ICP-OES のキャリブレーションミスを防ぐためのアナリストガイド

科学者

ICP-OES のキャリブレーションミスを防ぐためのアナリストガイド

標準溶液を再調製せざるを得ない状況に陥らないために

標準溶液を新たに調製して検量線を作成するところから分析をやり直すとなると、相当な時間とコストが無駄になります。検量線に複数の標準試薬が必要な場合は、なおさらです。

多くの場合、予測よりも低い感度や検量線から大きく外れた測定値として現れたときに気が付きます。

一般的なエラー原因

ここには、手動での標準溶液の調製に関連する一般的なエラー原因が示されています。ラボの標準操作手順書には、検量線作成時に起こり得るこれらのエラー原因を最小限にとどめ、排除するための手順を盛り込む必要があります。

各セクションにマウスを乗せると、詳細がご覧いただけます。

キャリブレーション外れのピペット

ピペット

ピペットのキャリブレーションに関連する国際規格は ISO 8655-2:2002 です。

こちらはイラスト入りガイドです。

クリーニング/浸漬が不十分な汚染されたガラス容器

ガラス容器

ガラス容器のクリーニングに関するガイダンスについては、国際規格 ISO 4787:2010 Laboratory glassware—​Volumetric instruments—​Methods for Testing of Capacity and for Use の Annex A をご覧ください。

こちらは簡単な説明ビデオです。

または、コーニング社のこのアプリケーションノートをご覧ください。

複数の元素原液間のクロスコンタミネーション

原液

クロスコンタミネーションの大半は、分析操作の不備 (同じピペットを繰り返し使用するなど) が原因です。

溶液を調製する際は、次の元素原液を吸引して分注する前に、必ずピペットチップを交換しください。

元素ごとに専用のピペットを用意することが望ましい。

間違った原液による多元素標準溶液の調製

標準溶液の調製

複数元素の混合標準液を調製するときは出来る限り市販の多元素標準原液から調製してください。

単元素原液を混合して使用する場合は、調製に誤りを生じる可能性があります。

多元素標準溶液に必要な元素の欠落または重複

必要な元素

すべての溶液に明確なラベルを貼付し、取り間違いの起こりにくい順序で並べるように心がけてください。

使用期限切れの原液

期限切れの溶液

標準溶液の調製前に、使用期限を確認してください。

不適切な保管による原液や標準溶液の劣化

原液や標準溶液の保管

標準溶液は、冷凍や加温することや直射日光の当たる場所に置くことは避けてください。また高湿度の場所に置くことも避けてください。

低品質の試薬

試薬

購入/使用前に、選択した試薬の不純物レベルを分析証明書で確認してください。

不純物レベルがアプリケーションの許容範囲外の場合は、別のブランドまたはより高純度の試薬を使用してください。

アジレントの認証標準物質は NIST トレーサビリティが保証され、製造に高純度の原材料を使用することで不純物が最小限に抑えられています。

波長校正が行われていない機器

波

ICP-OES に搭載されている機器性能テストを実施してください。通常、標準テストの一環として波長校正テストが行われます。

不適切な酸による標準溶液の安定化

酸

必ず、標準原液の調製に使用されているマトリックスを確認し、調製後の標準溶液を安定化させる際はそのマトリックスに合わせてください。例えば、Pb 標準溶液には H2SO4 を使用しないでください。