Access Agilent 2016年11月号

Agilent Intuvo 9000 GC による半揮発性有機化合物(SVOC)の高速かつ正確な分析

Matthew Giardina, Ph.D., アジレントアプリケーションケミスト

ガスクロマトグラフィー質量分析は、環境サンプル中の半揮発性有機化合物 (SVOC) の分析に広く導入されています。SVOC が相当量存在する場合は、環境汚染と見なされます。USEPA メソッド 8270D は、GC/MS による、固形廃棄物、土壌、空気、水の抽出物に含まれる 243 種類の化合物を同定します。

Agilent 7890 GC の耐久性とデータ品質は、SVOC の分析のグローバル標準です。この記事で紹介する分析結果は、次世代の GC である Agilent Intuvo 9000 が、USEPA メソッド 8270D の要件を容易に満たすことを示しています。

Agilent Intuvo 9000 による SVOC 分析の進化

Agilent Intuvo 9000 GC では、SVOC 分析に最適な革新的技術を搭載しています。新しいフローテクノロジーには、取り付け/交換が容易な Intuvo カラムと、汚染防止用のプレカラムとして機能するガードチップが組み込まれています。またダイレクトカラムヒーティングにより、省電力を実現し、より短いサイクル時間で迅速にカラムを冷却できます。

このアプリケーションには、77 種類のターゲット化合物とサロゲートを含む標準原液を選択して、酸、塩基、中性化合物の典型的な混合物を作成しました。8270 用に前処理した土壌の化合混合物には、ラボで通常検出される最も影響の大きいマトリックス残留物が含まれていました。

Agilent Intuvo 9000 GC は、シングル MS 用流路で構成され、不活性 EI イオン源が Agilent 5977 との間のインタフェースとして機能します。表 1 は、この実験で使用した機器条件です。

注入量 1 µL
注入口 スプリット/スプリットレス、300 °C
パルスドスプリットレス、0.5 分まで 60 psi
0.5 分で 50 mL/min でパージ
セプタムパージスイッチドフローモード、3mL/min
注入口ライナ Agilent ウルトライナートスプリットレスシングルテーパライナ、ガラスウール入り
ガードチップ (Intuvo のみ) 60 °C で 2 分間、20 °C/min で 60 °C ~ 260 °C、6 °C/min で 260 °C ~ 330 °C、 1.333 分 (標準溶液) または 10.333 分 (土壌抽出物) 保持
カラム Agilent DB-5ms UI 30 m x 0.25 mm x 0.5 µm
カラム流量 2 mL/min, 定流量モード
カラム温度 40 °C で 2 分間、20 °C/min で 40 °C ~ 260 °C、6 °C/min で 260 °C ~ 330 °C、1.333 分 (標準溶液) または 10.333 分 (土壌抽出物) 保持
トランスファライン温度 330 °C
ドローアウトプレート 6 mm (オプション)
イオン源温度 330 °C
四重極温度 200 °C
スキャン 35 to 550 m/z
ゲイン係数 1
閾値 50
A/D サンプル 2

表 1. 一般的な GC/MS パラメータ

図 1. Agilent Intuvo 9000 および 7890 で生成した SVOC クロマトグラムの比較

図 1. Agilent Intuvo 9000 および 7890 で生成した SVOC クロマトグラムの比較

図 2. Intuvo 9000 (オレンジ色の四角形) と 7890 GC (青の円形) による SVOC の相対リテンションタイムの比較

図 2. Intuvo 9000 (オレンジ色の四角形) と 7890 GC (青の円形) による SVOC の相対リテンションタイムの比較

図 3. Intuvo (オレンジ色の四角形) と 7890 (青の円形) による SVOC の相対リテンションタイムの比較

図 3. Intuvo (オレンジ色の四角形) と 7890 (青の円形) による SVOC の相対リテンションタイムの比較

Intuvo 9000 が 7890 の性能ベンチマークに適合

同等性の初期評価として、20 µg/mL の濃度のターゲットおよびサロゲートで前処理した標準溶液と、40 µg/mL の濃度の内部標準溶液を Agilent 7890/5977 および 9000/5977 で測定しました。図 1 は、両方のシステムで取得した正規化後のトータルイオンクロマトグラムを示しています。高ピーク密度 (12.5 分と 16.5 分) 領域では、クロマトグラムが実質的に区別できず、わずかな違いしかありません。

リテンションをより定量的に比較するため、図 2 では Agilent Intuvo 9000 および 7890 の GC システムの相対リテンションタイムのプロットを示しています。2 種類の機器の近似性は非常に高く、相対リテンションタイムの差異は平均で 0.0006 でした。

図 2 に見られるとおり、最初の 2 種類の溶出化合物 (N-ニトロソジメチルアミンとピリジン) の相対リテンションタイムには大きな差があります。これは、Agilent Intuvo ガードチップの少量のプレカラム容量がプラスされたためです。

図 3 は、最後に溶出する多環芳香族炭化水素 (PAH) の相対レスポンスについて、Intuvo 9000 が 7890 より少し大きかったことを示しています。この結果は、Agilent Intuvo の流路全体の温度プロファイルが一貫しているため、より高い沸点の PAH が流路を通過でき、回収率とピーク形状が維持されることを示しています。

マトリックス注入への耐性の検証

合計 680 回のマトリックス注入を行いました。サンプルを 20 回注入するたびに、4,4’-DDT がほぼ完全に分解されるほどマトリックス負荷が高くなりました。プロトコルテストの後、ライナとセプタムを交換してシステムを再テストしました。ライナ交換の後、分解率は 20 % 未満に低下しました。

この実験から、マトリックスを 60 回注入して Intuvo ガードチップを 1 回交換するたびに、点検サービスを実施するのが適当であることがわかります。ほとんどの土壌マトリックスの場合、この交換頻度で十分です。また Intuvo 9000 でのガードチップの交換は、7890 でのカラムトリミングと比べてより迅速かつ簡単です。

SVOC 分析に最適な Agilent Intuvo 9000 GC

この調査は、SVOC の分析に対する Agilent Intuvo 9000 GC システムの適性を示しています。Intuvo 9000 では、USEPA メソッド 8270D で指定されている性能要件を簡単に満たすことができます。Agilent Intuvo 9000 は、相対リテンションタイムと相対レスポンスに関する結果が 7890 と同等でした。また、土壌抽出物を繰り返し注入した結果、実質的なマトリックスの課題に対する耐性とメンテナンスのしやすさという点において、Intuvo 9000 が 7890 GC システムより優れていることがわかりました。

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