「永遠に残る化学物質」の解明:
食品中の PFAS

「食品中の PFAS 汚染に対する世界的な認識が高まるにつれ、正確で信頼性の高い試験の必要性も急速に高まっています。アジレントは、このような残留性化学物質を微量濃度で検出するための堅牢な分析ツールとワークフローをラボに提供することで、食品安全性と世界的な規制の遵守の確保を支援しています。」

Lorna De Leoz、Agilent Technologies, Inc. グローバル食品市場担当ディレクター

ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は、一般に「永遠に残る化学物質」として知られており、世界の食品供給において懸念すべき物質として認識が高まっています。研究によると、PFAS は包装材、調理器具、その他の食品接触材からの混入、および製造や加工時における汚染など、さまざまな経路を通して食品に混入する可能性があります。1

このような懸念が高まっているにもかかわらず、食品中の PFAS が健康に及ぼす影響の全容は依然として不明です。しかし、世界中で規制当局は食品接触材における PFAS の使用を制限する断固とした措置を講じています。

米国ではすでに、複数の州が食品包装材における PFAS の使用を禁止しており2、2024 年 2 月には、米国食品医薬品局(FDA)が、PFAS 系耐油剤を国内の食品接触紙製品向けに販売しない方針を発表しました。3

欧州も、迅速な動きを見せています。2026 年 8 月以降、EU では、食品包装材において特定の閾値を超える PFAS の使用が禁止される見込みです。2 一方、欧州化学機関(ECHA)は、約 10,000 種類の PFAS 化合物の使用を制限する案を全面的に提案することを検討中です。4 最終決定は、2026 年末までに下される予定であり、このことが、欧州全域の食品および飲料業界の再構築につながる可能性があります。4

アジアでは、食品接触材に関する PFAS の規制案はまだ浮上していません。ただし、シンガポールで最近制定された食品安全・食料安全保障法案は、将来の禁止措置や食品接触材のより厳格な規制に向けて法的基盤を築いています。5, 6

世界的な PFAS 規制が進化し続ける中、食品および飲料業界のラボは、PFAS 規制の動向に関する十分な情報を得て、適応できる準備を整えることにより、前もって対処することができます。継続的にモニタリングして研究を重ねることは、より安全な実践を支援し、あらゆる発生源からの PFAS 曝露を最小限に抑えるうえで重要な役割を果たします。

PFAS
PFAS 2

カナダのマギル大学では、アジレントの Thought Leader Award 受賞者である Stéphane Bayen 博士(左の写真)が、食品接触材中の PFAS の試験に関する研究を推進しています。

Bayen 博士は、次のように説明しています。「私たちのラボでは、食品模擬モデルを用いて PFAS の挙動、つまり、食品接触材における PFAS の発生状況や各種食品への PFAS の混入の可能性について調査しています。

私たちの研究においては、食品関連マトリックス中の PFAS のような環境汚染物質を、ppm~ppb レベルの微量濃度で検出することがきわめて重要です。分析に必要な検出下限を達成するために、Agilent TQ LC/MS および LC Q-TOF MS システムを用い、ターゲットおよびノンターゲット分析メソッドを組み合わせて利用しています。」

現在の PFAS 規制は地域によって異なりますが、より厳しい基準を採用する世界的な傾向が明確に見られます。食品中、飲料中、または食品接触材中などの PFAS 試験において、アジレントの包括的なワークフローソリューションは、進化する課題に対応できるように設計されており、食品安全性の確保、規制遵守の維持、ブランドの評判の保護を実現します。食品および飲料業界の企業は、アジレントの専門知識を活用することで、PFAS 関連のリスクを安心して効果的に管理できます。

参考文献:

1 Eze, C. G.; Okeke, E. S.; Nwankwo, C. E.; Nyaruaba, R.; Anand, U.; Okoro, O. J.; Bontempi, E. Emerging Contaminants in Food Matrices: An Overview of the Occurrence, Pathways, Impacts and Detection Techniques of Per- and Polyfluoroalkyl Substances. Toxicol. Rep. 2024, 12, 436–447. https://doi.org/10.1016/j.toxrep.2024.03.012.

2 Davis, E. PFAS in Food Packaging: What You Need To Know. Food Safety Magazine, February/March 2025. https://www.food-safety.com/articles/10124-pfas-in-food-packaging-what-you-need-to-know

3 U.S. Food and Drug Administration. Authorized Uses of PFAS in Food Contact Applications. FDA.gov. https://www.fda.gov/food/process-contaminants-food/authorized-uses-pfas-food-contact-applications

4 European Chemicals Agency (ECHA). ECHA Update on the PFAS Restriction Process. https://echa.europa.eu/documents/10162/111425157/echa_update_pfas_en.pdf/6775e241-204e-af0a-a2d0-4c16ba2c138d?t=1756287349062

5 Parliament of Singapore. Food Safety and Security Bill No. 49/2024. https://www.parliament.gov.sg/docs/default-source/bills-introduced/food-safety-and-security-bill-49-202410500c06-cf20-4f7c-80e0-f6bb39002e9a.pdf?sfvrsn=b5585008_1

6 Parkinson, L. 2025 Regulatory and Waste Management Updates from South and Southeast Asia. Food Packaging Forum, June 12, 2025. https://foodpackagingforum.org/news/2025-regulatory-and-waste-management-updates-from-south-and-southeast-asia