Access Agilent 2016年3月号

より優れたスピード、柔軟性、および正確度を実現する LC オートサンプラのデュアルニードルオプション

Martin Greiner、アジレント・シニア製品マネージャ、分析 HPLC & CE

高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 分析では、サンプルを高い再現性で自動注入するために、オートサンプラ技術が活用されてきました。この既存技術に対し、分析効率を向上させたいラボから 次の 2 つの要望が挙げられてきました。それは、注入サイクルを高速化してサンプルスループットを高めることと、ハードウェア部品を交換しなくても多様な注入条件に対応できる柔軟性を備えることです。これらの要望をかなえるのが、先日発表されたデュアルニードルオプションです。この技術は Agilent 1260 Infinity マルチサンプラおよび Agilent 1290 Infinity II マルチサンプラに搭載されており、これまでの概念を覆すスピード、柔軟性、正確度を実現します。

図 1. Agilent 1290 Infinity II マルチサンプラのデュアルニードル流路は、単一の計量デバイスと追加バルブ、2 つの独立したループ、および注入ポートで構成されています。

図 1. Agilent 1290 Infinity II マルチサンプラのデュアルニードル流路は、単一の計量デバイスと追加バルブ、2 つの独立したループ、および
注入ポートで構成されています。

デュアルニードルの動作原理

一般に、標準的なオートサンプラの流路は、バイアルセプタムまたはその他のサンプル容器のキャップを貫通するニードル、サンプル容器から適正量のサンプルを吸引する計量デバイス、計量したサンプルを HPLC の流路内に保持するサンプルループ、ニードルをしっかり接続するためのニードルシート (適切な圧力と、LC 経路への漏れのない接続を確保)、溶媒の流れとオートサンプラの流路をすばやくスムーズに切り替えて接続するバルブで構成されています。

アジレントのデュアルニードルオプションは、2 個のニードル、サンプルループ、およびニードルシートを組み込み、追加バルブを使用することにより、1 台のオートサンプラで 2 つの流路を実現します。デュアルニードルオプションの概略図を図 1 に示します。

スループット、柔軟性、確実性の向上

デュアルニードル技術により、主に 3 つの利点がラボにもたらされます。

スループット: デュアルニードルの左右の流路で同一のループを使用し、サンプルを交互に注入することで迅速な連続注入が可能となります。一方のニードルとループが LC 流路に接続され、分離が実行されている間、もう一方のニードルとループは LC 流路から切り離されます。このサンプル流路では、実行中の分離と並行して、別のサンプル容器への移動、ループへのサンプルの吸引、ニードルフラッシュポートへの移動 (キャリーオーバーを低減するためのニードル外側の洗浄)、ニードルシートへの移動と注入準備などの操作を行うことができます。

カラム再生機能を併用すれば、更に分析時間を大幅に削減でき、一連の分析に要する合計時間を最大 58 % 短縮することができます (1 回ごとの分析から連続分析への移行により節約される時間)[1]。デュアルニードルを用いた分析結果の詳細については、アジレントのアプリケーションノート (5991-6150EN) をご覧ください。

柔軟性: デュアルニードル技術によってもたらされる柔軟性の高さは明らかです。デュアルニードルオプションでは、オートサンプラのディレイボリュームに影響を与えることなく、より幅広い注入量範囲に対応することができます。ハードウェアの変更も不要です。左右の流路でそれぞれ異なるループを使用することが可能です。

例えば、右側の流路で一般的な分析ループサイズ 20 µL を使用し、低分散の最適な高速クロマトグラフィー分析を実行する一方、左側の流路で最大 500 µL のループ (1290 Infinity II マルチサンプラの場合) または 900 µL のループ (1260 Infinity マルチサンプラの場合) を装着し、大容量注入を行うことができます。しかも、このような大容量のサンプル注入を機器の最大システム圧力 (1300 bar または 600 bar) までの圧力で行えます。また、デュアルニードル機能によりもたらされる広いダイナミックレンジにより、0.1~900 µL という幅広い注入量に対応できます。

信頼性: 独立した 2 つのニードルシート、ループ、および注入ニードルを使用できるため、実施する分析の種類に応じて流路の用途をそれぞれ決めることができます。例えば、各注入経路を 2 つの異なるアプリケーションに使用することも可能です。また、一方の流路はリファレンスまたはキャリブレーションサンプルの注入経路、もう一方は標準サンプルの注入経路、と分けることが可能です。トラブルシューティングやキャリブレーション試験を実施する場合は、クリーンなリファレンス用の注入経路を確保できます。

アジレントのデュアルニードルオートサンプリング技術がスピーディな分析を実現

アジレントのデュアルニードルオプションにより、技術面だけでなく、実用面においても画期的なオートサンプリングアプローチがもたらされます。例えば、デュアルニードルオプションの優れた柔軟性により、より正確な分析結果がよりスピーディに得られます。さらに、優れた定量性能を備えているため、少量のサンプルから大容量のサンプルまで対応できる広いダイナミックレンジが実現されます。2 つの異なる経路によるサンプル注入の同等性は、正確に校正されたデュアルニードルループによって確保されます。

アジレントのデュアルニードル機能を利用することで、分析時間を大幅に短縮できます。無駄のないオーバーラップ注入と、自動カラム再生を組み合わせて使用すれば、最大限の時間節約が可能です。

アジレントは、多忙なラボが抱えるあらゆる分析ニーズに応えることのできる LC、HPLC、および UHPLC ソリューションを幅広く取り揃えています。詳細については、アジレントの担当者にお問い合わせください。