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定量 NMR – ルーチン分析と構造解析のギャップを埋める
David Russell、Ron Crouch
アジレントアプリケーションサイエンティスト
低分子の有機化合物の定量分析には、さまざまなテクニックを使用できます。もっとも一般的なのは、クロマトグラフィ分離に続いて、UV/Vis や蒸発光散乱などの分光検出テクニックや、MS などの質量分析検出を用いる方法です。それぞれの検出手法に長所がありますが、これらの検出手法はいずれも、応答因子の低さや望ましくないマトリックス効果といった問題も伴います。また、UV 応答因子が大きく異なる化合物の混合物の場合、誤った分析結果につながることもあります。つまり、「普遍的な」クロマトグラフィ検出手法は存在しないといえます。
核磁気共鳴 (NMR) は、前述の光学手法に比べると生データの感度は低いものの、多くの分析ラボにおいてルーチン定量ツールとして用いるのに必要なレベルの正確性と精度を備えています。もっとも多く用いられるのが、構造分析です。しかし、NMR はそれだけにとどまらず、重要な定量ツールと見なされるようになっています。
実際、NMR は、定量的に用いる場合にもっとも大きな威力を発揮します。これは、共鳴シグナルの積分強度が、そのシグナルで表される核の数と直接比例するためです。また、スペクトルのすべてのプロトンの感度が等しいので、定量分析の結果が、化合物特有の相関係数やキャリブレーションに左右されることはありません。
NMR は、化学合成および生合成物質、ファインケミカル、医薬品のほか、生体液中の代謝物、異化生成物、内因性化合物の濃度の測定に用いられています。定量 NMR (qNMR) は、メタボロミクス、創薬、医薬品分析、天然物分析で大きな威力を発揮することが証明されています。安定性と直線性の高い NMR プラットフォームがあれば、外部濃度標準と 1D NMR スペクトルの絶対積分のみを用いて、低分子有機化合物の正確で精度の高い qNMR を簡単におこなうことができます。
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正確性と精度は、それぞれ 100 % および 0.35 % です。図 1 では、シングルキャリブレーションを用いた場合の優れた定量の正確性と精度が示されています。
キャリブレーションには、40~100 mM の既知濃度の任意のサンプルを使用できます。キャリブラントには、他のすべてのシグナルと良好に分離できる適度なシャープさの共鳴 (共鳴グループ) が含まれている必要があります。また、キャリブラントの共鳴で表される原子核の総数が既知でなければなりません。その後、90 度のパルスを用いた 1 回のスキャンにより 1D スペクトルを採取し、キャリブラントの共鳴を含む領域を積分します。サンプル濃度と原子核数の積を [Integral Value] フィールドに入力し、[Set Integral Value] ボタンをクリックして (図 2)、この積分領域の値を手動で設定します。その後、キャリブレーションデータと、未知サンプルの濃度測定に必要なすべてのパラメータをプローブファイルに導入できます。
当て推量を排除する Adaptive NMR
qNMR は、未知構造の解明におけるその後の実験の分光計効率を高めるためのお膳立てをします。アジレントの VnmrJ 3 ソフトウェアに搭載されている Adaptive NMR を使えば、既知濃度のサンプルに対するあらゆる実験の適切な実行時間を決定することができます。
VnmrJ では、サンプル濃度、既知のプローブ感度、実行したい測定の感度をもとに、積算回数を計算することができます。したがって、任意のシグナル/ノイズ比を得るのに必要な時間を算出できます。必要な時間を予測することで、必要以上に長く実験をしたり、予定時間内では終わらない実験を始めたりすることがなくなります。
プロトン NMR スペクトルからは、任意のサンプルの濃度を妥当な精度で決定できます。サンプル濃度が決定されたら、最適なスキャン数とともに、すべての典型的な 2次元実験が自動的に設定されます。1 次元カーボン NMR 実験も適切な数のスキャンとともに設定されるので、優れたデータ品質を確保できます。Adaptive NMR 機能は、ラボに特有のニーズに応じて、簡単に設定および調整することが可能です。Adaptive NMR メカニズムに新たな実験を簡単に追加することもできます。
ルーチン分析と構造解明のギャップを埋める NMR の詳細をチェックし、その利点を活用してください。