Sequence Capture法によるターゲットゲノムシーケンス

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Sequence Capture法によるターゲットゲノムシーケンス


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東京大学先端科学技術研究センター
油谷浩幸

 次世代シーケンサーの登場により、個人レベルでの全ゲノムシーケンスが現実のものとなり、ゲノム解析の新たなアプローチとなりつつある。ヒトゲノムを網羅的に解読するプロジェクトとしては、1000人ゲノムプロジェクトや国際癌ゲノムコンソーシアム(ICGC)などがすでに開始されている。癌細胞のゲノムには1塩基レベルでの変異から染色体レベルでの構造変異まで多様な変異が存在することが知られているが、次世代シーケンサーではこうした変異の網羅的な探索が可能となり、minor variationが関連する予後、易罹患性や薬剤感受性の個人差の解明や、新たな治療標的分子の同定、症例の層別化につながることが期待されている。

 しかしながら、塩基レベルでの変異を精度よく同定するためには高カバレッジ(30〜40X)での配列データが必要であり、全ゲノム領域をターゲットとした場合には、次世代シーケンサーを用いても現時点ではかなりの時間とコストがかかる解析となってしまう。mRNAの翻訳領域の総和は32Mb余りであり、ほぼ全ゲノム配列の1%強であることからexome解析が注目されている。当初はエクソンそれぞれをPCR増幅し、配列解析した報告があるが、極めてコスト及び手間がかかることが欠点であった。
Sequence Capture法は特定領域のゲノムDNAを濃縮してシーケンス解析をする手法であり、任意のオリゴ配列を合成できるカスタムマイクロアレイの技術を用いることで、ゲノム上の任意の場所をターゲットとすることが可能となった。この技術を用いてあらかじめ選択した遺伝子のエクソン領域を含むDNA断片を濃縮し、Illumina GAIIによるシーケンス解析を行ったところ、得られた配列情報の60%以上はターゲット領域に由来し、ターゲット領域での高カバレッジの配列情報が得られた。この手法を用いて癌細胞のゲノムと正常細胞のゲノムを比較したところ、個々の癌に多数の変異が存在することが示唆された。

 Sequence Capture法と次世代シーケンサーを組み合わせたターゲットゲノムシーケンスは、Mb領域にわたる配列解析を短時間で可能にし、多数検体のゲノム変異探索の強力なツールとなると期待される。


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