発展するテクノロジー: HPLC-Chip/MS

発展するテクノロジー: HPLC-Chip/MS
マイクロ流体工学に基づく高圧ナノフローLC/MSシステム用の画期的技術

マイクロ流体工学装置とは?
マイクロ流体工学では、超小型システムにおいて微量流体を操作します。マイクロ流体工学技術の最もよく知られている応用はインクジェット印刷です。ライフサイエンスにおいて、今日最も広く用いられているマイクロ流体工学に基づく装置は「Lab-on-a-chip(ラボ・オン・チップ)」として知られています。Lab-on-a-chip技術では、さまざまな定性的および定量的生化学分析を迅速に効率よく行なうことができ、ユーザによる取り扱いも最小限にできます。Agilent 2100バイオアナライザーはマイクロ流体工学に基づく優れたプラットホームで、DNA、RNA、タンパク質および細胞の分析に用いられます。

マイクロ流体工学装置の仕組みは?
マイクロ流体工学装置は、ガラスあるいはプラスチック製マイクロチップ上に微小な閉鎖チャネルとウェルの回路がエッチングされています。圧力またはエレクトロカイネティックによって制御しながら選択した経路に少量の流体を流します。このミニチュアラボには、ポンプ、バルブ、混合チャンバーや反応チャンバー、分離チャネルなどが含まれることもあります。


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アジレントの新しいHPLC-Chip技術とは何か?
アジレントのHPLC-Chipは最初のマイクロ流体工学チップに基づく装置で、ナノフロー高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を行うことができます。

アジレントの新しいHPLC-Chip技術の主な特長は再利用可能なマイクロ流体工学ポリマーチップです。HPLC-Chipはクレジットカードよりも小さく、エレクトロスプレー質量分析法で用いられる複雑な接続とスプレーチップを、ナノフローLCシステムのサンプル濃縮カラムおよび分離カラムとポリマーチップ上で直接、シームレスに統合します。この技術では、ナノフローLC/MSシステムで一般に必要とされる従来の取り付け器具や接続が50%減少し、さらに、分析時の漏れやデッドボリュウム(死容量)が劇的に減少し、使いやすさ、感度、生産性および信頼性が大幅に改善します。

HPLC-Chip技術の第2の構成要素はHPLC-Chip/MSインターフェースです。チップはインターフェースに挿入し、これをアジレント質量分析計に取り付けます。エレクトロスプレーチップはチップを挿入するときに質量分析に最適な位置に配置されるように設計されています。チップの取り換えは簡単で、数秒で終えることができ、ナノLCカラムを交換するのにかなり長時間を要するのと対照的です。HPLC-Chipのインターフェースはアジレント 1100 シリーズのLCシステム内では標準モジュールとして利用できます。

どういうアプリケーションに利用できるのか? HPLC-Chipには従来の技術を上回るどのような長所があるのか?
アジレントのHPLC-ChipではナノフローHPLCを実行でき、最小のサンプル量で最大の感度が得られます。HPLC-Chipは、サンプル調製、分離、エレクトロスプレーチップを1つのチップに統合しています。また、ナノフローHPLCに必要な取り付け器具、接続、バルブおよびチュービングの数が著しく減少します。さらに、質量分析計と効率的に接続するネブライザ-が含まれ、ペプチドなどの化合物を分離した後、質量分析法によって同定、定量することが可能です。これは高度に統合された自動システムで、未知成分の複雑なサンプル分析の性能を改善し、生産性と処理量を高めます。従来のカラムベースのナノフローHPLCと比較して、HPLC-Chipでは比類ない使いやすさと、大きな信頼性や堅牢性、それに高い感度が得られます。HPLC-Chip技術は、プロテオミクス研究、薬剤開発および製造、コンビケム、化合物の分析、DMPK、食品安全性、環境モニタリングおよび国土安全保障など、各種用途で使用できる可能性を有しています。

プロテオミクスに用いるHPLC-Chip/MS技術の性能(検出、ペプチドの適用範囲、配列の適用範囲、タンパク質ID)はどのようなレベルなのか?
HPLC-Chip技術を用いると、従来のナノスプレー技術と比較して性能がよくなることが期待されます。初期の研究では、複雑なタンパク質サンプルに由来するペプチドの適用範囲が改善されたことが確認されています。さらに、HPLC-Chipは、堅牢な操作性、有用性、使いやすさという面で、本質的な利点を有しています。

このHPLC-Chipのインターフェースをアジレント・テクノロジー以外の質量分析計に装着することができるのか?
アジレントは MS用として当社のナノフロープロテオミクスソリューションXCT Ion Trap質量分析計およびAgilent 1100 シリーズ ナノフローLCシステムを用いてHPLC-Chipを開発しました。当然、HPLC-Chipのインターフェースは最初にこのシステムで利用可能になり、既存のアジレント イオントラップシステムに加えることができます。さらに、新しいTOF MSシステム用としてHPLC-Chipのインターフェースも開発しています。HPLC-Chipのインターフェースを他の型のMS機器に用いることについても実現可能か研究しています。現時点では、どのMS機器を対象とし、インターフェースが最終的に利用可能になるかは、まだ評価段階です。お客様からのフィードバックや協力がこれらの決定に大きな役割を果たすでしょう。

HPLC-Chipには、今後どのような種類の機能が組み込まれるのか?
現在のHPLC-Chipは、単純なサンプルの濃縮や直接注入を行う最も一般的な用途を念頭に置いて設計されています。今後は、2DLCなど他の種類のLC分離も研究していきます。

HPLC-Chip/MS技術はいつ利用可能になるのか?
HPLC-Chip/MS技術は現在開発中です。アジレントは、HPLC-Chip/MS技術の商品化を進めており、2005年始めまでにはHPLC-Chip/MSを組み込んだ最初のプロテオミクスソリューションを発売する予定です。

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資料

  • アプリケーションポスター
  • 記事:”集積化されたHPLC、サンプル濃縮カラム、ナノエレクトロスプレーチップを用いたペプチド分析のためのフルーイディックチップ”
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  • 記事:”マススペクトルベースドプロテオミクスとバイオマーカプログラムのアプリケーションのための集積化されたマイクロフルーディックデバイス
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