Access Agilent 2017年1月号

エキスパートに訊く: GC 分析において、従来の手動でのレギュレータ操作の代わりになるシンプルでコスト効率がよく、同時に精度も向上する手法

Remko van Loon, アジレント GC アプリケーションスペシャリスト

従来のメカニカルレギュレータを使用すると、時間の経過とともにドリフトが発生しやすくなります。ドリフトは、エレクトロニックニューマティクスレギュレーション (EPR) 技術を使用して回避できます。また、EPR では、不便なバブルメーターを使った、システム内での流量の測定や調整も不要になります。さらに、温度と大気圧を補正することにより、ゲージとダイアフラムを用いた従来のメカニカルレギュレータを搭載したシステムと比較して、リテンションタイムおよびベースライン安定性が大幅に向上します。

Agilent 7820A GC システムで新しく導入されたエレクトロニックニューマティクスレギュレーション (EPR) は、限定された注入口と検出器において、従来の手動によるレギュレータ操作の代わりになる、シンプルかつ高精度でコスト効率の高い手法です。EPR は、従来の手動によるレギュレータを搭載したシステムと比較して、圧力および流量表示用の高精度デジタルディスプレイと優れた使いやすさにより、手動操作を単純化します。この記事では、EPR 技術の使用法に関する一般的な質問に対して、アジレントのエキスパートがお答えします。

図 1. ガスの流量と圧力は、「+」および「–」キーを用いて、簡単に調整可能です。

図 1. ガスの流量と圧力は、「+」および「–」キーを用いて、簡単に調整可能です。

EPR の動作方法

EPR が搭載された Agilent 7820A GC システムでは、ソフトウェアキーパッドの「+」または「–」キーを用いて、圧力または流量を簡単に増減できます。圧力値または流量値は、システムのディスプレイとソフトウェアキーパッド上に、リアルタイムで表示されます。図 1 に例を示します。

アジレントの EPR 技術は、スプリット/スプリットレス注入口とパックドカラム注入口、水素炎イオン化検出器 (FID)、および熱伝導度検出器 (TCD) がサポートされています。スプリット/スプリットレス注入口で EPR を使用すると、注入口圧力とトータル流量を簡単に変更できます。スプリット流量とスプリット比は、トータル流量を調整すると自動的に変更されます。

Agilent 7820A GC システムは、注入口と検出器の両方に対して、EPR を使用して構成できます。検出器に関してはたいていの場合、検出器の流量値は一度設定をするとあまり変更することはないので、EPR 仕様にして、注入口は、エレクトロニックニューマティクスコントロール (EPC) を使用して、注入口の完全な流量コントロールをする構成も有用です。

従来のメカニカルレギュレータと比較した場合、EPR のもう 1 つの主な利点は、実際の圧力と流量に関する情報の記録を、分析ごとにデータファイルに保存する機能があることです。

EPR 技術と EPC 機器の直接の比較

アジレントの EPR 技術の性能をチェックするために、アジレントのエキスパートは、エレクトロニックニューマティクスコントローラとエレクトロニックニューマティクスレギュレータの比較実験を実施しました。この実験では、約 50 mg/L の C10~C40 の n ヘプタン混合物について、それぞれ分析を行いました。1 台の Agilent 78020A GC システムとキャピラリカラムを使用して、両方の設定に関して、同じ一定のカラムヘッド圧を設定しました。試験の設定と実験条件に関する詳細情報については、アジレント技術概要 5991-7406EN をご覧ください。

図 2. Agilent 7890A GC システムでの比較実験において、EPR と EPC が示す同一のリテンションタイム。

図 2. Agilent 7890A GC システムでの比較実験において、EPR と EPC が示す同一のリテンションタイム。

図 3. 炭化水素標準の再現性実験における 5 回の繰り返し分析の重ね表示。

図 3. 炭化水素標準の再現性実験における 5 回の繰り返し分析の重ね表示。

再現性 (RSD%, n=10)
化合物 面積 リテンションタイム
C10 0.44 0.027
C12 0.50 0.016
C14 0.52 0.009
C16 0.55 0.006
C18 0.52 0.008
C20 0.55 0.011
C22 0.59 0.008
C24 0.52 0.008
C26 0.50 0.008
C28 0.52 0.008
C30 0.49 0.007
C32 0.53 0.008
C34 0.52 0.012
C36 0.50 0.013
C38 0.66 0.027
C40 0.45 0.023

表 1. EPR を搭載した Agilent 7820A GC システムでの面積とリテンションタイムの優れた再現性。

図 2 は、サンプル範囲全体に対して、2 つの技術のリテンションタイムが明らかに一致していることを示しています。さらに、システムの再現性を確認するために、注入口と検出器の両方に対して EPR 流量制御を使用し、10 回の連続分析を実施しました。その結果、ピーク面積において、約 0.5% RSD の優れた相対標準偏差が得られました。アジレントの EPR 技術により、安定したリテンションタイムと検出器ベースラインが得られました。リテンションタイムの再現性の測定値は、0.03% RSD 以下でした。すべての化合物に関する詳細な結果を表 1 に示します。図 3 は、再現性実験における 5 回の繰り返し分析を重ねて表示したものです。

柔軟性、高精度、および手頃な価格を実現する、EPR を搭載した Agilent 7820A GC システム

エレクトロニックニューマティクスレギュレーションを搭載した Agilent 7820A GC システムは、コスト効率が高い設計により、マニュアル操作の単純化と高精度を実現した製品です。EPR を使用して、圧力と流量を電子的にマニュアルで調整できると同時に、測定値はシステムのディスプレイとソフトウェアキーパッド上に表示されます。また、実際の圧力と流量の記録を、分析ごとにデータファイルに保存できます。

複雑な研究用の柔軟かつ信頼性の高いガスクロマトグラフシステムおよびソフトウェアが必要な場合に備えて、お客様のさまざまなニーズに対応できる幅広いソリューションをご用意しています。詳細については、今すぐアジレントにお問い合わせください。