日本癌学会 ランチョンセミナーご案内


第67回日本癌学会学術総会ランチョンセミナー開催

日時 :
10月28日(火) 12:30~13:15
会場 :
第67回日本癌学会学術総会第14会場
(名古屋国際会議場 2号館 1階 212号室)
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(※アジレント外部のサイトです)
演題1 (概要はこちら
【タイトル】
がんにおけるDNAメチル化とRNA干渉システムの隠された関係を解く
"Unveil the relationship between DNA methylation and RNA interferece in cancer"
【演者】
札幌医科大学
生化学講座教授 豊田 実先生

演題2 (概要はこちら

【タイトル】
アジレントDNAマイクロアレイの新製品ラインアップと
次世代シーケンサのための革新的オリゴライブリキット
【演者】
アジレント・テクノロジー株式会社
シニアアプリケーションコンサルタント  田谷 敏貴
● 演題1 概要

がんにおけるDNAメチル化とRNA干渉システムの隠された関係を解く

 近年、発生・分化において fine regulator と考えられているマイクロRNA (miRNA) の中に、免疫異常・心臓病・感染症といった病態を反映する特定の miRNA があることが分かってきた。癌においても例外ではなく、miR-21 を始めとする癌誘導型の miRNA の報告が相次ぐ一方、let-7 のような癌遺伝子の発現を負に制御する癌抑制型の miRNA の報告がある。
 一方、癌の発生と進展には、癌抑制遺伝子やプロト癌遺伝子の発現を調節するエピジェネティックな異常の蓄積が関与すると考えられ、例えばプロモータ領域のDNAメチル化による遺伝子サイレンシングが重要な役割を果たすことが示されてきた。miRNA による異常調節は未だ十分に理解されていないが、既にエピジェネティックな機構が関与している幾つかの証拠がある。
 我々は、大腸がん細胞株 (HCT116) を用い、脱メチル化処理またはメチル化酵素ノックアウト細胞との比較実験を行い、大腸がんで p53 の標的である miR-34b/c の CpGアイランドが異常メチル化していることを見つけた。大腸がん臨床例 126例を調べたところ、その 90% でメチル化していた。miR-34b/cのプロモータCpGアイランドは BTG4 (B-cell translocation gene 4) 遺伝子のプロモータ領域でもあり、二方向性でこれら両方の転写産物の発現を抑制していることが分かった。miR-34b/c を過剰発現させた細胞と脱メチル化状態の細胞で、マイクロアレイの発現プロファイルを比較解析し、他の miRNA の関与を検討した。
 さらに我々は、Johns Hopkins 大学との共同研究により、miRNA のプロセシング酵素である DICERの ヘリカーゼドメインをノックアウトした HCT116細胞を用いて、マイクロアレイの発現パターンを親細胞と比較した。その結果、エピジェネティックにサイレンスされた一連の遺伝子の発現が、DICER の欠如によって再活性化されることを見出した。この再活性化は局所的なプロモータの DNA低メチル化と関係しており、成熟 miRNA の生成に関わる酵素DICERが、癌における選択的な DNA の高メチル化の維持に必要であることを示している。
 わたしたちは、慢性胃炎や炎症性腸疾患など炎症を介した発癌においても、プロモータ領域辺縁の異常メチル化が発癌リスクに有用であるとの観点から研究を進めている。本セミナーでは、このような DNAメチル化における RNA 干渉システムの役割について、最新の知見を交えて報告する。

● 演題2 概要

アジレントDNAマイクロアレイの新製品ラインアップと
次世代シーケンサのための革新的オリゴライブリキット

 今、アジレントでは、最新のインクジェット技術を用いたマイクロアレイの製造法に改良を加え、さらに高密度なマイクロアレイ (新1Mフォーマット;CGH) をより使いやすい価格にて提供する準備を進めています。さらに、最適化の過程で得られた高品質のオリゴ合成技術を使って、数万種類のオリゴライブラリを一度に低価格で合成する新しい技術も開発しました。この技術は次世代シーケンサをより活用するための画期的な手法として高い期待が寄せられています。
 本セミナーでは、このアジレントの新マイクロアレイフォーマット (SurePrint)、新型スキャナ (SureScan) に加え、次世代シーケンサのスループットを飛躍的に向上させる新しいシーケンスキャプチャ技術 (SureSelect) を中心としたアジレントの新しいゲノミクス・エピゲノミクス関連解析ツールを御紹介します。