Access Agilent 2015年5月号

新製品 Agilent 1290 Infinity II マルチカラムサーモスタットによる 分析効率の向上

Anneke Muehlebach
アジレントグローバル製品マネージャ、分析 LC

アジレントは、高度な利便性と効率性を備えた、次世代カラムコンパートメント Agilent 1290 Infinity II マルチカラムサーモスタット (MCT) を発表しました。1290 Infinity II MCT は、1290 Infinity II LC ファミリーの一製品として、すべての 1290 Infinity II モジュールに完全に適合しています。また、Agilent 1260 Infinity および 1290 Infinity LC システムのモジュールと組み合わせて使用することもできます。

8 つのカラム選択バルブと 8 つのカラムを搭載した Agilent 1290 Infinity II マルチカラムサーモスタット (A-Line クイックコネクトフィッティングを含む)。前面には、クイックコネクト熱交換器とカラムホルダクリップが表示されています。

図 1. 8 つのカラム選択バルブと 8 つのカラムを搭載した Agilent 1290 Infinity II マルチカラムサーモスタット (A-Line クイックコネクトフィッティングを含む)。前面には、クイックコネクト熱交換器とカラムホルダクリップが表示されています。

分析効率の向上

Agilent 1290 Infinity II MCT は、最大 8 つのカラムを収納できる高いカラムキャパシティを備えており、個別のカラムにプレカラム溶媒加熱用の低拡散熱交換器が搭載されています (図 1 参照)。クイックコネクト熱交換器により、4 °C (周囲温度 20 °C 未満) から 110 °C までの幅広い温度範囲に対応しています。例えば、熱的に不安定な化合物の分析、温度に対して高感度なキラル分離、高温下での高速クロマトグラフィーなど、さまざまなアプリケーションにも対応しています。

Agilent 1290 Infinity II MCT では、メソッド開発用に 2 つの温度ゾーンが使用できます。この機能は、高温と低温に分けてカラムを恒温できるなど個々のカラムに最適な温度範囲に設定でき、カラム寿命を延ばすことも可能です。Agilent 1290 Infinity II MCT は、空気循環式の温度制御を行っていません。このようにして、カラム中央から壁面までの放射状の温度グラジエントが最小化され、ピーク分離を損なうことがありません。

幅広い温度範囲にわたって、高精度のカラム温度制御が実行できます。小さな温度変化に対しても、リテンションタイムに影響を受けやすいスルホンアミドを使用して、リテンションタイム (RT) の優れた再現性と精度について検証しました。HPLC および UHPLC 条件を、30、40、60、および 100 °C という 4 段階の温度で適用しました。温度の影響を受けやすい 6 つのスルホンアミドを、温度 30、40、および 60 °C の HPLC および UHPLC 条件下で分析した結果、RSD が HPLC 条件下で 0.062% 未満、UHPLC 条件下で 0.086% 未満のリテンションタイム精度を実現しました。また、0.5 分未満のサンプル分離に対して、温度が 100 °C、さらに 3.8 mL/min という高流量の極端な条件においても、クイックコネクト標準流量熱交換器では 0.066 % 未満、クイックコネクト高流量熱交換器ではさらに低い 0.035 % 未満という高精度値を実現しました。

Agilent 1290 Infinity II マルチカラムサーモスタットのドアフラップは、90 ° に開いて「机」として使用することが可能で、180 ° まで開くとさらに内部に手が届きやすくなります。

図 2. Agilent 1290 Infinity II マルチカラムサーモスタットのドアフラップは、90 ° に開いて「机」として使用することが可能で、180 ° まで開くとさらに内部に手が届きやすくなります。

Agilent A-Line クイックコネクトフィッティングを使用することで、カラムの交換が簡単に行えます。工具も必要ありません。

図 3. Agilent A-Line クイックコネクトフィッティングを使用することで、カラムの交換が簡単に行えます。工具も必要ありません。(図を拡大)

Agilent A-Line クイックコネクトフィッティングを使用することで、カラムの交換が簡単に行えます。工具も必要ありません。

図 3. Agilent A-Line クイックコネクトフィッティングを使用することで、カラムの交換が簡単に行えます。工具も必要ありません。

操作性の向上

以前のカラムコンパートメントと比較して、Agilent 1290 Infinity II MCT には、柔軟性のあるドアフラップが備えられています。ドアを 90 ° に開いて「置き机」として使用することにより、カラムを設置する際に部品や工具を手近に置くことができ、非常に便利です。また、ドアフラップを 180 ° に開くと、さらに内部に手が届きやすくなり (図 2)、更に、完全に取り外すこともできます。新世代のフィッティングである Agilent A-Line クイックコネクトおよびクイックターンフィッテイングを使用すると、カラムを迅速かつ簡単に交換することができます (図 3)。また、クイックコネクトフィッティングのレバーを締めるだけで、接続において最大 130MPa の耐圧が実現できます。キャピラリーに接続後は、カラムは MCT 内に自由に動く状態で配置されているカラムホルダクリップにきっちりと取り付けられます。

単一モジュールのみによる生産性の向上

ここで、カラムキャパシティを比較してみましょう。現在の Agilent 1290 Infinity カラムコンパートメント (低拡散熱交換器を搭載) は、長さ 100 mm の最大 4 つのカラムに対応できますが、一方 1290 Infinity II MCT は、最大 8 つの個別のクイックコネクト熱交換器を備えた、最大 8 つのカラムに対応できます。最新の Quick-Change シリーズ 8 カラムセレクタバルブは、最大圧力 130MPa をサポートしており、単一モジュールのみで最大 8 つのカラムに対応できます。LC メソッド開発やラボ環境の用途によって、複数ユーザーで単一の装置を使用する場合でも、簡単に複数のメソッドを切り替えて実行させることができます。LC メソッド開発では、Agilent メソッドスカウティングウィザード (MSW) ソフトウェアの使用をおすすめします。この Agilent MSW を使用すると、さまざまな移動相や固定相を使用する複雑なスクリーニング処理においても、サンプルシーケンスの設定が簡単かつ即座に実行できます。Agilent Quick-Change バルブヘッドは交換可能であるため、Agilent 1290 Infinity II MCT で超高圧 バルブヘッドを使用して、成分濃縮、マトリクス除去、またはカラム再生の切り換えでのサンプル前処理を自動、かつ円滑に行えます。

Agilent 1290 Infinity II MCT では、幅広い温度範囲にわたって、優れた利便性と効率性を高精度のカラムコンパートメントと統合する際の有効性が証明されており、LC 分離での速度と選択性も最適化されます。

アジレントが提供する幅広い LC ソリューション

アジレントでは、多岐にわたる液体クロマトグラフィーアプリケーションを自動化するためのさまざまなツールやソリューションを提供しています。サンプルスループットの向上、メソッド開発の加速化、サンプル前処理の自動化、または困難なアプリケーションの解決を試みようとしている場合、アジレント豊富なLCモジュールのラインアップから最適なシステムを構築することで、様々なアプリケーションに柔軟に対応することができます。詳細については、アジレントまたはアジレント販売店にお問い合わせください。担当者が、お客様のアプリケーションに最適なツールをご紹介いたします。

References

  1. Agilent Technologies Technical Overview (2015) Performance Characteristics of the Agilent 1290 Infinity II Multicolumn Thermostat. Pub. No. 5991-5533EN.
  2. Agilent Technologies Technical Overview (2014) An Advanced Heat Exchanger for the Agilent 1290 Infinity Thermostatted Column Compartment. Pub. No. 5991-5166EN.