Access Agilent 2016年6月号

分析困難な極性化合物の分析で優れた不活性度を発揮する GC カラム

Yun Zou、アジレント GC カラムアプリケーション

GC および GC/MS 検出器の技術革新により、いまや検出下限は ppb および ppt レベルに達しています。ただし、検出器まで分析対象物が到達しない限り、検出することはできません。そのため、GC および GC/MS 分析では、流路の活性をいかに抑えるかが非常に重要になります。流路に活性点が存在すると、分析対象物が吸着されたり、活性点が触媒として作用し不安定な分析対象物が分解され、ピークテーリングや不検出といった結果につながる可能性があります。Agilent J&W ウルトライナート GC カラムファミリは、一貫したカラム不活性度における新たな業界標準を打ち立てました。分析困難な成分であっても、より優れた検出下限を実現し、より正確なデータをもたらします。

きわめて厳しい QC 基準をクリアした性能

新しい Agilent J&W DB-WAX ウルトライナートカラムは、標準的なポリエチレングリコール (PEG) カラムに伴う不活性度の持続性に関する問題を解決します。DB-WAX ウルトライナートカラムは、最も厳格な業界 QC 基準にもとづくウルトライナート Wax 試験混合物を用いて 1 つひとつ試験されています。これにより、遊離脂肪酸、アルコール、ジオール、アルデヒドなど分析困難な活性化合物に対する一貫した不活性性能がカラム間で確保され、これらの化合物の吸着や分解が最小限に抑えられます。また、Agilent J&W DB-WAX GC カラムと同等の選択性を備えているため、最小限のバリデーションで DB-WAX GC カラムからウルトライナートカラムへと簡単にアップグレードできます。

最近発行されたアジレントのアプリケーションノート5991-6637JAJP5991-6635JAJP、および 5991-6638JAJP では、Agilent J&W DB-WAX ウルトライナートカラムの卓越した不活性性能を裏付ける調査結果をご覧いただけます。

図 1. Agilent J&W DB-WAX UI カラムおよび A 社製 WAX カラムによる、DEG、1,2-プロパンジオール、EG、1,3-プロパンジオール、およびグリセリンで構成される 0.1 mg/mL テスト混合物の分離クロマトグラム

図 1. Agilent J&W DB-WAX UI カラムおよび A 社製 WAX カラムによる、DEG、1,2-プロパンジオール、EG、1,3-プロパンジオール、
およびグリセリンで構成される 0.1 mg/mL テスト混合物の分離クロマトグラム

図 2. Agilent J&W DB-WAX UI カラムおよび B 社製 WAX カラムによる、DEG、1,2-プロパンジオール、EG、1,3-プロパンジオール、およびグリセリンで構成される 0.1 mg/mL テスト混合物の分離クロマトグラム

図 2. Agilent J&W DB-WAX UI カラムおよび B 社製 WAX カラムによる、DEG、1,2-プロパンジオール、EG、1,3-プロパンジオール、
およびグリセリンで構成される 0.1 mg/mL テスト混合物の分離クロマトグラム

図 3. ラベンダー精油の GC/MS クロマトグラムの重ね表示 (一部)。Agilent J&W DB WAX カラム (青) と Agilent J&W DB-WAX UI 30 m x 0.25 m、0.25 µm カラム (赤) の比較。DB-WAX UI GC カラムでは、テルピネン-4-オール (ピーク 26) や α-テルピネオール (ピーク 30) など活性の高い化合物に対して優れたピーク形状とレスポンスが得られています。

図 3. ラベンダー精油の GC/MS クロマトグラムの重ね表示 (一部)。Agilent J&W DB WAX カラム (青) と Agilent J&W DB-WAX UI 30 m x 0.25 m、0.25 µm カラム (赤) の比較。
DB-WAX UI GC カラムでは、テルピネン-4-オール (ピーク 26) や α-テルピネオール (ピーク 30) など活性の高い化合物に対して優れたピーク形状とレスポンスが得られています。

図 4. 中国酒サンプルの繰り返し注入により得られた GC/FID クロマトグラムの重ね表示。アルコール、アルデヒド、および有機酸のピークがシャープで明確です。

図 4. 中国酒サンプルの繰り返し注入により得られた GC/FID クロマトグラムの重ね表示。アルコール、アルデヒド、および有機酸のピークがシャープで明確です。
リテンションタイムについても、水を主成分とする (容積で 62 %) ストレート中国酒サンプルの 200 回の注入を通じて、きわめて高い再現性が実現されています。
また、この調査を通じて、分析困難な成分に対して左右対象で一貫したピーク形状が得られています。この結果から、Agilent DB-WAX UI カラムが卓越した不活性度と
安定性を備えていることがわかります。

ピーク形状およびピーク再現性の向上

Agilent J&W DB-WAX ウルトライナート (UI) カラムを用いて、歯磨きペーストに含まれる有機溶媒 (エチレングリコール (EG) およびジエチレングリコール (DEG)) の GC/MSD 分析を実施しました。これらの化合物は活性の高い複数のヒドロキシル官能基を持つため、良好なピーク形状を得るのは容易ではありません。図 1 は、Agilent J&W DB-WAX UI カラムにより得られたクロマトグラムです。EG および DEG を含め、活性の高い化合物に対して左右対称のピーク形状が得られています。このことは、このカラムの優れた不活性度を示しています。次に、Agilent J&W DB-WAX UI カラムと他社製の WAX カラムの性能を比較しました。その結果を図 1 および図 2 に示します。1 回目の注入では、A 社製および B 社製カラムでもAgilent J&W DB-WAX UI カラムと同等の良好な性能が得られました。ところが、注入回数が 10 回を超えると、A 社製および B 社製カラムのクロマトグラムでは、1,3-プロパンジオールに対して著しいテーリングが生じ、レスポンスが低下しました。これに対し、不活性度および熱安定性に優れた Agilent J&W DB-WAX UI カラムでは、これらの活性化合物に対して良好なピーク形状と再現性の高い分析結果が得られました。

選択性を維持しながら感度を向上

別の調査で、GC-FID および GC/MS を使用してラベンダー精油サンプルを評価しました。ラベンダー精油サンプルでは、36 種類の主要成分が同定されました。この分析において、図 3 に示すように、Agilent J&W DB-WAX カラムと J&W DB-WAX UI カラムでは同等の選択性が得られました。また、Agilent J&W DB-WAX UI カラムでは、その優れた不活性度により、活性化合物に対してより良好なピーク形状とより高い感度が実現されました。このように、2 つのカラムは同じ選択性を持つため、Agilent J&W DB-WAX カラムから DB-WAX UI カラムに切り替える場合も、メソッド開発やバリデーションを改めて行う必要がありません。

分析困難なサンプルで優れた性能を発揮

3 つ目の調査では、蒸留酒の分析を実施しました。このサンプルは水の含有量が高い (40 ~ 80 %) ため、分析が困難です。従来の PEG カラムは、アルコール / 水マトリックスに含まれる化学活性の高い化合物を十分に分離できず、水溶性サンプル分析での再現性はよくありませんでした。一方、高い不活性度を備えた Agilent J&W DB-WAX UI カラムでは、アルコール、アルデヒド、有機酸など分析困難な極性化合物に対して、きわめて優れた分離能とピーク形状が得られました。図 4 は、Agilent J&W DB-WAX UI カラムで中国酒サンプルを 200 回注入して得られた FID クロマトグラムの重ね表示です。この結果から、DB-WAX UI カラムでは、リテンションタイムとピーク形状の再現性がきわめて高く、従来の PEG カラムに伴う欠点が解消されていることがわかります。

より確かな結果をもたらす Agilent イナートフローパス
ソリューション

Agilent J&W DB-WAX ウルトライナート GC カラムは、きわめて優れた不活性度を実現し、他社製の WAX カラムよりも信頼性の高いピーク形状と優れた耐久性を備えています。Agilent イナートフローパスソリューションは、GC および GC/MS の流路を構成するあらゆる段階で活性を最小限に抑えます。これにより、システムの性能を高め、より信頼性の高い結果を生み出し、より多くのサンプルを分析できるようになります。予定外のメンテナンスや再キャリブレーションも不要です。詳細については、Agilent イナートフローパスソリューションのご紹介ビデオをご覧ください。

本資料掲載の製品は、すべて研究および品質管理用です。診断目的では使用できません。

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