのシステムでのBrilliant HRM Ultra-Fast Loci Master Mix (UFL) を用いた Class IV SNP Rs9939609 FTO の識別に必要な時間を示しています。このアッセイでは、ホットスタート、40 サイクルの増幅ステップ、および高解像度融解曲線解析を行っています。(A: AriaMx、B: 他社B、C:他社C)。
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凍結融解を繰り返した後の安定性

Brilliant HRM Ultra-Fast Loci Master Mix の安定性についてテストを行いました。このマスターミックス試薬は Brilliant マスターミックスシリーズを改良した製品です。このテストでは11回の凍結融解を繰り返しています。図3 と表1 には、新品のマスターミックスと 11回凍結融解を繰り返したマスターミックスで Class IV SNP の検出を検出した時の結果を示しています。融解温度 (Tm) は、凍結融解をしていない新品のマスターミックスの結果と一致しています。この結果は、他社の HRM マスターミックス試薬と異なり Brilliant HRM Master Mix は凍結融解を行っても安心してご利用いただけることを示しています。

 
図3.Brilliant HRM Ultra-Fast Loci Master Mix は 11回の凍結融解を繰り返しても新品同様、安心してご利用いただけることを示しています。
表1.11回の凍結融解後の安定性
Well Type Target △R Last Cq (△R) Tm Product 1 (A) △Cq Range (+/- 1Cq) Tm (A-B)
(Between 0.1-0.16)
Homozygous Allele A Control 7217.87 20.97 78.83 0.03 0.11
Homozygous Allele A 11 F/T 7242.77 20.81 78.83   0.13

保存期間

Brilliant HRM Master Mix の保存安定性についても同様にテストしています。4℃ 保存で 4か月、-20℃ 保存で 12か月保存後も新品と同様のパフォーマンスを示すことを確認しています。

凍結融解を繰り返した後も安定していますので、Brilliant HRM Master Mix をお好みのバッチサイズに小分けして保存しておくことが可能です。お得なバルクで購入しても小分けして保存し、安心してご利用いただけます。

 
 HRMトータルソリューションの比較

アジレントは Brilliant HRM Master Mix に加え、AriaMx リアルタイム PCR システム、ユニークな HRM 解析ソフトウェア (標準装備) でHRM 解析をサポートいたします。まずは 3社のリアルタイム PCR システムを用い、同じ HRM 解析の実施に要する時間を比較しました。実施要領は各社の推奨プロトコールで実施しています。 

HRM 解析に要する時間

アジレントの HRM トータルソリューション (Brilliant HRM Master Mix、AriaMx リアルタイム PCR システム、および解析ソフトウェア) は、高速マスターミックス試薬、最適な蛍光検出、優れた解析ソフトウェアを提供します。
前述の解析困難なジェノタイピングを実施したところ、アッセイ時間が大幅に短縮されました (図4)。最も時間を要したのは C社のシステムと試薬を用いた 185分です。一方アジレントの HRM トータルソリューションでは、たったの 69分で同じ結果を得ることができます。

アジレントの HRM トータルソリューションは、極めて検出困難なジェノタイプでも優れたパフォーマンスで短時間に信頼性の高い結果を得ることができます。

 
図4.アジレントの HRM トータルソリューションでは他社と比べて 30% の時間を削減
ここに示すグラフでは Class IV SNP Rs9939609 FTO の検出で、アジレントの HRM トータルソリューションが他社に比べて短時間で信頼性の高い結果が得られていることを示しています。
A:アジレント社 AriaMx リアルタイム PCR システムと Brilliant HRM Ultra-Fast Loci Master Mix。B:B社システムと B社 HRM マスターミックス。C:C社システムと C社 HRM マスターミックス試薬)
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AriaMx の HRM ソフトウェア

AriaMx の HRM ソフトウェアは、融解曲線における最大の Tm ピーク値を補正できる独自のアルゴリズムを持つので、アジレントの HRM トータルソリューションをさらに高速に、そしてさらに高い正確性を提供します。他社のプラットフォームでは単に検出された最大のピークを示すだけなので、同等の結果を得るためには AriaMx よりも多くのスキャンを行う必要があります。

AriaMx ソフトウェアには最新の HRM 解析ソフトウェアが標準装備 (無償) されています。直感的なソフトウェア構成で、プレートセットアップ、解析やレポート機能にも他社のソフトウェアにない利点があります (表2)。

表2.HRM解析ソフトウェアの比較