LTM シリーズ Ⅱの詳細

Agilent 7890 GC用の Agilent LTM 高速加熱/冷却システム
Agilent LTM システムは、Agilent 7890 シリーズ GC用のオーブンドアを、エレクトロニクスおよびカラムモジュール用のスロットを備えた専用のものに交換することで構成されています。スロットは、1~4 つの GC カラムモジュールを挿入するためのもので、それぞれ別々に温度を設定することができます。本来の GC オーブンが一定温度で動作している間に、周囲の空気中で迅速な加熱および冷却が行えるように、モジュールはドアの外側に飛び出しています。既存のインジェクタ、検出器、バルブ、他のモジュールなどとの接続は、本来の GC オーブン内で不活性チューブ(液相のないキャピラリカラム)にて行われます。この柔軟性の高い仕組みによって、オーブンの配置とは無関係に、検出器、バルブ、および他のモジュールへの接続が可能になります。既存のインジェクタや検出器はそのまま使用できます。また、LTMドアを取り外すことなく、以前のようにGCを使用することもできます。
LTM シリーズ Ⅱ は、OpenLAB CDS、MassHunter または、GC 本体キーボードより制御することが可能です。
高速GCシステムはGCのリモートコネクタに接続されます。これにより、ハードウェアおよびソフトウェアの運転が同期されます。内蔵のコントローラには、最高10の異なる温度設定が保存できます。それぞれに8段までの昇温プログラムが可能です。最高で4つの温度設定を組み合わせて、同時に分析することができます。キーパッド設定では操作性を重視し、最小限のメニューを備えたシンプルな「typeover」エディタを使用します。Gerstel社から現在、Agilent GCを搭載したLTMシステムGCおよびGC/MSデータシステム用のコントロールソフトウェアが提供されています。LTMシステムは、キーパッドコントロールユーザーインターフェースを介してスタンドアロンモードでも動作させることができます。

注: 写真では、熱シールドを取り外した状態でLTMカラムモジュールを示しています。実際にはこの状態で動作
       させてはいけません。熱シールドは、実際の運転時に必ず所定の位置に取り付けられている必要があります。
LTMトランスファーラインモジュール

カラムモジュールをドアのスロットに接続するために必要なのがトランスファーラインモジュールです。トランスファーラインモジュールには、カラムアセンブリからオーブン内部に伸びる温度制御チューブを通る、キャピラリカラムのための温度制御パスが用意されています。キャピラリカラムの端をこれらのチューブに通し、カラムモジュールをトランスファーラインモジュールに差し込んで、2つのねじで取り付けるシンプルな構造です。キャピラリカラムの端はブラケット内のクロマトグラフィユニオンに取り付けます。このブラケットはトランスファーラインモジュールのオーブン側に接続されています。これらのユニオンには、再使用可能なフェラルと再使用不可能なフェラルの両方が使用できます。すばやく容易に接続でき、ツールも必要ありません。トランスファーラインを使用したモジュール交換に便利なように、研究開発などのラボのアプリケーションには、再使用可能なフェラルをお勧めします。フェラルの選択および推奨事項に関する詳細情報については、FAQセクション(※英語のFAQです。日本語は追って掲載します。)を参照してください。

トランスファーラインには、3インチ(小)と5インチ(標準)のサイズがあり、カラムモジュールのサイズと一致する必要があります。カラムモジュールの使用時には、1つのモジュールに1つのトランスファーラインが必要です。カラムモジュールは、再使用可能なフェラルを使用してトランスファーラインモジュールから容易に取り外すことができます。このフェラルにより、別のカラムモジュールでトランスファーラインを再使用できます。

5インチ(標準)のトランスファーラインモジュール
3インチ(小)のトランスファーラインモジュール
LTMカラムモジュール
カラムモジュールに使用する、市販のGCカラムはAgilent製です。取り外し可能なトランスファーラインモジュールを接続して、GCカラムモジュールをドアのスロットに差し込みます。最長30メートルまでのAgilentのカラム製品であれば、あらゆるキャピラリGCカラム製品が使用できます。カラムの内径は0.1~0.53mmの範囲をカバーしています。次の2つのサイズのカラムモジュールを使用できます。3インチモジュール(小)はドアの4つのスロットに取り付け可能です。5インチモジュール(標準)はオーブンに水平に取り付けられ、上下2段に並べて取り付け可能です(1つのLTM/GCシステムにつき、最高で2つの5インチモジュール)。5インチのカラムモジュールは、3インチのモジュールよりも迅速に冷却できます。こちらは内径0.53mmのフューズドシリカカラムと大部分のPLOTキャピラリカラムの場合にお勧めします(通常は、シングルカラムシステムをお勧めします)。3インチカラムは、ドアにある追加のスロットを活用する際に、多次元GCアプリケーションで必要になる場合があります。