Access Agilent 2015年9月号

GC×GC 用のリバースインジェクションディファレンシャル フローモジュレータによる複雑なサンプルの正確な分析

Chiara Cordero1, Patrizia Rubiolo1, Lugi Cobelli2, Gianluca Stani2,
Armando Miliazza3, Roger Firor4, Matthew Giardina4, and Carlo Bicchi1
1 Dipartimento di Scienza e Tecnologia del Farmaco, Università di Torino, Turin, Italy
2 SRA Intruments SpA, Cernusco sul Naviglio, Milan, Italy
3 アジレント・テクノロジー・イタリア, Cernusco sul Naviglio, Milan, Italy
4 アジレント・テクノロジー, Wilmington DE, USA

一般に、石油化学、環境、および香水などで扱うサンプルには非常に多くの成分が含まれています。その成分すべてを 1 本の GC カラムで分離することは不可能です。包括的二次元ガスクロマトグラフィー (GC×GC) は、このような複雑な混合物の分析において優れた分離能を発揮します。多くのラボにとって、GC×GC のハードウェアを確実に構成するのは容易ではありませんが、アジレントは、複雑なハードウェアを用いなくても混合物の分離が可能な GC×GC フローモジュレータを提供しています。

アジレントの GC×GC 手法では、2 本のキャピラリカラムを、フローモジュレータを介して直列に接続します。通常、これらのカラムには、極性が大きく異なるものを使用します。フローモジュレータ内では、第 1 カラムで溶出した分析対象物のバンドを固定容量チャネルに捕集します。次に、補助キャリアガスを供給し、捕集したバンドを非常に狭いバンドに圧縮して連続的にすばやく短い第 2 カラムへと移送します。最初のカラムで行われた分離は、第 2 カラムへの移送時にも維持されます。

リバースフラッシュディファレンシャルフローモジュレータの利点

最近、Agilent キャピラリ・フロー・テクノロジー (CFT) を利用した第 2 世代の GC×GC 用ディファレンシャルフローモジュレータのプロトタイプが作成されました。この新たな構成では、Griffith 他による文献 [1] で紹介されているデバイスをもとに、第 1 世代のデバイスに実装されていたフォワードフラッシュ/フィルに代わってリバースフィル/フラッシュ (RFF) 注入ダイナミクスが採用されています。

RFF モジュレータには以下のような利点があります。

  • バンド再注入の効率化と二次元ピークの幅および対称性の改善
  • 調整可能な捕集チャネル容量
  • ピークキャパシティ/分解能を大幅に損なうことなくオーバーロードに適切に対処
  • キャリアガスとして水素およびヘリウムを使用可能
図 1. 二次元目で 2 本の並列カラムを用いた GC×GC 構成

図 1. 二次元目で 2 本の並列カラムを用いた GC×GC 構成(図を拡大)

図 1. 二次元目で 2 本の並列カラムを用いた GC×GC 構成

図 1. 二次元目で 2 本の並列カラムを用いた GC×GC 構成

図 2. リバースフィル/フラッシュディファレンシャルフローモジュレータを用いた GC×GC により、香料分野の揮発性物質 (水色の円) が完全に分離されています (GC 画像による視覚化データ)。

図 2. リバースフィル/フラッシュディファレンシャルフローモジュレータを用いた GC×GC により、香料分野の揮発性物質 (水色の円) が完全に分離されています (GC 画像による視覚化データ)。(図を拡大)

図 2. リバースフィル/フラッシュディファレンシャルフローモジュレータを用いた GC×GC により、香料分野の揮発性物質 (水色の円) が完全に分離されています (GC 画像による視覚化データ)。

図 2. リバースフィル/フラッシュディファレンシャルフローモジュレータを用いた GC×GC により、
香料分野の揮発性物質 (水色の円) が完全に分離されています (GC 画像による視覚化データ)。

図 3. ペパーミントおよびスペアミントエッセンシャルオイルの GC×GC 分離パターン。EO の品質マーカを緑色の円で示しています (GC 画像による視覚化データ)。

図 3.ペパーミントおよびスペアミントエッセンシャルオイルの GC×GC 分離パターン。EO の品質マーカを緑色の円で示しています (GC 画像による視覚化データ)。
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図 3. ペパーミントおよびスペアミントエッセンシャルオイルの GC×GC 分離パターン。EO の品質マーカを緑色の円で示しています (GC 画像による視覚化データ)。

図 3.ペパーミントおよびスペアミントエッセンシャルオイルの GC×GC 分離パターン。EO の品質マーカを緑色の円で示しています (GC 画像による視覚化データ)。

図 4. ペパーミント EO の品質マーカの外部標準キャリブレーション (水色のバー) と FID 予測レスポンス係数 (緑色のバー) の比較。両者は良好に一致しています。

図 4.ペパーミント EO の品質マーカの外部標準キャリブレーション (水色のバー) と FID 予測レスポンス係数 (緑色のバー) の比較。両者は良好に一致しています。
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図 4. ペパーミント EO の品質マーカの外部標準キャリブレーション (水色のバー) と FID 予測レスポンス係数 (緑色のバー) の比較。両者は良好に一致しています。

図 4. ペパーミント EO の品質マーカの外部標準キャリブレーション (水色のバー) と
FID 予測レスポンス係数 (緑色のバー) の比較。両者は良好に一致しています。

エッセンシャルオイル分析のための最適化メソッド

エッセンシャルオイル (EO) の分析に最適な条件を特定するために、RFF プロトタイプモジュレータを用いて詳細な実験を実施しました。この実験では、カラム寸法、固定相の選択、流量、モジュレーションサイクル、および温度プログラムを最適化するために、5 種類の構成を使用しました。香料分野で関心の高い揮発性物質のターゲット混合物を最短の分析時間で完全に分離することが目標です。各構成の有効性を、再注入パルス幅 [2]、分離指標 [3]、モジュレーション率 [4]、および分離空間の使用 [5] にもとづいて比較しました。

図 1 は、今回調査した構成の 1 つで、一次元目で極性 PEG カラムを、二次元目で 2 本の中極性 OV-1701 カラムを使用しています。二次元目で並列デュアルカラムを用いたデュアル検出構成では、MS による同定と信頼性の高い FID (水素炎イオン化検出器) による定量を行いました。

優れたベースライン分離能により複雑な混合物を正確に定量

図 2 に、揮発性物質のモデル混合物の分離パターンを示します。すべての成分が 44 分以内に完全に分離されています。また、クロマトグラフィー空間全体にピークが分散し、ピーク形状およびピーク幅も良好です。

図 1 と同じ構成を用いてペパーミント (Mentha x piperita)、スペアミント (Mentha spicata L.)、およびラベンダ (Lavandula angustifolia) エッセンシャルオイル (EO) を分析しました。これにより得られた予測 FID レスポンス係数 (PRF) [6] を信頼できるマーカの外部標準キャリブレーションと比較することにより、定量真度を評価しました。Mentha spp. EO の分離結果を図 3 に示します。すべてのマーカが、他の成分からベースライン分離されています。

外部キャリブレーションと FID-PRF により得られた定量データは、非常によく一致していました (図 4)。二次元目で 2 本のカラムを使用することで、ロード量とシステム効率のバランスを取ることができました。また、主要成分 (メンソールとカルボン) の溶出領域で信頼性の高い分離および定量結果が得られました。

新たなデバイスが生み出す優れた定性および定量結果

今回の実験により、キャピラリ・フロー・テクノロジーにもとづく GC×GC 用リバースフィル/フラッシュモジュレータの卓越した性能が明らかになりました。エッセンシャルオイルの分析用に最適化された構成の包括的な実験では、きわめて正確な定性および定量結果が得られました。モジュレータおよび第 12 回 GC×GC シンポジウムで発表された実験の詳細については、アジレントの担当者または販売店にお問い合せください。

References

  1. Griffith J.F., Winniford W.L., Sun K., Edam R., Luong J.C. J Chromatogr A. 2012, 1226, pp 116-123.
  2. Klee, M., Cochran, J., Merrick, M., Blumberg, L. M. J. Chromatogr A. 2015, 1383, pp 151-159.
  3. Blumberg, L. M. J. Chromatogr. A. 2003, 985, pp 29 – 38.
  4. Khummueng W., Harynuk, J., Marriott, P. J. Anal. Chem. 2006, 78, pp 4578 – 4587.
  5. Ryan, D., Morrison, P., Marriott, P. J. Chromatogr. A. 2005, 1071, pp 47 – 53.
  6. de Saint Laumer, Y., Cicchetti, E., Merle, P., Egger, J., Chaintreau, A. Anal. Chem. 2010 82, pp 6457-6462.