Access Agilent 2015年6月号

アジレントの新たなマイコトキシン PCDL を用いた 高速で簡単なマイコトキシンのスクリーニングと定量

John Lee
Agilent Food Market Manager

マイコトキシンは、さまざまな食品や動物飼料で検出される菌の二次代謝物です。その中には、非常に危険で発癌性を有するものもあります。最も有害性の高いマイコトキシンは規制対象となっています。マイコトキシン汚染の監視ニーズが高まっています。Q-TOF 質量分析装置の使用により、この監視ニーズを強化できます。精密質量のフルスペクトル採取が実行できるためです。

マイコトキシンスクリーニング分析の課題

フルスペクトル採取データの精密質量を活用してより多くの化合物を検出することは効果的な方法ですが、複雑なマトリックス共存下ではマトリックス化合物を有害成分として誤検出してしまう場合も起こります。この現象は、測定対象化合物数の増加に伴って、発生頻度が高くなる可能性があります。

MassHunter PCDL Manager ソフトウェアで表示される、T-2 トキシンの [M+NH4]+ 種 (10 eV のコリジョンエネルギー) の精密質量スペクトル

図 1. MassHunter PCDL Manager ソフトウェアで表示される、T-2 トキシンの [M+NH4]+ 種 (10 eV のコリジョンエネルギー) の精密質量スペクトル(図を拡大)

MassHunter PCDL Manager ソフトウェアで表示される、T-2 トキシンの [M+NH4]+ 種 (10 eV のコリジョンエネルギー) の精密質量スペクトル

図 1. MassHunter PCDL Manager ソフトウェアで表示される、T-2 トキシンの [M+NH4]+ 種 (10 eV のコリジョンエネルギー) の精密質量スペクトル

(A) スパイクしたとうもろこしサンプル中のアスペルギルイミドの、プリカーササンプルクロマトグラムとフラグメントサンプルクロマトグラムのすべてのイオンの重ね合わせ (B) 共溶出プロット (C) 共溶出スコアリングを含む化合物の同定結果

図 2. (A) スパイクしたとうもろこしサンプル中のアスペルギルイミドの、プリカーササンプルクロマトグラムとフラグメントサンプルクロマトグラムのすべてのイオンの重ね合わせ (B) 共溶出プロット (C) 共溶出スコアリングを含む化合物の同定結果(図を拡大)

(A) スパイクしたとうもろこしサンプル中のアスペルギルイミドの、プリカーササンプルクロマトグラムとフラグメントサンプルクロマトグラムのすべてのイオンの重ね合わせ (B) 共溶出プロット (C) 共溶出スコアリングを含む化合物の同定結果

図 2. (A) スパイクしたとうもろこしサンプル中のアスペルギルイミドの、プリカーササンプルクロマトグラムとフラグメントサンプルクロマトグラムの
すべてのイオンの重ね合わせ (B) 共溶出プロット (C) 共溶出スコアリングを含む化合物の同定結果

自然に汚染されたヘーゼルナッツサンプルで検出されたマイコトキシンのサンプルクロマトグラム(A) ブレビアナミド F (<LLOQ)、(B) アルテルナリオール (310 µg/kg)、(C) ミコフェノール酸 (6,100 µg/kg)、(D) ゼアラレノン (21 µg/kg)、(E) アルテルナリオールモノメチルエーテル (220 µg/kg)、(F) マクロスポリン (520 µg/kg)。

図 3. 自然に汚染されたヘーゼルナッツサンプルで検出されたマイコトキシンのサンプルクロマトグラム(A) ブレビアナミド F (<LLOQ)、(B) アルテルナリオール (310 µg/kg)、(C) ミコフェノール酸 (6,100 µg/kg)、(D) ゼアラレノン (21 µg/kg)、(E) アルテルナリオールモノメチルエーテル (220 µg/kg)、(F) マクロスポリン (520 µg/kg)。(図を拡大)

自然に汚染されたヘーゼルナッツサンプルで検出されたマイコトキシンのサンプルクロマトグラム(A) ブレビアナミド F (<LLOQ)、(B) アルテルナリオール (310 µg/kg)、(C) ミコフェノール酸 (6,100 µg/kg)、(D) ゼアラレノン (21 µg/kg)、(E) アルテルナリオールモノメチルエーテル (220 µg/kg)、(F) マクロスポリン (520 µg/kg)。

図 3. 自然に汚染されたヘーゼルナッツサンプルで検出されたマイコトキシンのサンプルクロマトグラム(A) ブレビアナミド F (<LLOQ)、
(B) アルテルナリオール (310 µg/kg)、(C) ミコフェノール酸 (6,100 µg/kg)、(D) ゼアラレノン (21 µg/kg)、
(E) アルテルナリオールモノメチルエーテル (220 µg/kg)、(F) マクロスポリン (520 µg/kg)。

マイコトキシン PCDL による解決方法

  • ご使用の Q-TOF をマイコトキシンスクリーナモードに変更してください。このマイコトキシン PCDL では、450 種類以上の化合物 (食品や環境で検出されるカビに関連するマイコトキシン、菌代謝物、バクテリア代謝物など) を検出できます。マイコトキシン PCDL には、精密質量スペクトルを持つ 302 種類の化合物が登録されており、精密質量ライブラリスペクトルは全部で 1360 種類以上です。
  • 効率的かつ簡単に確認できます。マイコトキシン PCDL は Agilent MassHunter ワークステーションに読み込まれ、機能します。試料をセットして分析を実行します。
  • スクリーニングと定量の同時実行。化合物のキャリブレーションを選択すると、画面に定量結果が表示されます。Agilent 6550 iFunnel Q-TOF LC/MS は、同定するスペクトル採取できる高い性能があります。All Ions 取り込みとフル MS/MS のどちらのモードでも、定量に用いる高精細クロマトグラフィックデータの採取にも対応しています。

包括的なマイコトキシンデータベースの作成

単一成分の標準溶液の正確な質量スペクトルはターゲットの MS/MS モードでの3 つのコリジョンエネルギーで分子イオン ([M+H]+、[M-H]-、[M+NH4]+、[M+CHOO]- など) を採取、登録しました。これらのデータは、ウイーン近郊のツルンにある Institute for Analytical Chemistry (IFA) で行いました。このIFAラボには、過去 10 年間にわたる分離株と標準株を大量に保有しています。化合物とスペクトルのデータはアジレントでも検証しました。

MS/MS スペクトルからのイオンを理論上のフラグメント式と比較して、その理論質量に修正しました。スペクトルノイズフィルタとベースピークの最小スレッシュホールドも適用して、すべてのフラグメントイオンのイオン統計が正しくなるように修正しました。図 1 は、マイコトキシン PCDL の結果のエントリを示しています。

スクリーニングと検証を同時実行する All Ions MS/MS 取り込み

All Ions MS/MS ワークフローを使って食品サンプルの分析では、マイコトキシン PCDL のスペクトル情報、およびプリカーサイオン (低エネルギーチャネル) とフラグメントイオン (高エネルギーチャネル) の両方を重ね合わせてサンプルクロマトグラムを作ります。共溶出スコアリング (フラグメントイオンとプリカーサイオンの共溶出のスコア) により、ヒットを検証します。図 2A を参照してください。この例では、スパイクしたとうもろこしサンプルを使用しています。7 つのフラグメントサンプルクロマトグラムでプリカーサイオンとの共溶出が見られ、良いスコアリングが得られています。

実例: ヘーゼルナッツ中の菌代謝物混入の検出

All Ions MS/MS データからのプリカーサとフラグメントの情報は、Agilent MassHunter ソフトウェアの Compounds-at-a-Glance 機能でも表示できます。この機能を使用して、キャリブレーションとの比較もできます。図 3 は、IFA (ツルン) で最近見つかった、ヘーゼルナッツサンプル中で自然発生した 6 つの混入の実例を示しています。

アジレントの PDCL ソリューション

この記事で紹介したマイコトキシンスクリーニングの詳細については、アジレントアプリケーション 5991-5667EN を参照してください。その他の PCDL ソリューションとしては、農薬、動物用医薬品、法医学および毒物があります。
アジレントには、食品汚染を引き起こす生物毒素の検出と同定に役立つ多くのソリューションがあります。お客様のニーズに合ったアジレントの サンプル前処理法、カラム、部品のポートフォリオをお探しください。アジレントでは、ララボの生産性向上に役立つさまざまな液体クロマトグラフィー質量分析法のソリューションも提供しています。アジレントの LC および MS ソリューションによるスループット、コスト効率、真度の向上については、アジレントまたはアジレント販売店にお問い合わせください。