Access Agilent 2015年2月号

アジレントと Immunalysis 社が提供する、 迅速で非侵襲的な唾液検査ソリューション

Christine Moore
研究開発担当 VP、Immunalysis Corporation

Tom Gluodenis
アジレントワールドワイド法医学マネージャ

唾液分析は以前にも増して、薬物検出において信頼性の高い手法の一つになっています。米国では、職場環境での薬物試験や学校プログラム、刑事司法制度において、血液検査や尿検査と比べていくつかの利点がある唾液検査が採用されてきました。このテクニックでは、「薬物の影響下」にあるという証拠を、迅速で簡単に、非侵襲的かつ観測可能な方法で採取できます。唾液中の薬物は血漿薬物濃度と相関関係があり、最近の薬物使用を証明する検出時間枠は 1~2 日間です。また、偽和物が混入しにくく、たいてい親薬物が検出されます。唾液検査技術の向上により、薬物検査プロファイルにおける機会を拡大します。

アジレントは、Immunalysis Corporation 社との提携を通じて、11 薬物群に含まれる 100 種類以上の薬物を唾液から検出するためのエンドツーエンドのワークフローを初めて開発しました。弊社から提供されている  Agilent application compendiumDrugs of Metabolites in Oral Fluid: Immunoassay Screening and LC/MS/MS Confirmation and Quantification では、すべてのワークフローが公開されています。100 ページにわたるこの一覧には、多数の日常的な乱用薬物、合成カンナビノイド、schedule II の処方薬に対するメソッドが含まれています。この記事では、これらのプロトコルのうちの 1 つの事例をご紹介します。

唾液に含まれる合成カンナビノイドの素早く簡単な検出

スパイスは、いくつかの合成カンナビノイドの総称です。その多くは、米国麻薬取締局および世界各国の行政機関によって禁止されています。これらの化合物は頻拍 (心拍数の増加) や発作、高血圧、胸痛、動悸、幻覚を引き起こすことがあります。中毒症状は 数時間程度とも言われております。しかし、長期的な影響は不明であり、例えば、JWH-018 は精神病を突然発症する恐れがあります。

アジレントは、Quantisal™ 唾液採取器具 [1] を使用した手法を開発し、検証しました。この採取器具は、輸送用緩衝液を含むチューブと、口の中に入れて唾液を採取する吸収パッドで構成されています。

サンプル前処理には、Agilent Bond Elut Plexa 固相抽出カートリッジを使用しました。分離には、2.1 x 50 mm、1.8-µm の Agilent ZORBAX Extend-C18 LC カラムを使用しました。また、LC/MS 唾液分析が普及しつつあり、義務付けられている場合も多いため、Agilent 6430 トリプル四重極 LC/MS システムを使用しました。

このプロトコルでは、はじめに、7 種類の合成カンナビノイドを使用して実験し検証しました (表 1)。

 

合成カンナビノイド

JWH-018

JWH-073

JWH-200

JWH-250

CP 47497

CP 47497 C8

HU-210

LOQ (ng/mL)

0.5

0.5

0.5

2

0.5

2

5

 

当日内の不正確性 (%)

4 ng/mL

3.9

3.6

5.0

3.4

4.9

3.9

8.6

40 ng/mL

2.2

2.1

6.0

2.0

4.1

4.3

5.6

 

複数日間の不正確性 (%)

4 ng/mL

8.8

9.6

6.2

11

7.7

11

10

40 ng/mL

8.5

7.9

6.2

11

10

11

12

 

パッド回収率 (%)

4 ng/mL

65.5

67.4

85.0

66.5

77.7

76.0

86.4

40 ng/mL

70.6

61.4

81.4

75.1

71.3

78.2

75.7

マトリックス効果 (%)

-55

-45

-55

-73

-64

-55

-49

プロセス効率 (%)

40

51

56

24

38

45

51

表 1.Immunalysis 社の採取パッドとアジレントのサンプル前処理および LC/MS/MS を使用した、唾液中の合成カンナビノイドに対する検証結果。

次に、同じ実験において、合成および天然カンナビノイドの回収率を評価しました (表 2)。

2 名の被験者の唾液中の合成カンナビノイド。BP = Blueberry Posh、BM = Black Mamba (Coulter, C., Garnier、M., Moore、C. J. Anal.Toxicol.35:424–430, 2013)。

図 1.2 名の被験者の唾液中の合成カンナビノイド。BP = Blueberry Posh、BM = Black Mamba (Coulter, C., Garnier、M., Moore、C. J. Anal.Toxicol.35:424–430, 2013)。(図を拡大)

2 名の被験者の唾液中の合成カンナビノイド。BP = Blueberry Posh、BM = Black Mamba (Coulter, C., Garnier、M., Moore、C. J. Anal.Toxicol.35:424–430, 2013)。

図 1.2 名の被験者の唾液中の合成カンナビノイド。BP = Blueberry Posh、BM = Black Mamba
(Coulter, C., Garnier、M., Moore、C. J. Anal.Toxicol.35:424–430, 2013)。

スパイスを吸った被験者から吸入の 40 分後に採取した唾液の MRM クロマトグラム。下の図は ± 20% のイオン比限界の LOQ を示します。

図 2.スパイスを吸った被験者から吸入の 40 分後に採取した唾液のMRM クロマトグラム。下の図は ± 20% のイオン比限界の LOQ を示します。(図を拡大)

スパイスを吸った被験者から吸入の 40 分後に採取した唾液の MRM クロマトグラム。下の図は ± 20% のイオン比限界の LOQ を示します。

図 2.スパイスを吸った被験者から吸入の 40 分後に採取した唾液の
MRM クロマトグラム。
下の図は ± 20% のイオン比限界の LOQ を示します。

薬物

パッド回収率 (%)

4 ng/mL

40 ng/mL

JWH-018

65.5

70.6

JWH-073

67.4

61.4

JXH-200

85.0

81.4

JWH-250

66.5

75.1

CP 47497

77.7

71.3

CP 47497 C8

76.9

78.2

HU-210

86.4

75.7

THC

89.4

 

9- カルボキシ -THC

 

80.1 (10 ng/mL)

2- カルボキシ -THC

78.2

 

カンナビノール

79.7

 

カンナビジオール

71.9

 

表 2.Immunalysis 社の採取パッドを使用した、濃度の異なる合成および天然カンナビノイドの回収率。

次に、合法的に購入したスパイスサンプル (ブランド名 Blueberry Posh および Black Mamba) を試験しました。2 名の被験者がこの薬物を吸い、最大 12 時間の間隔で吸入前後の唾液を採取しました。さらなる分析のため、サンプルは 4 °C で 1 年間保管されました。

1 回吸入したあと、12 時間経過しても、JWH-018 は、Blueberry Posh を吸った被験者の唾液から検出可能でした。緩衝液中で 1 年間冷蔵保管した後でも、この被験者から取得したサンプル中の濃度はほぼ同じでした。ただし、図 1 に示すとおり、Black Mamba を吸った被験者から採取したサンプルの濃度は大幅に低下しました。図 2 に、Blueberry Posh を吸った被験者から採取した唾液の MRM クロマトグラムを示します。

アジレントの幅広い法医学ソリューション

アジレント文献の Drugs of Metabolites in Oral Fluid:Immunoassay Screening and LC/MS/MS Confirmation and Quantification では、メソッド開発に役立つ貴重な情報を提供しており、無料でダウンロードしていただけます。本資料以外にも、薬物試験ラボ向けの技術資料を多数ご提供しています。アジレントが提供する唾液分析および法医学テクニックの幅広いオプションをご確認ください。

References

  1. Quantisal™ oral fluid drug test is a product of Immunalysis Corp., USA